それは砕かれた少女のお話~だいあ考察記事~
・カラッとジュエルにキラにちは~!!キラッと元気にだよにちは~!!
今回はプリズムの情熱のままにだいあちゃんについて語っていこうと思います。事前に筆者のnote「虹色って何色?~虹ノ咲だいあ考察記事~」を読んでおくといいかもしれない。実際この記事では飽くまでもバーチャルだいあちゃんメインで行こうと思ってるので虹ノ咲さんについてはこの記事でだいたい説明しているのでそちらをば。
ちなみに内容から若干虹ノ咲さんディスってるように見えるかもしれませんが目をつぶって下せぇ。そんな意図はない。ただ対比としては使っているので。そのつもりで。
で、早速だがバーチャルだいあちゃんは元々ミルキーレインボーのデザイナーズ10に選ばれた虹ノ咲さんに与えられたデバイス・デザインパレットから生まれたナビゲータである。ロックマンエグゼで言うネットナビである。そのモデルになっているのは虹ノ咲さんが幼い頃に読みデザイナーとしての夢の最初の一歩となった絵本に出てくるお姫様だ。自分が表に出るつもりが一切なかったのか自分と同じ名前を付けている。
そんなだいあちゃんの役目はプリチャン2年目のメインタイトルであるジュエルオーディション及びその最終選抜であるジュエルコレクションの進行役である。これも本来ならばデザイナーズ10張本人である虹ノ咲さんの仕事なのだが本人の気弱な性格からだいあちゃんが代役として担当している。実際ポップなバーチャルプリチャンアイドル(この肩書も多分本来存在しない。と言うかどこから出てきたんだろう?)は大会のナビゲータとして最適なため様になっていた。正逆に虹ノ咲さんはこの時期おとなしく物語に深く関わらずにいたため、虹ノ咲さんよりも先に他のプリチャンアイドルたちと関係を持っていた。
色々な思いから表に出ることが出来ない虹ノ咲さんの代わりにだいあちゃんはジュエルオーディションを進行している。しかし、決め台詞である「そこにいるのにここにいない」を体現しているかのように飽くまでもナビゲータ以上の役割を持っておらずそれぞれのキャラとのプライベートな会話などは一切行なっていない。ジュエルオーディション並びにジュエルコレクションの進行役としてしか発言していないのだ。各話冒頭のあれ除く。だがそれでもアイドルたちの心の色が120%表現されたライブを見てきたのだ。その色たちが少しずつだがだいあちゃんにも心を芽生えさせてきていた。本人すら知らない内に。
しかしそんなだいあちゃんにも転機が訪れる。虹ノ咲さんがいろいろありながらも自分の正体を明かしたうえでアイドルデビューを果たしたのだ。
デザインパレットの中で生み出されて以来ずっと一緒だっただいあちゃんと虹ノ咲さん。二人三脚でジュエルオーディションを作って進めていったが、いつかは虹ノ咲さんも一人のデザイナーとして表に立たないといけない。だいあちゃんに頼ってばかりではいられない。しかしその時は1年程度で終わってしまう。虹ノ咲さんはみらいと一緒に日々を楽しんでいる。
めるめるの発明で電脳世界に行き、やっと触れ合う事が出来た二人。一緒にドタバタパニックに巻き込まれ、しかし楽しい時間を過ごせたのも束の間。虹ノ咲さんは今までだいあちゃんに支えられてきた分これからは自分で前に進むことを決意してそれをだいあちゃんに明かす。それは相手が同じ人間ならば寂しくも喜ばしい事だと思えることかもしれない。だが、だいあちゃんの生まれたばかりの心には自分の役目は終わったと認識してしまったのだ。
どうしたらいいか分からなくなってしまっただいあちゃんのプリズムの心が黒く染まり、結果筆者が勝手にアナザーだいあちゃんと呼んでいる姿になってしまう。アナザーだいあちゃんはそれまでと違い、プリチャン(忘れがちだがライブだけがプリチャンではない)を配信している人たちのところへ赴いては電子を操る能力を用いて配信を失敗させるいたずらを繰り返すようになってしまった。それでも虹ノ咲さんとの会話から自分の心の中にある感情が何なのかを知るためにまりあちゃんを訪ねる。
