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仮面ライダーS/L6話

Tale6:その旋律はWing

・暴走するローズレベル10。
「いったい何が起こってる!?」
現場に到着した車から出てきた黎斗と嵐山。
「瑠璃!!お前がダークネスドライバーとフェイトローザのガシャットを盗んだのか!?」
「……申し訳ございません。けどあの男に脅迫されて……」
「……誰が変身しているんだ?」
「西武椎名会長です」
「……ダークネスドライバーはレベル10までなら制御できるが肉体への負担は大きい。その上フェイトローザのレベル10の力を初陣で使うとなると精神的にあの力を制御できない可能性が高い」
「しかもレベル10となればたやすく止められるはずもない。現に防御力がかなり高めに設定されているリボルバーのレベル3ですら一撃で倒されている……これではバグスターの前にあいつ一人で人類は壊滅してしまいかねない……!!」
嵐山は瑠璃に歩み寄るとその頬を全力でひっぱたく。体格の違いもあって瑠璃は大きく吹っ飛び、砂利の中に転倒する。
「お前はなんてことをしてくれたんだ……」
「だってあの人は私を……!!」
「……どのみち、あの男は生きて会社に戻ることはないだろうな。やれやれまた西武財閥は会長が変わることになる」
「……今度こそ君が会長になれるかもしれないな、本部長」
「……だといいが」
3人が眺める。戦場ではローズが暴れまわってクラーケンをひたすら殴り続けている。その間にセーブは武を抱いたままなるだけ距離を取っていた。
「バグスター怪人以上の強敵だな」
「でもどうするんだ将碁?あれを止めるなんて無理ゲー過ぎるだろ!」
「武、もう一回変身できるか?レベル2でもキメワザであいつのベルトもしくはガシャットを攻撃できれば……俺が隙を作る」
「……やってみるか」
武が立ち上がり、リボルバーレベル2に変身する。しかし強い倦怠感が全身を襲う。まるで高熱に煽られているようだった。それでもハンドガンの狙いをローズのベルトに集中させている。
「調子はよさそうだな」
リボルバーが引き金に指をかけた瞬間にセーブは走り出し、ローズの腰にエルボーを打ち込み、ローズが上体を起こした瞬間に、
「ガンバズクリティカルバースト!!」
リボルバーの必殺の一撃がローズのベルトの中心部に撃ち込まれた。
「もう一撃行くぞ!!」
「ジャンククリティカルスピード!!!」
よろめくローズを中心にセーブが高速で円運動を開始。残像によりローズの周囲に無数のセーブが浮かび上がり、
「てやーりゃああああああああああああああ!!!!!」
その速度が音速に達すると同時にタックルの勢いでローズに突っ込んでいき、そのベルトに拳を叩き込む。
「がはっ!!!」
ローズの体が後ろに倒れ、
「がっしゅーん」
セーブがレベル2に戻ると同時にローズの変身が解除された。
「はあ……はあ……まさか君が僕のフォローをしてくれるとはね……」
「椎名……」
セーブが変身を解除すると既にクラーケンの姿はなかった。


檀コーポレーションの会議室。そこに一同が集まった。黎斗と嵐山が椎名にこれまでの経緯を説明する。
「前会長の押印をひそかに使用していたことは私の罪です。責任を取る覚悟は出来ています。ですがもう少しだけ待っていただきたく思います」
「何故かな?君は一本部長に過ぎない身でありながら西武財閥全体の決定権を左右できる会長の押印を盗んで勝手に使用したんだよ?」
「……会長の身でありながらその権力を利用して子会社とは言え他社の製品を勝手に盗ませて使用したあなたも人のことは言えない筈では?」
「ならこれで貸し借りなしだ」
「……では椎名会長。そのドライバーとガシャットを返却願いたい。あなたが身を以て経験したようにそれらは危険すぎる」
