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キラッとプリチャンVSアイドルタイムプリパラ!~友情!ダイヤモンドタッグマッチ!!第4.5話「虹の先に向かって」
・夕暮れ。準決勝戦を明日に控えたキラ宿。虹ノ咲を探すみらい達。
「虹ノ咲さん!!どこ~!!……ううっ!!」
「みらいちゃん、そのダメージでこれ以上走り回るのは可愛くありません。ここはまりあたちに任せてもうお休みになられた方がいいですよ?」
「そうだよ!めるめるがにじにじを見つけ出すマッスィーンを今から作るからさ!」
「でも……」
「あ、いたいた!」
「あいらさん!?」
「みらいちゃん達。ちょっといいかな?」
あいらがみらい達を連れてとある場所に連れて行く。そこはデザイナーズ10の控室。
「来たか」
「え、もしかしてザ・マン!?」
「だけではありませんよ」
控室にはザ・マン、ジャスティスマン、シングマン、サイコマンがいた。
「完璧超人始祖がどうして……!?」
「お前達に知っておいてほしい事がある。この世界に成り立ちについてだ」
「この世界の成り立ち……?」
「この世界は神が治めている。私も元々はその集団の一人だった。その神が世界を管理するための補助としてプリズムの使者と呼ぶ存在がある。女神達や時の精霊、そしてお前達がだいあと呼ぶあの電子の存在もこれに含まれるのだ」
「だいあちゃんがプリズムの使者……」
「そのプリズムの使者または神によってえらばれた存在は神アイドル超人の称号が与えられ、またはそれに準じる存在にはデザイナーズ10や完璧超人始祖、ゴッドアイドル超人などの特別な称号が与えられる。いずれこの世界を神なしで自ら運営出来るように選ぶのだ」
「それと、虹ノ咲さんにいったい何の関係が?」
「あの虹ノ咲だいあと呼ぶ少女は電子のだいあが選び出したデザイナーズ10の一人にして最後の一人」
「最後って……」
「電子のだいあは今までにも何人か自分のデザイナーを選出するために数々の超人を訪ねていた。だが、いずれも不世出となっている。それが続いたことで電子のだいあは次に失敗をした場合にはプリズムの使者から外されて消滅することが決定しているのだ」
「……そんな……!?」
「実際、電子のだいあによって虹ノ咲だいあは鍛え上げられて無事デザイナーズ10の一人になった。これで電子のだいあは削除されずに済むこととなる。だが、虹ノ咲だいあは戦いを望んでいない。その素質を利用されているだけに過ぎない。そも今回のタッグマッチトーナメントは確かに電子のだいあが関わってはいるものの実際に動いているのは女神や時の精霊の方だ。彼女たちは何も望んでいない。本来であれば参加するのも拒んでいたはずだ。だが、お前達がいた。彼女たちはお前達が戦いを望むからこそ仕方がなく一緒に戦うことになったのだ。自分がデザイナーズ10だと言うことを隠して」
「デザイナーズ10だと言うことがわかったらもっと戦いに関係していくことになってしまう……でも私達とは一緒にいたかったんだ……」
「そうだ。既に女神へと通達はしている。お前達の同意があれば今回のタッグマッチトーナメントをここで中断することもできるだろう」
「……その場合、だいあちゃんはどうなるの?」
「……恐らくだが虹ノ咲だいあがペナルティによりデザイナーズ10から離籍。その責任を取り、消滅することになるだろう。プリズムの神々も決して愚かではない。情状酌量の余地はあるだろうが……」
「そんな……」
「一晩待とう。明日の朝には私の方から神にも今回の件を伝えなければならない。それが私を誤った道から正してくれたお前達に対して出来る唯一の事だ」
・一方。虹ノ咲家。
「って事になってるんだもん」
だいあがザ・マンの会話をハッキングして虹ノ咲に伝えた。
「いやいやいやいや!!!意味わからないから!!私が戦いを望んでいないって事と今回の件が女神たちの悪ふざけってところしか合ってないじゃん!!と言うか、元々超人とか関係ない世界だったよね!?ザ・マンとか設定どうなってんの!?」
「その辺は適当なんだもん。でも女神達が、特にあの気難しい方の女神が本当に適当するわけもないからどこかから仕入れた世界観かもしれないんだもん。それで、だいあはどうするんだもん?みらいちゃん達にいろいろ知られてるし……」
「……今からでも元の世界に戻せないの?」
「出来るけど……」
「……だいあ?」
「ううん。何でもないんだもん。でも、本当に戻しちゃってもいいんだもん?」
「……どういうこと?」
