仮面ライダーS/L31話
Tale31:跋扈するDaemon
・病院。
「もう大丈夫でしょう。あとは自然回復力だけで何とかなるはずです」
病室では花家放射線治療医が宣告する。
「……すみません、花家先生」
ベッドの上で応対したのは雷王院だった。
「鏡先生から聞きましたが雷王院先生もあまり無茶はなさらずに。理由があったとしても医者が入院すると言うのは極めてよろしくない事です」
「……でも、」
「分かっていますよ。何かしら事情があるのでしょう。私はそこまで深入りできませんからこうして当たり前の事しか言えないだけです。それから確かに私の専門とするこの放射線治療は手術なしで傷を治すことが出来ます。ですが体細胞に掛ける負担は尋常ではありません。1度や2度ならともかく何度も行えば……」
「……すみません」
「……あなたはまだ若い。あなたにしか救えない患者もいずれ出てくるはずです。それをお忘れなく」
「……はい、ありがとうございます」
花家医師が退室し、代わりに椎名が入室する。
「同い年の鏡先生だけならともかく花家先生とも知り合いだったのかい?」
「どっちも研修をしてくれたのが花家先生だったんだよ。当時はまだこの放射線治療術は確立されていなかったから花家先生も通常の外科手術を担当していた。その誼だ」
「……で、君どうして昨日夜中に戦ってたの?相手は?」
「ビルゴサイトだ」
「……将碁が破壊したはずじゃなかったのかい?」
「元が量産型だから恐らく1体ではなかったという事なのだろう」
「……狙いが分からないね。地球を滅ぼすだけの火力を持っていながらそれを行使せずに仮面ライダーとばかり戦う。まるで仮面ライダーの戦力を測っているみたいだ。それに何の意味があるのか」
「……さてな。……ところでわざわざお前が見舞いに来たのか?週末には回復して退院できるのに」
「他の誰が君のお見舞いに行くと思う?馨さんは来たいって言ってたけど来たところで君には認識されない存在だし」
「……まあそれもそうか」
「それに聞きたいこともあった」
「聞きたいこと?」
「君、何かこのところ様子がおかしくないか?CRから離れて外科手術の研修を受けたり免許を取ったり戦場から離れつつしかしライトニング3の開発を僕に依頼したり。それで今日はこうして一人で戦闘しては倒されて入院。偶然と必然がうまく重なっているだけかもしれないが少し心配だよ」
「……別に何でもないさ。ただまあ、お前のおじさんを死なせてしまった。それを見てることしか出来なかった。……それが仕事なのは分かっているがもう少し何かできることはないかって思ってみただけだ。仮面ライダーとしても最弱で医者としてもただ死を待つだけ。そんな自分が少し嫌になってきてる」
「……あまり気にしないでくれ。酷な話かもしれないが君みたいな存在も必要なときはある。それが重なっているだけだよ。旧世界の情報を教えてくれるだけでもかなり助かる。暫く戦闘は僕達に任せてゆっくり休んでいるといいさ。新世界での技術じゃネビュラガスの悪影響は治せないかもしれないけど」
「……」
「まあとにかく今はゆっくりと休んでてくれ。ビルゴサイトの方は僕達で何とかする」
「……すまない」
「……いいって。……おや、ちょっと失礼」
椎名が懐からリザーブ・ザ・リバースのBGM流れるスマホを取る。嫌がらせに隣で裏声で歌ってやったら蹴り入れられた。
「で、何だって?」
「ああ。瑠璃ちゃんが目を覚ましたらしい」
「…………そうか」
雷王院の表情はあまりよくない。しかしそれは怪我が原因ではないだろう。
「……気にしないでくれよ。今は君自身の身の方が優先さ」
「……」
今度こそ椎名は退室して病院を後にした。