「ならばどうして作ったのですかな?」
「実験ですよ。レベル10を引き出すためのね。今後改良が進み、レベル10への変身で心身に異常が出ない段階にまで進み次第そこのお二人のどちらかにお渡しする形になる。まさかあなたが仮面ライダーをやるなどと言わないでしょうね?自由に動ける身分の二人ならともかくあなたは知ってしまった以上これから衛生省の直下に置かれ、西武財閥の運営だけでなく我々と共同でバグスターウィルス殲滅任務にあたってもらう事になります」
「……」
椎名は考える。向こうが握っている大罪は自分に黙って西武財閥の権力を使っていた事、レベル10の危険な力を隠し持っていた事。逆に自分は今回行動を起こすためにその危険な力を盗用している事。ダークネスドライバーとフェイトローザのガシャットについては貸し借りなしで帳消しにしてもいいだろう。そして会長の押印を勝手に使っていたことも自分が賄うことになれば自然とその罪は相殺される。本格的な懲罰は今回の件が落ち着いてからこの3人に取らせる形となる。となれば……。
「檀社長、商談としよう」
「商談?」
「そう。このダークネスドライバーとフェイトローザのガシャット、買い取らせていただきたい」
椎名は懐から電卓を取り出して数字を打ち込みそれを黎斗に見せる。
「……あなたはこの力を使って何がしたいのですか?ただでさえ会長の身なのですから多忙を極めているのでしょう。その上さらに仮面ライダーを、それも制御しきれていないフェイトローザの力を使ってバグスターと戦おうというつもりですか?言っておきますがあなたが過労で倒れても今回の件は公に出来ないため私には責任を取る必要はありませんし、戦死した場合に関しても同じ状態です」
「それでも構わないさ。どうする?」
「……いいだろう」
黎斗はドライバーとガシャットが入ったケースをそのまま椎名に手渡す。
「代金は後で嵐山本部長経由で支払うよ」
「……」
机を挟んで黎斗と椎名が数秒視線を交わらせてから椎名は部屋を去った。少し経ってから将碁と武も後を追いかけた。
「……どうなさる?」
嵐山が言葉を放つ。
「西武椎名。西武巌前会長の弟の息子。厄介な男が介入してきたものだ」


ターミナル。
椎名はタクシーを使って檀コーポレーションからそのままここにやってきた。
「お、おい、椎名」
将碁と武も一緒だった。
「なんだい?」
「色々聞きたいことはあるけどそれ以上にここに来るって事は父さんに仮面ライダーなどについて話すつもりなのか?」
「いや、そのつもりはないよ。君達ならともかくおじさんから会長を受け継いだ僕が前会長であるおじさんに何か報告をするなんてことはあり得ない。会長も辞任し半身不随になった事で身動き1つ取れないおじさんに何がどう出来るって言うんだい?……僕はただお見舞いに行くだけさ仕事が忙しくて最近全然これてなかったからね」
「……豆だな」
「もう大人ですから」
3人で巌の病室に入る。
「おお、椎名か!久しぶりだね」
「ええ、おじさん」
「将碁に武君も。いらっしゃい」
「「おじゃまします」」
パイプ椅子に座って対面する3人。将碁と武はやや緊張していたがやはり椎名は当り障りのない話題ばかり話していた。と思いきや、
「将碁、喜屋。悪いけど少し退室してくれないかな?ちょっと仕事の関係で話したいことがあるんだ」
「……分かった」
「1階のロビーで待ってるわ」
「ああ、悪いね」
将碁と武が一礼してから部屋を立ち去る。それから数秒して椎名は口を開いた。
「で、話とは何かな?」
「おじさん、どうしてもうちの会社を使って宇宙開発をしたい?」
「……何かあったのか?」
「詳しくは言えないけどちょっと問題が起きててね。もしかしたら西武は宇宙開発よりかもある問題を優先させないといけないかもしれない。本来なら恩返しとして僕は宇宙開発を行なっておじさんの夢をかなえてやるべきだと思ってる。たとえその時おじさんがこの世にいなくても」