「アイドルと超人って言う属性の違いのおかげでみらいちゃん達のこれまで知らなかった部分とかも見れたんじゃないんだもん?それにみらいちゃんはだいあと一緒に今回の大会頑張ってくれてるんだもん。多分だけどだいあはこの大会をリセットしたとしても今回の件での反省とか後悔とかから結局みらいちゃん達とはまた距離を作ってしまうんじゃないかな?実際に中学を卒業したら本格的にデザイナーズ10のお仕事に入るわけなんだもん。きっと何かしらの理由をつけてだいあはみらいちゃん達から逃げるに決まってるんだもん」
「……そ、そんなの……!!」
「分からないわけはないっすよね?」
「え!?」
声。振り向けば、背後。ドアを開けてマイドリームの3人が入ってきていた。いずれもプリパラの外の姿をしていた。
「ま、マイドリーム!?ど、どうしてここに……!?」
「ファララから聞いたの。……ユメ正確に言えばファララはショック受けちゃってたからガァララから聞いたんだけど」
「ついでに事の真相も聞いてきたっす。……中々にわかには信じられない話だったっすけどね。にの達にはこれまでの経験は紛れもない真実。設定とかそんなの関係ないっすから……」
「……あの、虹ノ咲さん……」
みちるが一歩前に出た。
「え、えっとあなたはもしかして……ミーチルちゃん……?」
「えっと、幸多みちるです。プリパラの外だと、こうなるんです。……ううん。これが本当の私。でもさっき、リングの上であなたと戦った時の記憶もあります。すぐにわかったんです。あなたも私と同じ感じなんだって」
「……それってどういう……」
「私にとってミーチルと言う存在は小さい頃の憧れだったんです。でもいろいろあってその夢を忘れてしまって……でもプリパラにやってきて思い出したんです。私の本当の夢を……。虹ノ咲さん、あなたもそのはずです。確かに表向きに行動しているのはだいあさんの方かもしれません。でも桃山さんを助けようとした時のあなたは、本当のあなただったんじゃないですか!?」
「……私は幸多さんみたいに綺麗じゃないよ……。みらいちゃんの事、本当に好きなんだもん……。でも、そのみらいちゃんにいつまでも隠し事ばかりして……それで友達のふりして……今回の事だってただ、ただみらいちゃんと一緒に歌いたかっただけなのに……それすらも本当の自分じゃできないからって……だいあにやらせようとして……」
「悔しいですよね?」
「……え?」
「自分がやりたいこと、それを他の誰でもない自分が真っ先にあきらめなければいけない。別の人格まで生み出してそれに任せて……。憧れの人と、大好きで仕方ない人と自分じゃない自分が一緒にいることってとても辛くて、胸が苦しくなると思うんです。そんな自分が嫌だからこそ余計に無理だ無理だって思うかもしれません。でも、踏み出して開かない花なんてないんです。勇気はいつだって心のエネルギーなんです。自分の一番キラッとしてるところは誰でもない、自分が一番知ってるはずなんです。だから、無理だなんて言わないで。どうか、最初の一歩だけでも出来る出来るって思って……!!」
「幸多さん……」
「ねえ、虹ノ咲さん」
今度はゆいが一歩前に出た。ユメ目で。
「虹ノ咲さんには王子様がいるんだよね?それともお姫様?」
「え、え、え?」
「王子様だったらいつか王子様にふさわしい自分でいたいって思うよね?お姫様だったらその人を助けたい、守っていられるような自分になりたいと思うよね?」
「あ、あの……」
「でもさ、相手も女の子なんだよ。自分と同じ女の子なんだ。女の子はどんなに憧れてまぶしくて王子様にしか見えないって事もあるかもしれないけど。でも、どこかでお姫様なんだよ。だからさ、自分が守ってほしいとか自分が弱いからとかさ、そんなこと相手も思ってるかもしれないんだよ?会ったこともない人ならともかくずっと一緒にいたんでしょ?その人が困ってるかもしれないんでしょ?だったら、逆にその人を助ける勢いでさ。そういう感じの夢を見ようよ。女の子同士だからあまりそう言うこと言えないわかってるけどね」
「……ゆいちゃん……」
「……にのはあまりそう言うのわからないっすけど」
最後ににのが前に出た。
「虹ノ咲先輩にはずっとだいあ先輩がついていたわけっすよね?それが超人であれアイドルであれ。あまり恩着せがましいこと言えないっすけど、でもそういう人に対して全力で頑張ってるところを見せてそして超えて見せることが最高の恩返しになるかもしれないっすよ。まあ、戦いたくないって言うのを無理強いするつもりもないっすけどね」
「……にのちゃん……」
「虹ノ咲さん、あなたの夢は何ですか?」
「……私は……みらいちゃんと一緒に輝きたい……。みらいちゃんが私の中の小さな心をキラッとしてくれたように私もみらいちゃんの力に、光になりたいの……!!」
「うん、それなら大丈夫だよ」
「すずから桃山先輩達の場所は聞いてるっす。だから今から一緒に行こうっす!!」
「……うん。ありがとう、ゆいちゃん。にのちゃん……みちるちゃん」
そうして虹ノ咲は椅子から立ち上がった。微笑むだいあを背にして。