Transfar。まさかまたここにやってくるとは思わなかった将碁と武だがしかしそうも言ってられない。椎名に先行してやってきて若干のめまいを覚えながらも中に入る。そこで二人が見たものは馨に手伝われながら寝間着を脱ぐ瑠璃の姿で、直後に二人は瑠璃の可愛い悲鳴と馨のコークスクリューパンチと嵐山のキン肉ドライバーに襲われるのだった。
「ねえ今嵐山いなかった!?ねえ今嵐山いなかった!?」
両脇と頭の激痛に襲われながら二人は赤面の二人に歩み寄る。既に瑠璃の着替えは終わっていた。
「そんなことより乙女の部屋にノックもなしに入った言い訳を聞こうかしら」
「いや……その、前任者の癖で……」
「……そう言えばこの部屋は……そうだったわね」
「……瑠璃さん」
「はい。馨さんから話は聞きました。色々あったようでまだ少し混乱してますけど」
「……」
武が一歩前に出て急に頭を下げた。
「どうしたんですか?」
「踏んでほしいんだって」
後ろで囁く将碁の顔面に飛び蹴りを叩き込んでから武が向き直る。
「俺やっぱり瑠璃さんにだけは海龍王国での出来事話しておくべきだと思う」
武の発言。馨と瑠璃は訝しみ、将碁は表情を重くする。
「武、やめた方がいい」
「……お前はやっぱり気付いてたか。でも、」
「……私、眠るときのことよく覚えてないんです」
瑠璃が語り出した。
「お母さんとお父さんが……何だかよく分からなくなって……そのまま私は眠ったんだと思います。でも頭ではわかってるんです。お母さんはアイギスバグスターであり、海龍王国でたくさんのバグスターを生んだ。そしてお父さんは仮面ライダーデーモンとして地球の敵となった。そしてあなた達が暗い表情で私を見つめている。父はあとで生き返ったとは言え、あなた方がお父さんとお母さんを殺したのでしょう?」
「……そうだ。そしてそれだけじゃない。海龍王国の新王であった俺の弟は……あなたのお母さんとの間にバグスターの子供を作った。……それを海龍王国での手駒に使っていた。……それも俺が全部殺した……。瑠璃さん、俺はあなたになら何をされてもいいと思ってる。ゲムデウスバグスター宿してるから何しても死なないしすぐにどんな傷でも治る。だから意味がないかもしれない。だけど、だからこそ何をしても俺は構わない」
「……あなたも同じことを言うのですね」
「え?」
「……あなた方がお父さんと戦う前に雷王院さんも同じようなことを言っていました。今から自分達は私の父を討つ。生きたまま事を終わらせられる自信がないから自分が帰還した暁には復讐をしてくれって」
「……」
「でも、違いますからね?」
「え?」
「私、そんなこと望んでいません。お父さんが地球をどうにかしようとしたこともあなた方に倒されたことも生き返ったことも、お母さんがバグスターになって不倫してたくさんのバグスターを生んだこともあなたに殺されたことも全部私はこの目で見ていません。理解できないことに怒りなんて持てません。だから、」
「じゃあ僕に復讐してみるかい?」
そこへ椎名が入室した。
「……会長」
「いろんなことの責任者は僕だ。君にもいろんなことをした。いくら今の君が許すと言っても未来の君はそうではないかもしれない。この先君が真実をその目にして誰かに復讐をしたくなるかもしれない。その時には僕を訴えなよ。とっくに流れちゃってるかもしれないけど物証だってあったわけだしね」
「……」
瑠璃は顔を伏せる。椎名が一歩前に出る。と、将碁が握った拳を椎名の顔面に叩き込んだ。
「ぐっ!!」
「……素手で殴るとさすがに痛いな」
将碁が手を抑える。表情から本気で激痛感じてるのがわかる。
「椎名、お前はたまにあの野郎よりも勝手なことをするよな。流石に少し軽蔑できるぞ?」
「……まさか先に身内から殴られるとは。けど瑠璃ちゃん、君も今のくらいは……」
「……だから違いますって」
「……ん?」
