仮面ライダーS/L25話
Tale25:決戦前のInferno
・9月に入った。蒸し暑さが少しは安らぐことを期待するが、しかし期待通りには行ってくれない時期。そして未だに冷房がガンガン効いた会長室に呼び出された3人。なお、いつからか馨はこの部屋に住み着くようになっていた。一時世話になっていた瑠璃の部屋は相変わらず誰も立ち入っていないらしい。
「さて、君達を呼んだのは他でもない」
椎名がモニタに画面を映す。
「ロシアの人工衛星が地球に迫りくる何かを捕捉したらしい。隕石にしては小さいサイズが複数らしい」
「……嵐山だな」
「その可能性が高いと思われる。複数とあるけど、エボルトの可能性は?」
椎名が雷王院を見る。
「低いな。奴が復活すれば全宇宙がただ事では済まない。まだ嵐山程度だから宇宙連合も静止しているんだろう。だからその複数の反応と言うのはスマッシュだろうな」
「スマッシュってのはエボルトに改造された人間の事じゃないのか?どうして宇宙から来る?」
「旧世界時代のものがまだどこかにあったか、或いは嵐山に力を与えたようにエボルトは今のままでも人間をスマッシュに改造できるかだな。後者ならどこかから適当に宇宙人を嵐山が確保して獲ってきたんだろう」
「改造宇宙人が相手なのか」
「バグスターとは性能が段違いらしいが俺達で倒せるのか?」
「スマッシュごとき倒せないようじゃ嵐山にもエボルトにも勝てない。大体スマッシュ怪人の強さはレベル60~70のバグスターに匹敵する」
「……あの時の俺が歯が立たなかったわけだ。……椎名、まだなのか?」
「ん?ああ、あれか。そろそろ出来るよ」
「何の話だ?」
「僕の新しいガシャットさ。怪我が治ってきたのはいいがだからと言って今更レベル10じゃどうしようもないからね。……あ~あ、将碁も喜屋君もレベル3になったばかりの頃にレベル10で乱入した時は心躍ったのになぁ」
「そのあとすぐにレベル30のグラファイトが出てきたけどな」
「……こほん。それよりも喜屋君。君の身体検査の結果だが」
「ああ、どうだった?」
「いつの間にか以前と同じように体内にバグスター反応が見られるようになってる。君が王国に行く前までは確かに反応はなかったんだけどね」
「……お前、どうやって変身したんだ?」
「よく覚えてない。何かもう色々どうでもいいやって思ったら変身できた」
「何じゃそりゃ」
将碁が嘆息。雷王院が無視して紅茶を飲む。
「で、嵐山の到着予想時刻は?」
「24時間後。ただし随伴しているスマッシュと予想される個体のいくつかがやや先行してる。嵐山と連携されると厄介だから先に潰しておく必要がある」
「……先に応対させることでこちらの消耗を誘っているようにもみえるがな」
紅茶を飲み終えた雷王院が立ち上がる。
「そのスマッシュどもは俺がやる。お前達は嵐山に備えろ」
「一人で大丈夫なのか?」
「舐めるな。スマッシュなんざバグスターよりましって程度だ」
「そうかい。まああんま無理するなよ。俺達の中でお前一番弱いんだから」
「お前は俺に負けただろうが」
「あんなのまぐれだろ」
「また檀正宗のところに戻りたいと?」
「誰がそんなこと言ったんだ取り消せよ」
「断る」
「はいそこまで。組まないと勝てない強敵が迫ってきてるんだからそれより前に君達が仲間割れしてどうするのさ」
「「「仲間と認めたわけじゃない」」」
「……見事にハモってるし」
椎名と馨が頭を抱える。
夜。とある喫茶店。雷王院が足を運ぶ。
「いらっしゃい。……ああ、あんたか」
「頼みがある」
「どうした?今度はスクラッシュドライバーまで奪われたのか?」
「お前も感じてるだろう?エボルトの復活が近い」
「……だろうな」
「奴に対抗するアイテムを発明してほしい」
「と言ってもな」
「ガシャットならともかくフルボトルを使った発明はお前にしか出来ない」