「……椎名。今の会長は君なんだ。私に聞くべきではないよ」
「これは一個人として質問しているんだよ」
「……最終的には西武の技術で宇宙開発を日本主導で出来たらいいと思っている。君が大学で政治学を学んできた事で恐らく近い将来西武財閥を背負って色々な国と協力して宇宙開発に臨めると私は信じている。だからこそ今やるべきことを放置していい理由にはならない。たとえその先に西武の名が地に落ちたとしても」
「……おじさん……」
「あの二人が何か危ない事をしているのは分かっている。ここ最近妙にどこもかしこも傷だらけでここに来る。君も今日は随分と疲れているように見える。親としてそれは出来れば留めてあげたいところだ。だが、大人として敢えて言うのであれば見守ってやりたいと思っている。ただしくれぐれも無茶はしてやるなよ。君の未来は西武の未来にも負けていない輝かしいものなのだから。もちろん将碁や武君のものもね」
「……わかったよ、おじさん」
そこで病室のドアをノックする音が響いた。
「失礼します」
「おお、雷王院先生か」
「先生はやめてください。……お前、西武椎名か」
「ほう、雷王院君じゃないか。もしかして君、医者になったのか?」
「終末医だがな」
「何だ、二人は知り合いなのかい?」
「過去に数度会ったことがあります。大学は違いますが高校は一緒でしたから」
「だが雷王院君。君は最近あの二人と会ってないみたいだね。何かあったのかい?」
「……それは……」
「……先生、あの子たちに何か?」
「……私は卑怯者になりたくないので」
「……?」
「それよりも西武さん……西武巌さん。シーツを換えます。今車いすを用意しますので」
「手伝おうか?」
「あんたは客だ。ここは私に任せてあの二人のところへ。さっきロビーで見かけたからいるのは分かってる」
「……君の事は?」
「……どういう訳かこの3か月一度もばれていない。このまま隠し続けていきたい」
「……わかったよ」
椎名は雷王院の肩を小さく叩いてから一礼して退室した。

ターミナル中庭。
本来なら椎名はこのまままっすぐ会社に行く予定だったが将碁たちから馨についての話を聞いたため中庭に来ていた。
「俺達はあまりと言うか二度と接触するなって言われてるんだけどな」
「どうもあの二人がキナ臭くて」
「だろうね。あの二人の目的はバグスターの殲滅なんかじゃないよ」
「どうしてそこまで言えるんだ?」
「まともな事情だったらとっくに僕かおじさんつまり西武の会長に話しているさ。だがそれをせずに会長の押印まで盗用している。つまり彼らはこの機会を利用して何か別の事をしている。そしてそのキーにこのダークネスドライバーとフェイトローザのガシャットが関係していると思って買収したんだ」
「けど、そのベルト危険じゃないのか?さっきは暴走したわけだし」
「何も変身するためだけに買ったわけじゃないよ。もちろん自分の身を守る必要もあるんだけどね」
椎名が顎で正面を指す。二人が見れば前方には馨の代わりにクラーケンバグスタ-とさらにレベル7マンティスバグスターが並び立っていた。
「バグスター怪人が2体も……!?」
「しかも片方はレベル7だ。今まで君達が戦ってきた中で最高レベル。それを3人そろってるとわかってるこの状態で仕向けるとなれば完璧に僕が邪魔だって事だよね」
「仕向ける?お前まさか……」
「話は後だよ。僕もレベル1で援護する」
椎名がガシャットを手に取りダークネスドライバーを腰に巻く。やや遅れて二人もガシャットを取り出した。
「ジャンクセーバー!!」
「ガンガンリボルバー!!」
「フェイトローザ!!イン・ザ・ダークネス!!」
「「「変身!!!」」」