恐らく無意識ながらどんなものでも「可愛い」として全肯定してくれるまりあちゃんなら自分の新しい存在意義を見つけてくれると思ったのだろう。実際にまりあちゃんと接する事でもそれは見いだせなかった。可愛いという感情もだいあちゃんは理解できない感情だった。
次に虹ノ咲さんが大好きで仕方がなくて自分すら変えるための一歩を踏み出す要因にもなったみらいちゃんの元へ赴くのだが虹ノ咲さんは付きっ切りでみらいちゃんと一緒にいるため中々輪に入ることが出来ない。勇気の一歩を踏み出して友情のレインボージュエルコーデを手に入れた虹ノ咲さんは積極的にみらいちゃんと接することになったのだ。しかしそれを何度も目撃していけばアナザーだいあちゃんの心も決して面白くはならない。自分がどうにか分からない状態になっているのに虹ノ咲さんは自分が大好きなみらいちゃんの事ばかり考えて行動してずっと一緒にいるのだから。こうして自分の中にあった感情が何なのか分からないままだいあちゃんは面白くない感情ばかりを募らせていってしまう。
そんな中ついに開催されたジュエルコレクション。既にアナザーだいあちゃんは興味を失いつつあったがしかしこれまでと同じようにジュエルコレクションの進行役をだいあちゃんにやってほしいという声が観客から上がったことでノリノリで戻ってきたのだ。みんなが自分を必要としてくれている。それだけを頼りに笑顔で戻ってきたアナザーだいあちゃんは引き続きのノリで(実際に少しだけ声とかも元のだいあちゃんっぽくなっている)コレクションの進行役を引き受け、何故か役割もないのに特別席にいてコレクションを見守っているデザイナーズ9のメンツと一緒にコレクションの行方を追うことにしたのだ。ジュエルコレクションについては後に別途記事を書く予定です。待って下せぇ。
そしてついにライブは最後の一人・虹ノ咲だいあを残すだけとなった。
虹ノ咲さんを選手として見ているがしかしそれ以上に様々な感情が胸の中にあるからなのか一応紹介こそするもののかなり感情を押し殺したような棒読みで、しかもすぐに終わらせて帰って行ってしまう。ちなみにすでにみらい達はもちろん客席の人たちも虹ノ咲さんとだいあちゃんの関係については知っているため肩入れしないように敢えてこんな冷たくしているのかもしれないとか思っているのかあまり客席側から声が上がることはなかった。
自分のため、仲間のため、だいあちゃんのため。友情のレインボージュエルコーデに身を包んだ虹ノ咲さんのライブはこれまでにないスケールで客席を沸かせる。しかし相反する曲を持っているアナザーだいあちゃんからの反応は一切ない。
結果的にジュエルコレクションの優勝商品であるダイヤモンドジュエルコーデ改めだいあモンドジュエルコーデは虹ノ咲さんの手からみらいちゃんに渡された。そう、進行役以外にも存在しているだいあちゃんの役目であるジュエルコーデの譲渡役を虹ノ咲さんに奪われてしまったのだ。しかも姿と役割からうっかりみらいから下の名前でだいあちゃんと呼ばれた虹ノ咲さんももう躊躇いやら後ろめたさがない関係からだいあと呼んでほしいと言われてしまう。
自分の役割を奪われ、存在意義を失い、あまつさえ自分と同じ名前で呼ばせ、そして虹ノ咲さんを下の名前で呼ぶ権利は今まで自分しかなかったのにそれすらみらいちゃんに許可する。虹ノ咲さんにとっては夢のような瞬間だったのだがだいあちゃんからすると奥歯噛み締め拳握りしめる程悔しく悲しい最後の一撃でしかないのだ。結果としてだいあちゃんの心のジュエルは砕け散ってしまった。それにより世界中からプリズムのきらめきが失われてライブは出来なくなるわ、ジュエルコーデは消滅するわとどこかで見たような大事変が起きる。
虹ノ咲さんからの言葉も自分を拒絶する言葉で返すだけ。虹ノ咲さんもだいあちゃんも自分の気持ちの整理が出来ずしかし分かってあげたいという相手の気持ちも理解できない、そんな状態になってしまっている。そして、そんなことは人間関係ではよくあることだ。もうすでにだいあちゃんはそんなよくある人間と変わらない心を手に入れていることを誰も気づいていない。そう、だいあちゃん自身はもちろん虹ノ咲さんでさえも。