「だが、それを作るにはパンドラボックスが必要なんだ。スクラッシュドライバーは旧世界のものを引き続き持ってきたから問題なかったし、ライトニングゼリーボトルはパンドラボックスの欠片を使って生成したから出来たがあれを超えるとなるともはや……」
「……パンドラボックスそのものが必要となるか」
「そうだ。だがパンドラボックスは宇宙連合が厳重に保管している。そして俺達側から宇宙連合と接触する事は出来ない。トリニティドライバーが使えない時点でお前のパワーアップは期待できないんだ。チャージになれただけでも奇跡みたいなものだぞ?」
「……分かっている。だが、このままじゃいけない。このままじゃエボルトはおろか奴の手のものにすら一撃で倒されかねない」
「……ガシャットを使うことは出来ないのか?」
「駄目だ。バグスターとネビュラガスどちらかしか体内には入らない。そして現在体内のネビュラガスを排除する手段はない」
「リボルバーはどうしたんだ?フルボトルとガシャットを両方使ったんだろう?」
「……檀正宗が何かの発明をしたらしいが……」
「その発明、俺のところに持ってこれたら何とかならない事もないと思うが……」
「……分かった」
「あ、待て」
「何だ?」
「……お客さん、冷やかしかい?」
「……ミルクをもらおう」
翌日。午前5時半。
「……まさかこんなことをする羽目になるとはな」
雷王院は武の家に来ていた。アパートの一室だ。
「……やっぱり空いてたか」
ベランダの窓から中に潜入する。無駄に省エネ思考が高いから日中はともかく夜に冷房はつけないことは以前から知っていた。となれば窓を開けておくだろう。その推理は正しく、こうして無事中に潜入できた。
「がぁ~!!!がぁ~!!!」
当の本人はいびきをかいて眠っている。暗闇の中ワンルームの中を探し、
「見つけた」
机の上にドグマトリガーを発見した。それを懐に入れ、ついでにブレーカーを手動で落とし、玄関にあった1つしかない靴の紐を解いてからその場を後にする。
「おい、持ってきたぞ」
そして朝6時前。件の喫茶店に押し入ってドグマトリガーを渡す。
「……お前、時間考えろよ」
「悪いな。だがそろそろ敵の第一陣が来そうなんでな。先に出来ることはやっておきたかった。今日中じゃなくてもいいが早いとこ頼むぞ」
そう言って雷王院は表情を変えて戦場に向かう。体内のネビュラガスが何かと共鳴しているように疼く。恐らく地球に迫りくるスマッシュや嵐山と共鳴しているのだろう。その反応と直感に合わせて雷王院は足を進める。と、
「ん、」
進路に一人の少女。数度見覚えのある顔。
「嵐山瑠璃」
「……父が地球に来るのですね?」
「君は奴の仲間じゃないのか?」
「どうしてそう思うのですか?」
「君からネビュラガスの反応がないからだ。恐らく父親から見捨てられたんだろう」
「……」
「ネビュラガスは感染者の闘争本能を活性化させて戦うこと以外の思考能力を奪う。もし君が父親から捨てられていたとしてもそれは父親の本心ではない」
「……どうして私にそんなことを言うのですか?最高レベル20ですから戦力にはなりませんよ?」
「……俺の両親は、旧世界でエボルトが事を起こして死んだ。正確に言えばスマッシュにされたんだ。俺が仮面ライダーとして最初に倒した相手でもある。そして新世界では本来リセットされるはずだったが、生き返らなかったんだ」
「……」
「これから俺とあいつらは君の父親を倒す。恐らく殺さずに制すると言うのは難しいだろう。だから、もしも憎ければその後でもいい。俺にぶつけてこい」
「……」
「個人的にはあの二人にぶつけてうまいとこ重傷以上になってくれたらいいって思ってるがまあ、つまらない悪略さ。……まあいい、とにかくこれからの戦い。邪魔をすれば君も倒すことになる。だが見過ごしてくれれば俺を殺してもいい。俺が言いたいのはそれだけだ」
「……」
それだけ言って雷王院は瑠璃の脇を通って先へ進む。歩みを進めれば進める程に増していく鼓動。それはネビュラガスの反応が強くなっているのかそれとも恐怖故か。
「……まあ、何でもいい」