「「「レッツゲーム!ムッチャゲーム!メッチャゲーム!ホワッチャネーム!!アイムア仮面ライダー!!」」」
3人同時にレベル1の姿に変身し、2体のバグスターに向かっていく。
「ブーメラン!ウェポンスライド!!」
「てやーりゃああああ!!!!!」
セーブが召喚したブーメランを投げつける。が、マンティスは簡単に軌道を見切っては左の鎌で粉砕する。
「流石レベル7……、レベル1の攻撃じゃ歯が立たないか」
「こっちも少し厳しいかもな」
リボルバーがクラーケンの触手に注意しながら接近しようとするが手間取っている。
「だったら僕がやるしかないな」
ローズが走り、クラーケンの触手を次々とかき集めて、マンティスに向かっていく。
「お友達からのプレゼントさ」
そして1つに束ねた触手の塊をマンティスにたたきつける。マンティスは自身に命中するより先に両手の鎌を用いて触手の塊を粉々に切り砕く。痛みはないのかクラーケンは微動だにせずリボルバーに向かっていき、飛び蹴りを打ち込む。
「リボルバー!!」
「レベルアップ!!」
セーブがレベル2になってクラーケンに後ろから抱き着く形で動きを止めてリバースの巴投げで後方に投げ飛ばす。
「ギチギチギチギチギチギチ……」
猛烈に音を立てながらマンティスが動いた。足元に転がってきたクラーケンをサッカーボールのように蹴り飛ばしてからセーブに襲い掛かる。
「セーブ!!」
「レベルアップ!!」
セーブが振り向くと同時、レベル3になったリボルバーがタックルでマンティスの斬撃を受け止める。
「ぐっ!ローズレベル10ほどじゃないが十分な威力だぜ……!」
「喜屋くん、あまり無理はするな。先程の戦いから3時間しか経っていない」
受け止めながらも後ずさられていくリボルバーの背中をローズが受け止めた。そしてリボルバーの代わりに足のホルダーからハンドガンを取り出して態勢を変えないままマンティスの腹に射撃。
「ひゅう、一発で手がマヒしちゃいそうな威力だな。けどこれでも敵さんには大したダメージがないと。おっと、まだ駄洒落言っちゃったかな?」
「そんなこと言ってる場合かっての!」
「レベルアップ!!」
セーブがレベル3になり、素早くマンティスの背後に回り込み、ジャーマンスープレックスでマンティスを背後に投げ飛ばす。
「……」
その戦いを遠くから見ている女性がいた。瑠璃である。駐車場に車を止めて瑠璃はポケットからガシャットを取り出した。
「エアリアルウィング!!」
「……変身」
「win!wind!wing!勝利の風を吹き果たせ!!アイムアレベル4ウィングゲーマー!!」
ガシャットを押せば電子音のメロディが響き、瑠璃の姿は仮面ライダーアイジス・レベル4ウィングゲーマーへと変貌した。
「……状況を開始します」
背中の翼を広げ、アイジスは亜音速で空へと羽ばたき、戦闘が行われている中庭を上から見下ろして標的を視界にとらえる。その標的はただ一つ……。
「……そこ」
「ウィングクリティカルスラッシュ!!!」
電子音由来のエネルギーが両翼に備わり、マッハ2の速度で標的に向かって急降下。
「ん!?」
クラーケンと手四つで組み合うローズが上を見た瞬間に衝撃が走った。
「……」
アイジスが、ローズとクラーケンの間に着地すると同時にローズの装甲に亀裂が走り、クラーケンは真っ二つになって消滅した。
「ぐあああああああああああああ!!!」
「ローズ!!」
「あれは、白い翼の仮面ライダー!?」
マンティスの攻撃を回避しながらセーブとリボルバーが見る。そのアイジスは切り裂かれた胸を押さえながら呼吸を荒くするローズに歩み寄る。
「……なるほど、そう言う事か」
何かをつぶやいたローズ。直後にその喉に向かってアイジスの鋭い蹴りが炸裂。
「ぐっ!!」
坂道を転がるドラム缶のように吹き飛ばされ、地面を転がるローズ。