「まだ全部が全部解決したわけじゃないのかもしれません。けど、バグスターの問題や仮面ライダークロニクル、檀正宗に檀黎斗、父の問題は解決したわけじゃないですか。確かに被害もこうむりましたがどちらかと言えば私は加害者側にいた方です。これが報いなのだと言われれば納得せざるを得ません。それでも夜に高ぶる感情が漏れたのならその時には一人枕を濡らせばそれでいいんです。……椎名会長。まだあなたを普通には呼べません。でも、私を裁くつもりがなくそれでいてなお私に分からない贖罪の気があると言うのならそこでチャラにしませんか?」
「……君は本当にそれでいいのかい?」
「はい。……喜屋さん。あなたも大丈夫です。確かにショックですけどあなたが責任を感じる必要なんてありませんよ」
「……瑠璃さん……」
「……で、あの、こんなこと言っておいてなんですけどお願いを2つ聞いてほしいのですが」
「何かな?」
「……お腹が空いちゃいまして」
1時間後。退院した瑠璃が椎名と武の奢りの下、120分10000円で海鮮丼大食い放題選手権に参加して見事優勝を収めた。
「……何やってんだあの子」
4位だった雷王院が白い目で瑠璃を見た。速攻で椎名に見つかってスパイシーホットケーキのリズムに合わせて顔面を殴られた。
「会長はノンシュガーが好きなんですか?」
「ああ、そうだよ。瑠璃ちゃんは?」
「私はメルティックスターです。ユニコーンになっちゃいました……」
「……君、いつの間に放送再開後の話見たわけ?」
後日、瑠璃が鼓子山と緑川薄い本対決をするがそれはまた別の話である。
ちなみに将碁と武は可愛い子ならみんな好きと言う発言をしたため他3人に酷く罵られて泣いた。
CR。衛生省の申請が通り、瑠璃もまた現役として所属することになった。一応の保険として嵐山との会話が禁じられたが本人としても別に話したいことはないらしい。ただ、嵐山が何か行動を開始したらしい話は聞いた。
「雷王院君、君は病院に戻りなよ」
「……放送再開後の話見てからな」
「後でノーパソ届けるからそれで見なよ」
「……自分のパソコンがいい」
口を尖らせる雷王院。しかしそこで雷王院の懐からChange! MyworldのBGMが流れた。
「失礼」
「……雷王院君はドレパ派かぁ」
「私とはどこか通じるものがありますね」
椎名と瑠璃が何やら会話に花を咲かせている。やがて通話が終わった雷王院は表情を重くしている。
「どうかしたのかい?」
「……エボルトが地球に来ている」
「……は?」
それは3時間前の事。海鮮丼大食い選手権が行われているところから7020キロもとい南西20キロにあたる駅前の喫茶店。
「らっしゃい」
「へえ、お前が喫茶店開いてるとは皮肉が効いてるなぁ。それとも俺にちょっとでも思い入れがあったのかな?」
「……エボルト……!?」
「そう構えるなって。パンドラボックスが奪われた俺はブラッドスタークにしかなれないよ。……尤もほぼすべてのフルボトルを失ったお前程じゃないかもしれないがな」
「……けどだからこそお前をここで倒す」
「ラビット!!タンク!!ベストマッチ!!!Are you Ready!?」
「変身!!」
「鋼のムーンサルト!!ラビットタンク!!イイイェェェェイイ!!!」
「おいおい、ここはお前の店だろう?お前が暴れて破壊したらコーヒーが勿体ないじゃないか」
「お前の淹れたまずいコーヒーよりはましだ!」
「あれ火星人の舌にはすごい合うらしいんだがなぁ……」
「俺もお前も火星人じゃない!!」
「っと!あぶない危ない。別に俺は戦うつもりじゃないんだけどな」
「姿を見せたら最後、お前だけは新世界に生かして残すわけにはいかない!!」
「いいのかな?この世界には今の俺なんかよりよっぽど危険な奴がたくさんいるんだぜ?宇宙連合とか魔王獣とか」
「何を訳の分からないことを……!!」