足を止める。瑠璃と別れてから十数分。正面を見ればスネークスマッシュ、ゼブラスマッシュ、モアイスマッシュが煙を挙げながら佇んでいた。着地して間もない証拠だろう。
「……久々のスマッシュ退治と行くか」
「スクラァァァシュドライバァァァァッ!!」
「変身」
「殴る!!痺れる!!ぶっちぎるぅぅぅ!!!ライトニンインチャージぶるぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
体を纏う稲妻を打ち砕き、ライトニングチャージが姿を見せた。その姿に反応してか3体のスマッシュが臨戦態勢を取って迫りくる。
「スマッシュども、再び人の世を蹂躙しようと言うのならその罪、万死に値する!!」
ライトニングが走り、真っ先に接近したゼブラに膝蹴りを打ち込み、追随してきたスネークと衝突させる。その2体の頭の上に飛び乗ったライトニングは頭を踏み台にして再び跳躍、そして頭に着地してを繰り返す。
「ライダーツインスタンピングクラッシュ!!」
10回繰り出すことで首の骨に亀裂が走り、膝を折る2体のスマッシュ。そのままとどめを刺してもいいがしかしライトニングはその勢いでモアイへと向かっていく。
「ライダースパイラルドライバー!!」
電磁力を纏い、超電磁スピンのように高速回転しながらゼブラに突っ込み、その巨体を弾き飛ばす。さらに素早く着地してモアイの両足を掴んでジャイアントスイング。やっとこさ立ち上がった他2体に向かってその重量を投げ飛ばし叩きつける。
「どうした!?スマッシュとはこんなに軟だったか?」
跳躍からのニードロップでモアイの腹を打ち砕く。が、その膝をモアイが受け止めホールドする。
「?」
「ハザードダウン」
物々しい電子音が響くと、モアイの全身の岩石ボディが砕け散り、中から黒い姿の埴輪のようなボディが出てきた。
「何!?」
「ハザードオン……埴輪ハザードスマッシュ」
「ハザードスマッシュ!?」
驚くライトニング。その前方でゼブラとスネークもまた同じように黒い姿になる。
「ハザードオン……ゼブラハザードスマッシュ」
「ハザードオン……スネークハザードスマッシュ」
3体の黒いスマッシュは軽々とライトニングを弾き飛ばし、後方の壁に叩きつける。
「ぐっ!なんてパワーだ……!!さっきまでの5倍はあるぞ!?」
激痛に耐えながら構えると、マッハ4の速度でスネークが接近し、前に出した両手10本指が蛇のように長く伸び、一瞬でライトニングの両手足と首を絞めつける。それだけでも装甲や筋肉が引きちぎれそうな圧力だったが、ゼブラが頭に生えた角をドリルのように高速回転させながら向けて突進。ガードを取れないライトニングの胸に突き刺す。
「がああああああっ!!!」
1秒。その1秒でゼブラの角がライトニングの胸を貫いた。その状態でスネークがライトニングの手足と首をそれぞれの方向へと全力で引っ張り、千切りにかかる。絞められた手足や首からも、雑巾のように血しぶきが上がっていく。俄かに意識が死んでいく感覚。しかし、その時は訪れなかった。
「間に合ってよかったよ」
声。次の瞬間、一台の高級車・ロールスロイスが超スピードで迫ってはスネークを轢き飛ばす。本来なら車の方がスクラップになるはずがスネークの方が吹っ飛んでその10本指を元に戻した。
「……何だ……?」
「どうしてこう、僕の周りには無茶な孤軍奮闘をしたがるライダーばっかりなんだろうね」
車の窓が開いて椎名が顔を出す。
「椎名……」
「完璧じゃないけどとりあえず完成したんだ。まあ、見学しててよ」
椎名が運転席に座りなおし、懐からガシャットを取り出してスイッチを入れる。
「インフェルノスペクター!!」
「着火!」
「チャッカーン」
起動したガシャットをレバーのようにハンドル横の穴に突き刺す。すると、車内全体が赤く輝きさらに車体そのものが赤く輝き始める。
「メーデー!メーデー!!メーデー!!!インフェルノスタート!!!」
