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キラッとプリチャンVSアイドルタイムプリパラ!!~友情!ダイアモンドタッグマッチ!!~第1話「超えなきゃいけない背中」
・朝10時。プリパラ広場。今回のタッグマッチのためだけに赤城財閥によって製作、設置された特殊リング。タッグマッチが前提のため通常のリングの1.5倍の広さ、タッグパートナー用の椅子、そして何よりも0.1秒単位でリングの上で激突している最大4名の勇姿をその超人強度、ダメージ含め細かいレベルまで詳しく見ることが出来る特殊カメラ&モニター48個。
「……な、何かすごいっすね」
「にの、あの人に驚いちゃいけない。それにすごいのは財力だけじゃない。この前のオメガマン・アリステラ戦ではあのキン肉マン・スーパー・フェニックスですら勝てなかった強敵を相手に26発もパンチを受け続けて一度もダウンしなかったんだ。あの人の根性と気合は超人強度じゃ測りきれないものだよ。それに、」
にのとすずがリングを挟んだ前方を見る。ゆっくりと歩み寄ってくるのはさらとまりあ。
「今日はいい勝負にしよう。すずくん、にのくん」
「すずちゃん、にのちゃん。可愛く戦いましょうね」
「……さら先輩、まりあ。すずは絶対に負けないよ!!」
「にのを忘れてもらっては困るっすよ」
リングの上。4人が握手をする。
「パパキララ宿のみなさーん!!今日はダイヤモンドタッグマッチへお越しいただきありがとうございまーす!!実況は私、めが姉ぇと、」
「解説は七星あいらと、」
「幸瀬なるでお送りいたします!」
「あの史上最強のチームと言われた伝説のアイドル超人チーム・セインツから二人が来てくれていまーす!!本当は他にも呼んでいたのですが行き倒れのため来られませんでしたー!」
「……はぁ、」
客席でしゅうかがため息をつく。
「ではいよいよダイヤモンドタッグマッチの第一回戦!!身長142センチ、体重33キロ、超人強度99万パワーの虹色にのちゃんと身長145センチ、体重38キロ、超人強度92万パワーの黒川すずちゃんからなるブレイキンスクランブルと、身長163センチ、体重56キロ、超人強度90万パワーの緑川さらちゃんと身長162センチ、体重55キロ、超人強度90万パワーの金森まりあちゃんからなるクールヒーツの対決です!!」
めが姉ぇのアナウンスからにのとまりあがリングの外に出て、すずとさらだけがリングに残る。
「先鋒はすずちゃんとさらちゃんです!!それでは、見合って見合って……はじめっ!!」
試合開始のゴングが鳴り、リング中央で激突するすずとさら。
「お~っと!!最初は手四つによる力比べです!!体格が大きく違う両者ですがパワーは互角!!これも超人強度の差でしょうか!?」
「ふふ、すずくん。また力をつけたようだね」
「こんなのまだまだだよ!!」
「おっと!すずちゃん、手四つのまま飛び上がり、さらちゃんの肩に着地!!そのまま……!!」
「ハイスピード・ロックンロールスピン!!」
「さらちゃんの手をさらちゃんの頭上で組ませ、その上でブレイクダンス!!すずちゃんの体重とブレイクダンスの荷重がさらちゃんの両手と首関節にのしかかる!!!」
「さっきから体重体重言ってるけどすずそんな重くないからねっ!?」
「おっと、おしゃべりはよくないな」
「!」
「さらちゃん!一瞬だけ止まったすずちゃんを両手の力だけで持ち上げて、正面へと投げ飛ばす!!すずちゃん何とか着地!!」
「もっとスピードを上げていくよ!!」
すずが走り出すと、どこからかスケボーが走ってきてすずがその上に乗る。
「爆走超人の醍醐味を見せてやる!!」
身構えるさら。その脇を軽く通り抜け、背後を奪ったすず。
