それは自分勝手の花、色は匂えど
まさかの4本目行きます。黒主零です。
いやぁ、よっぽど今回のエピソードは堪えたんだなぁと。
30年以上生きててここまで自分の価値観がアップデートされたのは初めてです。
そんなわけで今回は引き続きプロセカニーゴイベントについて語っていきたいと思います。
もしかしたら辛辣な内容になるかも知れません。ネタバレ全開なのもあって嫌な人はブラウザバック……も今では通じないかも知れないので引き返してOKです。
プロセカにおいてもなお闇が深いユニット・ニーゴ。
自らの作った曲で精神崩壊してしまった父親のために誰かを救うための曲を作り続ける奏。
一方的な愛によって人生と味覚を潰され掛けたまふゆ。
夢のための才能が絶対的に足りず、それでも前に進み続ける絵名。
そして、男子でありながら女物の「かわいい」を求め続ける瑞希。
誰かのために曲を続ける奏も学校では完璧なる優等生なまふゆも口では何かしら言いながらもツンデレ気味に他者を優先して助ける絵名も暗くなっている人がいたらつい手を差し伸べて助けてしまう瑞希も、皆聖人と言えるような部分がありながら「自分が求めた物だけが手に入らないジレンマ」に苦しめられるそんな4人。
よく言えば「気の置けない関係」だが、悪く言えば「傷口をなめ合う共依存の関係」とも言えてしまう状況になるのはある意味目に見えていた。
そして今回それが最悪な形で暴発してしまう。
これまでニーゴのムードメイカーとして間違いなく親友同士として接してきた絵名と瑞希の二人。瑞希の秘密は学校の生徒には「諦め」の意味で先に伝えてあるが、何故かニーゴのメンバーにだけは秘密にしている。
故に定時制で修学時間が違うとは言え同じ学校でしかも間違いなく親友と言える関係の絵名にさえ瑞希は自分のことを話していない。
数少ない校内の友人達はそんな瑞希を尊重してか、絵名ともそれなりの関係があるにもかかわらず瑞希に関しては話していない。
(類は瑞希が隠していることを知っているし、杏も恐らく察しているが、他のメンバーに関しては瑞希の秘密は知っていてもそれを隠していることは知らないと思われる)
極めてプライバシーに関わる情報のため他者がどうこう言う資格はないだろう。しかし、その矛盾に対して何も対策を講じていない瑞希に非があることは何より瑞希本人こそが熟知していた。
厳しいことを言ってしまえば、絵名にはまだ話したくないと思うのならせめて絵名の弟である彰人にくらいは事情を話しておくべきだと思う。
その辺の配慮を他人任せにしておきながら絵名に対しては秘密がバレたくないと思っているのだ。
(女子の格好をした状態で初めて出来た親友である杏には速攻で秘密を話しているので明らかに絵名だけを差別している)
これに関しては杏は学校の生徒で瑞希の性別をあらかじめ知っていると言う状況があり、絵名はそれを知らないままネットだけの関係として仲良くなったと言う違いがあるのだが……。
一応瑞希も申し訳ない気持ちといつかは話さなければいけないと言う自覚はあり、いつかは話したいことがあるから話すと絵名に約束している。
次に絵名について。他3人が異様に重いだけで絵名自身も芸術家である父に憧れて画家になろうとしたが才能がないことを理由にその父から全面的に否定されている。最初はそれに反抗する姿勢だけを見せてイラストを描いてはネットに投稿し、そこから奏の目に触れてニーゴに誘われるという経緯を持つ。
最初の内は作曲能力に秀でた奏、作曲全般に優れるまふゆ、自分とは方向性が違うが芸術性に優れる瑞希の才能に甘えながらしかし自ら努力するという方向へは進まなかった。
だが、2年次の終わりから父親の後輩が務める芸術教室に参加し、少しずつだが努力で結果を残し始めて行く情熱家の面がある。
個人的にニーゴの面々では絵名が一番現実を見ていて自分の抱える闇に立ち向かって行ってると思える。
自分に茶々を入れてきながらも時に休日に一緒に出かけたり、時に曇ったまふゆや奏の手助けをしたりと、間違いなく二人は親友と言える関係になった筈だ。
不登校気味な瑞希を心配して杏などに普段の瑞希がどうなのかを訪ねる程度には心配もしている。
一時、瑞希がその秘密を隠している事に不安を覚え明らかに心身に異常を来した時には全力で支えて、その秘密を言えるその時が来るまで待っているからと瑞希と約束をする。
そして約束を果たす日が来た。瑞希が2年に絵名が3年になった文化祭。そこで瑞希は自分の秘密を絵名に話すために夕方に絵名を屋上に呼ぶ。
しかし瑞希はちょっとしたトラブルで遅れるため絵名が一人で屋上に待つことになった。
そこで運悪く瑞希のクラスメイトらしき男子達と遭遇し、絵名は信じられない言葉を聞いてしまう。
こうして二人は決して想像しなかったわけではないタイミングで最悪の歯車が合わさってしまったのだった。