電脳世界のキラッチュの力を借りてだいあモンドジュエルコーデを発動させたみらいはその願いの力で虹ノ咲さんと共にだいあちゃんの元へと飛翔する。言葉だけじゃ届かない、溢れる胸の思いを歌に込めて二人はライブを行った。虹ノ咲さんが望み、だいあちゃんが拒む。しかしそれでも二人にとっては絶対に必要な未来のための歌。
良くも悪くも虹ノ咲さんとだいあちゃんの1年間にみらいちゃんの存在は欠かせないものだ。だいあちゃんと会って最初の4か月ほどは虹ノ咲さんはみらいちゃんとまともに会話もしていない状態だがそれでも虹ノ咲さんがだいあと一緒に作ろうとしていただいあモンドジュエルコーデは元々みらいちゃんに着てほしい衣装だった。そのための相談などもあっただろう、仕事部屋に籠もりまともに会話すらしていない少女のために最高のコーデを作る日々にはそれこそ不安に打ちひしがれる夜もあっただろう。それもだいあちゃんと一緒に乗り越えてきたのだ。みらいちゃんと会ってからも実は虹ノ咲さん、だいあちゃん、みらいちゃんの3ショットは存在していないのだがそれでも虹ノ咲さんとだいあちゃんにとってみらいちゃんは欠かせない存在には違いない。そして虹ノ咲さんとみらいちゃんにとってもだいあちゃんは欠かせない存在。新しい形の三位一体。
あんな様とえもちゃんの関係も近い。互いに相手の事を理解しあえているとは言えないだろう。しかしそれでもお互いにとっては欠かせない存在だ。決して分かり合えない部分もあるだろう。それでも対話の精神は大事。ネプチューンマンもそう言ってる。
虹ノ咲さんとみらいちゃんはそれぞれ自分をすべて見せてくれた。もう一度二人と対話する気になったのかもしれない。だからなのかもしれないがだいあちゃんは帰ってきてくれた。元の姿に戻ったうえで。ちなみに元の姿に戻れたのは上記でだいあちゃん自身がアイドルのみんなと触れ合った事で手に入れたトモチケ及びジュエルコーデの力のおかげ。ちゃんとだいあちゃんともみんな関係を持っていた。自身のアイデンティティとか虹ノ咲さんにすべてを奪われたこととか確かに嘘には出来ないことだがしかしそれだけがすべてではなかったのだ。既にだいあちゃんはそこにいるけど誰の心の中にもいるバーチャルプリチャンアイドルのだいあちゃんだったのだ。
総括
生まれた時からずっと笑顔だっただいあちゃんに油断していた虹ノ咲さんが悪……こほん。きっと虹ノ咲さんとだいあちゃんの会話はみらいちゃんの事とジュエルオーディションの事とコーデの事しかなかったのだろう。虹ノ咲さん含むアイドルたちに触れていくうちにだいあちゃんにも虹色の心が生まれてきているということに気付いてやれなかった。それがだいあちゃんがアナザーだいあちゃんになってしまった最大の原因。そこでちゃんとだいあちゃんと話し合っていればよかったのだ。プリチャン2期の物語は虹ノ咲さんの成長がメインとなっていて実際に89話まではそれが焦点にあたっていて虹ノ咲さんも己の未熟などに気付いていたのだがしかし回りが誰もそれを責めてあげられなかった。慰めることしか出来なかった。それがきっかけで起きたこの惨事は、ちゃんと虹ノ咲さんの成長やそれ以前から溜まっていたツケを果たすためのチャンスでもありそれを描いているプリチャン2期の展開は素晴らしいを通り越してすさまじいと言えるかもしれない。何より虹ノ咲さんの成長とだいあちゃんの崩壊が並行していったのがより凄まじい。最初の頃はだいあちゃんポップで能天気だから陰キャな虹ノ咲さんの気持ちについてこれないんだなぁという感想を多くのプリズムの同胞たちに与えていただろうが終盤になってそれが一気に逆転したのだ。みらいちゃんにやっと(8画面以外の)秘密を明かせてノリノリになっている虹ノ咲さんは浮かれすぎてだいあちゃんの苦悩に気付いてあげられないんだなぁと若干恨みすら抱かれる程構図が逆転している。何が言いたいかと言えば、純粋で自分に正直で可愛くて仕方がない。虹ノ咲さんもだいあちゃんも立派なポップアイドルだったってことさ。見返してみろよ、今までのだいあちゃんの笑顔をさ。愛らしくて仕方がないぜ?