電子音が響くと同時、車体が変形しまるでミニ四駆のような厳つい翼の生えた赤い悪魔のような形状になる。
「モード・ファイティングインフェルノ!ブラスターオフ!!」
やがてドアが開くと、
「アイムアレベル100インフェルノゲーマー!」
変身を終えてレベル100の姿となったローズが下りてきた。
「……」
開口沈黙のライトニング。
「雷王院君は車内で休んでなよ。自動再生機能がついているから休まるはずだ。病院いらず手術いらずのテクノロジーは君の職種に喧嘩を売っているかもしれないけど」
ローズは首を回しながらゆっくりと、しかし一瞬でライトニングの傍まで来ると、胸に刺さったままのゼブラを蹴り飛ばす。
「ギギガガガガガガァァァァァッ!!!」
「あ、喋った」
奇声をあげながら吹っ飛ぶゼブラ。それを無視してスネークが迫りくる。しかしローズは伸びてきた10本指を左手のかぎ爪ですべて一瞬でみじん切りにする。驚愕するスネーク。そこへ車がひとりでに動いて再びスネークを突き飛ばす。ライトニングの前でドアが開いたためライトニングは変身を解除してから中に入る。
「……本当に傷が治っていく……」
雷王院は既に止血されかけている己の胸を見て驚く。窓の外では埴輪が全力でドアを殴っているが振動1つ感じやしない。ちなみに車内ではスパイシーホットケーキがオープンチャンネルで流れている。
「……大財閥の会長が使用している車がミニ四駆みたいな中二病ぶっちぎったデザインで大音量でノンシュガーの歌流しながら仮面ライダーの変身アイテム兼武器になるのか」
武ではないが雷王院も中々もはやどうにでもなれと思いつつあった。その外ではローズが一人で3体のハザードスマッシュを圧倒している。
「ああいいね。いいよね、これ。素晴らしい戦闘BGMをバックに僕が無双する。僕が大財閥の会長になってやりたかったことの1つだよ。……では久々に戦場を蹂躙しようか」
リズムに乗りながらローズが左腕のかぎ爪と右腕の鞭を振り回し、サビのリズムに合わせてハザードスマッシュ達の手足を切断していく。
「か・わ・い・く・なりたいの♪」
鞭を払い、かぎ爪が岩盤を打ち砕けば、周囲にはハザードスマッシュの残骸だけが地に沈んでいた。やがて曲が終わるとローズも車も元に戻る。
「どうだった?」
「……いろいろ言いたいことはあるが4分18秒しか変身できないのか?」
「今のところはそうなる。けどリピートかければ問題ないよ。大事なのは曲が流れている事だからね」
「………………さよか」
「それより嵐山の到着予想地点が確定した。今から約40分後にここから南西20キロに到着するらしい。これから向かう予定だ。君はどうする?」
「……非常に癪だが足手まといになりかねない。とは言えお前が戦うのにこの車が必要なら俺はこれから徒歩で近くの病院に行こうと思う」
「近くの病院じゃ恐らくやってないと思う。既にここから半径100キロ地帯には衛生省経由で総務省から避難勧告が出されている。戦う気がないのならこの車の中で休んでいてくれ。戦闘に支障はない」
「……それでもいいが」
「何かな?」
「……地球の命運が関わっている可能性が高い戦いの中ノンシュガーの歌が爆音で流れている痛車の中で待機って言うのも何というか……」
「サパンナに置いてきてもいいんだよ!?」
「……キレるなよ」
結局椎名はこの車のまま雷王院を乗せて目的地に向かうことにした。途中車内でペロピタしようとして来たため申し訳ないけど顔面に本気のパンチをぶち込んでおくことにした。
電子空間。バグスター達が非常事態に向けて話し合いをしている。
「グラファイトとマグテラー、そしてパラドが出撃する。いつも通りか」
カイトが眼鏡を整える。
「……檀正宗はどうするの?」
パペットが美少女バグスターを数人侍らせながら気だるげに尋ねる。
「ここ数日連絡が取れない。リボルバーに裏切られただけでなく敗北したのが予想以上に悔しいようだな」
「敗者に気をかける必要なんてないさ。なあ、アイギス」