「つまりだ戦兎。お前以外の全てがお前と敵となると言う世界なら、それでもなお俺とは組めないって事かよ?」
「……何だと……!?」
「と言う事らしい」
雷王院が聴いた話を説明する。
「……桐生戦兎はエボルトと組んだのか?」
「いや、何も言わずにエボルトはどっか行ったらしい。相変わらずよく分からない奴だ」
「……お前はどうするつもりだ?」
「まさかと思うがそれは疑問か?たとえ何が相手でもエボルトと組めるわけがないだろ」
「……何を犠牲にしてでもか?」
「……どういう意味だ?」
「今の戦力でエボルトは倒せない。そのブラスタとかってのがどんなに呆れる程有効な戦術を使うかは知らないが脅威には違いないんだろ?それでもエボルトを倒そうと言うのなら手段は選ばない。お前ならそうするだろう」
「……何故そう言い切れる」
「長い付き合いだからな。……とにかく最初に言っておくがお前がまた悪魔に戻ろうと言うのなら俺達はまた戦う運命になるぞ?」
「……好きにすればいい」
雷王院と将碁が視線を交わす。やがてその剣呑は終わりを迎えた。CRの特殊サイレンが発報した。すぐに椎名がモニターの電源をつけて状況を確認する。
「……スマッシュ反応だ。数は1、しかしこの前のグルーラー並みかそれ以上に強大な反応だ」
「早速エボルトが動いたようだな」
「言っとくけど雷王院君。君はここで瑠璃ちゃんと一緒に留守番だ。12時間前に君は生死の境をさまよう程の重傷を得て緊急手術したばかりなんだからね」
「……お前のあの車に乗せてもらえればこれくらいすぐに治るんじゃないのか?」
「あれは今洗車中」
「……あれを洗車してるのか」
「とにかくここで大人しくしていてくれよ?」
椎名が言い、将碁、武が雷王院を一瞥してから退室する。
「……」
「あの、雷王院さん」
「どうした?」
「私、あなたのことよくわからないのでもしよければお話しませんか?私も旧世界とかの話、聞いてみたいです」
「……暇つぶしにはちょうどいいか」
雷王院は痛みを堪えたため息を深く吐きながらソファに座った。備え付けのパソコンを操作するとhttps://www.youtube.com/watch?v=Yqob0HnRu6sの動画を開く。
「……そ、それは……!」
「最新話は追えていてもこういうのは知らなかったりするんじゃないかな?まあ、一緒にこれでも見ながらゆっくり話そうじゃないか」
「は、はい!」
ヘリの中。
「……む、雷王院君が業務用パソコンでプリティーシリーズ公式チャンネルの動画を見ているな」
椎名がメッセージを受けて表情を変える。
「……何やってんだあいつは」
嘆息の二人。
「で、敵の情報は何かないのか?グルーラーみたいに何でもかんでも吸い込むような化け物じゃ不意打ちされたら一発だぞ?」
「ああ、その手のものはないらしい。とは言え街中で暴れていてエグゼスターを用いた武装警察官達が相当苦戦しているようなんだ。なんでも尋常じゃないパワーの持ち主らしい」
「単純なパワー勝負か。けどエボルトって奴がどんなこと考えてるか全くわからない。逆に警戒が必要だな」
「……将碁、グルーラーやビルゴサイトクラスの相手はお前が頼りだ。慎重に動いてくれよ」
「分かってる。けど、そうだな。ビルゴサイトも来る可能性があるのか。グルーラー規模と2対1だと少し厳しいかもしれない」
「僕達の方でなんとかフォローしてみるさ。将碁はなるべくアクセラレーターは使わずにブライトタブレットの力で頑張ってほしい。そのために経費で様々なアニメのブルーレイボックスを購入してはCRで視聴しているのだからね」
「……その中に明らか戦闘要素が皆無な日常系アニメがいくつか混じっていた気がするんだがな」
「でも面白かっただろ?異種族レビュアーズ」
「馨さんにメッチャ白い目で見られたがな」