「!」
「行くよ!!スイングスケートスパイラループ!!」
「出ました!!すずちゃんのフェイバリット・スイングスケートスパイラループ!!爆走するスケボーに乗りながら相手をかっさらい、羽交い絞めなどの関節技にかけながら空を飛び回る大技!!かつては完璧超人始祖のカラスマンにも中破程度のダメージを与えられた大技がこんな序盤から繰り出されます!!」
「少しだけキン肉族3大奥義のマッスルインフェルノに似てますね」
「あいらさん、あれを食らったことありましたっけ?」
「直接の伝承者と戦ったことはないけども何でも技をコピーしちゃう子がいてその子に昔使われてKOされたことがあったの。懐かしいな。っと、試合に集中しないとね」
「解説が話している間にもすずちゃんは空を舞う!!赤城財閥特製リングのモニタによりますと現在速度は時速120キロ!!その速度で動き、衝撃がすずちゃんにがっちりと絞められたさらちゃんの両腕の関節に集中しています!!早くもここでさらちゃんの両腕は破壊されてしまうのでしょうか!?」
「そんなはずはない!!さら先輩がこの程度で戦闘不能になるわけない!!だからすずはその先を行く!!」
「お~っと!!すずちゃんさらに加速!!現在速度は時速190キロ!!しかもすずちゃん、体の向きを変えてスケボー、さらちゃんごとさかさまになった!!空を飛ぶすずちゃんならともかく、さらちゃんはこれで自分の体重まで関節にかけてしまう事になりました!!」
「……技名は?」
「え?」
「技名はないのかい?……ないのならずっと練習して身につけたものではない。付け焼刃と言う事だね……!!」
さらは空中でスケボーを蹴ってすずもろとも真っ逆さまに地面に落ちていく。それだけではない。空中ですずからの羽交い絞めを振りほどき、逆に閂状にすずの両腕の関節を決め、同時に正面から向かい合った状態ですずの両足を四文字に決める。
「すず!!」
「くっ!!」
「行くよ、ハイロードバスター!!」
そしてその状態のまますずの背中からマットの上に落下。すずの四肢から嫌な音が響き渡り、その悲鳴をスケボーの落下音が遮る。
「すずちゃんのスイングスケートスパイラループ敗れる!!!しかしこれも前回この二人の対決の際には行なわれた光景です!!すずちゃん、前回の失敗を糧に作り出した改良技も難なく破られてしまいました!!」
「さらちゃんが離れてからダウンカウントですね」
さらがゆっくりと技を解除してすずから離れる。
「……ううう、」
すずは意識はあった。しかし、ダメージが大きくまともに体を動かせずにいる。その中、めが姉ぇのダウンカウントが開始された。
「すず!!」
「……にの……」
「すずがその人と因縁があるのは分かったっす!!でも今はすずだけが戦ってるんじゃないっす!!にのに任せるっす!!」
「……くっ」
すずはダウンカウントが続く中、何とか体を動かしてにのにタッチする。
「すずはゆっくりと休んでるっすよ」
「おーっと!!ここですずちゃんから交代のタッチを受けたにのちゃんがリングに上がった!!すずちゃんはリングの外で休憩に入ります!!」
「やあ、にの君。今度は君が相手かな?」
「……すず。多分、にのにとってもこの人は超えるべき壁っす。なぜかこの人からはにのがどうしても越えなければならないあの3人の姿が見え隠れしてるっすから」
リングに上がったにの。自らの頬を叩く。すると、
「うおおおおおおおおっす!!!!」
「!?」
「おおっと!!にのちゃんの全身から激しい炎のようなオーラが燃え上がりましたぁぁぁぁっ!!!これはあのゴッドアイドル・ドレッシングパフェが得意としている切磋琢磨の友情パワーに酷似しています!!」
「あ、にのちゃんが仕掛けます!!」
