弁理士よりタイピストという時代がかつての日本にあった
取引先の中国代理人からチャットが入った
質問の内容は「What is Typing fee?」
新規取引先の日本の事務所からタイピングフィーをチャージされたらしく、
「タイピングフィー」とは一体何か?という質問だった
チャットの相手は、タイプライターというツールを知らない世代だ
自分がこの世界に入ったときは、日本語はワープロを使っていたが、英文はタイプライターを使った時代だった
当時は英文を入力できるツールといえば、WordPerfectだったような気がする
特許事務所で一番稼いでいた人と言えばタイプライター
その中でも英文タイプライターと言えば羨望の的であった
都内で一軒家を買ったというタイピストもいたという
タイピングフィーというのは、その時代の言葉である
分厚い書類を特許庁窓口へ提出していた時代でもある
そんな時代、外内出願のインボイスに、出願料とは別にタイピングフィーをチャージしていた
枚数加算でチャージされるタイピングフィーは、手数料を増やすことができる便利なチャージだった
ワープロからPCに変わり、一太郎やWordで文章を入力する時代に代わったころ、欧米の代理人からタイピングフィーに対して文句が出るようになった
自分がいたときも、その辺りからタイピングフィーという名前でチャージする代わりに、検討料で数値を増やすようにしていた
タイピングフィーが前時代的な産物になったのは、インターネット出願に代わったときだろう
紙出願だったら目に見えたが、電子データは目に見えない
そんな時代にタイピングフィーはさすがに時代にそぐわない
そのような経過を辿って死後となっているタイピングフィーを21世紀のいまになってもチャージできる事務所というのは違った意味で羨ましい
タイピングフィーの歴史を説明してあげたのだが、中国の特許事務所は、WTOに加盟した2001年以降の事務所ばかりで、その当時は、すでにPCが普及している
タイピングフィーが計上された日本からのインボイスを見ても理解できないだろう
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