やがてヘリは戦場へとたどり着く。夕焼けではない赤に空が燃える中、その銀と黒の怪物は闊歩していた。
「あれか」
「コードネームはデモンザウラー。身長330センチ、重量約2トン。全身が信じられないくらい筋肉で構成されている。何より目に付くのがあれだ」
椎名がモニタを拡大する。それはデモンザウラーの両腕。
「あれってどこかで見覚えがあるんだが……」
「と言うか確かあれは……」
「そう。嵐山が変身した仮面ライダーデーモンの腕に酷似している。檀正宗の邪魔が入ったとは言えそれでもあの日、デーモンの要素は何1つとして回収できなかった。つまり他の誰かによって回収された可能性が高く、」
「……元々の持ち主であるエボルトが動き始めた以上、それもまたエボルトの可能性が高いってわけか」
「……また宇宙旅行させられるとなるとちょっと背筋がいたくなるぜ」
「けど、やらなきゃいけないよ?」
「……やらないなんて言ってないよな、将碁」
「ああ。行くぞ」
3人がガシャットのスイッチを入れてからドアを開けて上空、ヘリから飛び降りる。
「ネオスターライトドラグーン!!」
「ガンガンリボルバー!!」
「インフェルノスペクター!!」
「「「変身!!!」」」
電子音を纏い、電光と共にデモンザウラーの前に3人の仮面ライダーが舞い降りた。
「ギギゲゲゲエゲゲギャァァァァゴッ!!!」
「こりゃ怪人じゃなくて怪獣だな」
リボルバーが発砲、ローズが蔦で拘束。その間にセーブがタブレットを操作する。
「GEAR戦士電童でユニコーンドライブ・インストール!!」
電童の姿に変身し、右腕にユニコーンドリルを装備。背中のハイパーデンドーデンチが活性化し、
「ユニコーンドリル・ファイナルアタック!!」
右腕のドリルかららせん状の超エネルギーが放出され、拘束されて動けないデモンザウラーに迫る。が、
「ビギャァァァァァァゴッ!!」
デモンザウラーは腕を軽く振るうだけで、
「うわっ!!」
ローズを軽く引き寄せ、その一撃の盾とした。
「ローズ!!」
「ぐがあああああああああああああああ!!!」
エネルギーの放出が終わり、背中から黒い煙を発生させているローズがデモンザウラーによって投げ捨てられる。
「ローズ!!」
リボルバーが全力疾走、地面に叩きつけられる寸前で割り込んでローズの回収に成功する。それを確認してから、
「ゼットンの力!!一兆度の火炎弾!!」
ゼットンに変身して一兆度の火炎弾を発射する。それを背後で確認したリボルバーはローズを抱えたまま全速力でその場から離れる。直後に火炎弾がデモンザウラーに着弾する。
「……どうだ……?」
デモンザウラーの傍まで瞬間移動で接近して状況を確認するセーブ。すると、頭のアンテナを掴む太い腕。
「!?」
「ビギャァァァァァァゴッ!!」
爆炎の中からデモンザウラーが姿を見せてセーブを片手で振り回し、勢いよく地面に叩きつける。
「ぐううううううううううううううう!!!」
ダメージにより、ゼットンから元の姿に戻り、大きくへこんだ地面を転がりまわるセーブ。
「……へえ、面白い技術使ってんだな」
戦場からやや離れた廃墟。そこに一人の中年が立っていた。人間に扮したエボルトである。
「情報としては知っていたが、実際に見てみるとどうして中々……ん?」
直後、エボルトの背後にビルゴサイトが出現し、猛烈な勢いでエボルトに向かっていく。
「おっと、もう気付かれたか」
エボルトは怪人ブラッドスタークの姿になって攻撃を受け流しつつ距離を取る。
「ブラッドスタークとしての姿と能力はあいつくらいにしか見せてないが果たしてその俺にどこまで対応できるかな?」
エボルトは笑い、ビルゴサイトの拳を受け止め肘の関節を決める。
「始まったか」
2つの戦場を俯瞰に眺める影。それは檀黎斗だった。
「地球の命運を再びかけた戦いが始まる」
小さく笑い、黎斗は電子に姿を消す。