ここの勢いだけ見ると男子Aが最悪のように見える。実際言葉選びは最悪だ。が、校内では瑞希の秘密に関してはかなり広まっていてほぼ公然の秘密となっていること、事前に絵名と瑞希は付き合いが長いと確認していること、そして校内に限れば瑞希はその秘密を隠していないこと。
これらから男子Aは間違いなく意図的にこの二人の関係を壊してやろうなどという気持ちで発言したわけではないことが分かる。
文化祭が終わったタイミングといういろいろテンションがアレな状態で今自分達が会話している話題に直結してそうな人物と出会った状態での会話と考えれば不自然な点は1つもない。庇うわけではないが、Twitterで不自然に感情のまま叩かれていい程の悪意はなく、メタ的に言ってしまえば今回のシナリオ上の必要悪にされてしまった存在であり、前述したように言葉選びこそ悪いものの論理的に言えば同情すら出来る存在である。
この後その場から全力で逃げる瑞希を絵名は追い掛け、何とか捕まえることに成功するのだが追い掛けてる間にすら絵名は瑞希になんて声を掛けたらいいか分からない状態である。
いざ捕まえても瑞希の言葉をただ聞くだけの余裕しなかった。
そして何も言えないまま、瑞希は絵名に背を向けて走り去るのだった。
ここでのポイントは、タイミングこそ最悪だったとは言え瑞希が自分の思いと謝罪の言葉を告白しているのに絵名はそれに対して何も言えていないと言うこと。追い掛けて捕まえるシーンに僅かな間がある事から絵名は無意識に瑞希に対して距離を置いている。これは今までなら絶対になかったこと。それは他でもない、絵名が一番よく分かっていることだ。
そして、瑞希側はそれに気付くことなく一方的に自分の思いを爆発させて垂れ流している。
その中には絵名はすごく優しいから明日からも今まで通り接してくれる。奏やまふゆだって同じだろう、と言う言葉も混じっている。現時点で既に絵名はこれまで通りの反応を出来ていないことに気付いていない。
あれだけ一緒にいながら瑞希と絵名は互いのことを実は理解しきっていなかったのだ。
付き合いが長いとは言え、実際には1年と少しである。たとえ親友であれどそんな短い期間にお互いの全てを理解し合えるとは限らない。
絵名と瑞希、そして元凶となってしまった男子Aはただまだ若く、そしてタイミングが激しく悪かっただけに過ぎなかったのだ。
個人的には先の男子A同様
「瑞希の秘密は校内では公然の秘密である」
「文化祭に参加していて特に後夜祭が始まったタイミングに部外者はいない」
「絵名は瑞希と付き合いがそこそこ長いと発言している」
などの発言から今回のイベントよりも前から実は元から瑞希の秘密に関して知っているのではないかと想像していた。しかし実際には全く予想だにしていなかった。それも、これまで通りの距離感じゃいられない程度には絵名からは瑞希の事をいいか悪いはか別として拒絶してしまう程度には。
なのでプロセカの脚本書いてる人は全国の豆腐(プロセカユーザのこと)の予想を決して裏切らないが、妄想には答えない堅実な考え方をしてこの物語を書いていると思われる。特に今回の瑞希の秘密を絵名が知ると言う事は下手をすればプロセカがサービス開始した時点ではある程度の構想は出来ていたと思われるため、いい意味で感情で左右されない堅実的な物語をこれからも築いていくと思われる。
絵名は恐らく本当に普通の子。最初に瑞希という「イレギュラー」を知ってしまっていた他の校内生徒や自分のようなプレイヤーがおかしいだけで「イレギュラー」の考えるような動きを絵名はしないと思われる。
そして瑞希や自分のようなプレイヤーは勝手にカテゴライズして絵名や奏、まふゆ達をも自分達と同じ「イレギュラー」と見てしまっているのではないかと思われる。と言うか自分はこの3連休で嫌というほどそれを思い知らされて軽い鬱状態になった。けど間違いなく価値観のアップデートはされたという認識はある。
総括!いつだって現実はあなたの想像を凌駕する!!
絵名は思っていた以上に現実的で普通だったし、瑞希は想像以上に感情を優先していた。どんなに近しい経験をしたとして同じ感想を述べたとして全く同じ人間はただ二人としていないと言うのが今回あまりにも痛々しく感じられた。
多分「普通」の人には何を言ってるんだかと思われるかも知れないが、自分はこれが全く理解していなかった。30年以上生きていて全く予想だにしなかった。
なので今回のこのニーゴイベント、全く予想だにしない経験が出来て本当に感謝している。情報と感情を整理してアップデートするのにこの3連休のほぼ全てを費やした!
今年てか令和になって幾度とない別離を繰り返してきた自分に足りていなかった概念が次々と生れる中、その中でも最大の変化をくれたのが今回のイベントだと断言するぜ!
この記事に何かそれはどうかなと思うところがあったら是非告げて欲しい!!失敗は成功の母と言うが、なるほど!こちらには母が欠けていたのだな!!家族はもう母しか残っていないのに皮肉な話だ。