パラドがゲームをしながらアイギスをちらりと見る。
「…………私も出撃します」
「アイギスが?パラドの挑発に乗る必要はないのだぞ?」
「リボルバーには恨みがあります。デーモン撃破後に隙を見て排除します」
「待てアイギス。セーブとリボルバーは俺の獲物だぞ」
グラファイトが一歩前に出る。
「代わりにライトニングがいるでしょう?自分の失敗は自分の手で正そうと思っているので」
「しかし……」
「いいじゃないの」
グラファイトとアイギスの間にマグテラーが割って入る。
「デーモン撃破後にはセーブ&リボルバーVSグラファイト&アイギスでもやればいい。ただし、僕達の目的は飽くまでもデーモンの撃破だ。それを前につまらない諍いをした場合、君達を初期化する」
「……マグテラー。そう言うからにはお前も全力を出すのだろうな?そんなちんけな姿でなく」
「……何の事かな?僕はいつだって全力で戦っているさ。…………最後の手段さ」
バグスター達がそれぞれ視線を交差させる。やがてカイトが一歩前に出る。
「マグテラー、パラド、グラファイト、アイギス。このいずれかが倒された場合私とパペットも出撃する。マグテラーにも奥の手を出してしまう。バグスターだけの世界を作るためにも私達上級バグスターが欠けてしまう事は避けたい。パペットもいいな?」
「……まあ、何もかも終わりになるよりかは仕方ないかな」
「……そう言うわけだ。マグテラー、パラド、グラファイト、アイギス。行動を開始してくれ」
カイトの言葉を受けて4人が電子空間から姿を消す。
「……ねえカイト」
「何だ?」
「マグテラーって何か隠してるの?」
「……今から話すこと、本人は明言を避けているが十中八九正確な情報だと思われる。そのつもりで聞いてほしい」
「?」
嵐山到着予想地点。既に将碁と武が待機していた。総務省からの命令により既に街に人気はない。完全にゴーストタウンになっていた。
「おかげで朝食い損なった」
将碁が空腹を嘆く。
「何で一人暮らしの俺がちゃんと朝食ってきたのにお前は食ってないんだよ」
「コンビニ行くくらいの暇はあると思ってたんだよ」
「……一応聞いておくけどドグマトリガー知らないか?」
「いや?」
「……そうか。まさか檀正宗……?」
「まさか……」
将碁が何か言おうとすると、一台の車がやってきた。言わずもがな椎名の車だ。中から椎名と雷王院が出てくる。
「二人とも、準備はいいか?」
「腹減った」
「戦いが終わった後バイキングに連れて行くよ」
「……スマッシュは?」
「倒してきた。新しい力もテストは十分だ。……さて、そろそろだね」
椎名が言い、4人が見上げる。暗雲立ち込める午前の空。やがて赤い輝きが見えた。最初は一瞬だけ。しかし徐々にそれは確かに見えるようになり、音を伴ってくる。
「……」
「……」
「……」
「……」
将碁と武がガシャットを構え、雷王院がフルボトルを振りはじめ、椎名が車の中に入ってガシャットのスイッチを入れる。
「ネオスターライトドラグーン!!」
「ガンガンリボルバー!!」
「スクラァァァシュドライバァァァァッ!!」
「インフェルノスペクター!!」
「「「変身!!!」」」
「着火!!」
「レッツゲーム!ムッチャゲーム!メッチャゲーム!ホワッチャネーム!アイムア仮面ライダー!!」
「ガンガンバキュンバキュン!!ガンガンズギャンズギャン!!ガンバズギャットリボルバー!!」
「殴る!!痺れる!!ぶっちぎるぅぅぅ!!!ライトニンインチャージぶるぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「メーデー!メーデー!!メーデー!!!インフェルノスタート!!!」
それぞれの電子音が終わり、セーブレベル50Aサンクチュアリゲーマー、リボルバーレベル100ガンバズゲーマー、ライトニングチャージ、ローズレベル100インフェルノゲーマーが大地に立つ。そして、赤い閃光を振り払って仮面ライダーデーモンが東京上空に降臨した。