「……あれが1号ライダーなのか……!?」
「だとしてもどうしてローズを襲うんだよ!バグスター怪人は倒してるけどさ!!」
「ギチギチギチギチギチギチ……!!」
「話はあとにした方がよさそうだ!」
「だな!」
マンティスから離れるセーブとリボルバー。すぐさまマンティスの斬撃がリボルバーを狙う。しかしその一撃を槍で受け止めたリボルバー。次の瞬間に粉々になった槍。その直後にセーブの飛び蹴りがマンティスの顔面に撃ち込まれる。セーブが尻で着地し、マンティスが後ずさった瞬間に、
「ナイトクリティカルバースト!!」
「FIRE!!」
ハンドガンから発射された必殺の一撃がセーブの頭上2ミリを貫きマンティスの下腹部に命中する。
「どすこい!!」
攻撃が終わると同時にセーブが低姿勢のままタックルでマンティスの下腹部を襲う。マンティスの両腕がセーブの背中を狙うと今度は
「オラァァァッ!!」
レベル2のリボルバーが飛びつく形でマンティスの顔面に接近し、零距離で顔面に射撃を撃ち込む。
「……いいコンビネーションじゃないか」
立ち上がったローズ。正面では無言のアイジスがゆっくりと歩み寄ってきている。
「君の狙いは分かっている。だからこそ乗ってあげるよ」
「レベルアップ!!」
ローズがガシャットのスイッチを押した。
「ブラッディローズ・イン・ザ・ダークネス・トゥ・ザ・フェイト!!アイムアレベル10ダークネスゲーマー……!!」
そして、アイジスの前でローズはレベル10の姿に変身した。
「り、理性は抑えて戦わないといけないね……!!!」
言いながら叫ぶ形でローズは走り出す。ボクシンググローブのように練り固まったバラの拳でアイジスに殴りかかるがアイジスはすべて紙一重で回避していく。そして一連の流れが終わるとその鳩尾に膝蹴りを打ち込む。と、
「捕まえたよ……!!」
その膝を抱え込むようにして受け止め、ローズの両手を包んでいた薔薇が解かれアイジスの両足を縛っていく。
「くっ!!」
「レベル10の力、しっかり受け止めたまえよ!!!」
「ダークネスクリティカルフィニッシュ!!」
「乾坤一擲!!!」
アイジスの両足を縛っていた薔薇が急激に伸びていき、アイジスの体を宙に浮かび上がらせると1秒とかからずにアイジスの全身をグルグル巻きにする。これによりまるでモーニングスターのようになったアイジスをローズが何度も地面に叩きつける。
「だぁぁぁぁっ!!!」
そしてそのまま20メートル離れたところで戦っていたマンティスに叩き込んだ。
「ギッチャアアアアアアアアアアアア!!!!」
やかましい叫び声をあげながらマンティスは大爆発し、データとなって霧散した。
「……逃がしたか……」
すぐさまレベル1の姿に戻ってからローズがつぶやく。爆炎からはアイジスの姿は発見できなかった。


檀コーポレーション。社長室。
「も、申し訳ございません……」
ボロボロ姿の瑠璃がそこにいた。父親に支えられないとまともに立つ事も出来ない様子だ。
「想定内だよ、瑠璃君。レベル4のアイジスじゃレベル10のローズに勝てないのは当然さ。本当はそこからローズには自滅してほしかったんだけどね。しかもセーブとリボルバーを道連れにしてくれれば万々歳だった」
「まさか2回目で暴走を最低限に抑えられるとは……」
嵐山も冷や汗で返す。
「しかしどうするのですか?恐らく西武椎名はこちらの陰謀に気付いたでしょう」
「……正直時期尚早感は否めないが、あれを使おう」
「……まさか……」
「そう」
黎斗が引き出しから仮面ライダークロニクルのガシャットを取り出し、パソコンにつなげる。するとパソコンの画面が変わり、アプリケーションが起動する。マウスを操作して8ある画面の中から唯一モザイクがかかっていない画面をクリックする。
「さあ、君の出番だ。グラファイト……!」
黎斗は狂気に笑った。