一番最初に反応できたのはあいらだった。次の瞬間にはにのはさらの眼前にいてその胸に拳を叩き込んでいた。
「ぐふっ!!!」
「これが、にのの成長の証っす!!」
くの字に曲がったさらを肩に担ぎあげたままにのは大跳躍。頭のリボンが翼のように広がり、羽ばたけばその跳躍が加速し、一瞬で200メートルまで上昇。逆さまになったさらの前から両脚を抱え込むようにホールド、ひざの関節を決め、自身の両足をさらの顎に乗せ、急速落下。
「スクランブルロックドライバァァァッ!!!」
リボンが逆に羽ばたき、さらが上昇したと感じた次の瞬間には亜音速での急速落下が始まる。
「……これは、まずい……!!」
「まさか、にのがさら先輩を……!?いや、あれは!!」
にのとさらがマットの上に落下……する寸前。
「もうだめですよ、さらちゃん。まだ見ぬ相手との戦いを楽しみにするのは可愛いですけど、それで自分が倒されてしまうのはちょっとかわいくないです」
「す!?」
にのが違和感を感じた。自身もさらもマットの上に落ちていなかった。見れば、淡い光に包まれたまりあがさらごと自分をキャッチしていた。
「で、出ました!!まりあちゃんの聖母の力!!アビスマンの猛攻をも正面から防ぎ切ったプリチャンアイドル超人最高とも言われた鉄壁の防御力の本領発揮です!!にのちゃんの切り札をさらちゃんごと受け止めて、リングの上の聖母は……無傷です!!!」
「この感じ、らぁらの真の友情パワーに似てるっす……いや、防御力だけならそれ以上かもしれない……!!」
「す、すまない、まりあくん」
「いいですって」
さらのタッチを受けたまりあが優しく二人をマットの上におろし、さらがリングの外に出るのを確認すると両手を広げてにのを誘う。
「さあ、にのちゃん。まりあが相手ですよ~?」
「にの!!気を付けて!!まりあの可愛い拳法は意味不明だよ!!」
「そう言う相手はよく知ってるっすよ!!……構えてくれている間に最大火力で倒す!!じゃないと搾り取られる!!」
走るにの。リボンの加速も合わせた超特急エルボータックルがまりあの顔面にぶち込まれる。
「チェスト!!ストームエルボーっす!!」
そのまままりあの顔面にとびかかり、首と肩口にまたがる形でまりあの顔面にエルボーのラッシュを叩き込む。
「う、うわあ……。まりあの可愛い顔によくエルボー叩き込めるなぁ……。あれがゴッドアイドルって言うすごい人達に憧れているにのの覚悟って奴なのかな……?」
すずがドン引きしている間もにのの猛攻は止まらない。しかし、事態は全く動いていない。
「す!?」
「にのちゃんの膝小僧可愛いです~!!肘さんも可愛い!女子小学生の汗がこもった股間周りの臭いとっても可愛いです~!!」
「お~っと!!まりあちゃんやはり無傷!!そして可愛いのさえずりが発動しています!!可愛いを連呼している間のまりあちゃんはあの超人閻魔の攻撃ですらまともなダメージを与えられないと一部では噂になっています!!」
「うちのまりあちゃんですから。今までにあの鉄壁を超えられたのはべるちゃんのヴァルキュリアスパークだけですもの!」
「それってなるちゃんのバタフライエフェクトも通用しなかったって事?」
「はい。普通の状態ならともかくああなったまりあちゃんはそれこそ超人閻魔でさえ手を焼くほどの防御力があるんです。流石に超人閻魔の奥義の前では背骨を砕かれてしまいましたけども」
「超人閻魔……。最初にプリズムの管理世界の支配から逃れて独自の世界を作り出した超人界の神。私達セインツやソラミスマイル、女神姉妹も時の精霊よりかも上の存在。そんな人と戦って生きていられている時点で既にまりあちゃんは神の領域に一歩足を踏み入れているのかもしれない」
「なのでにのちゃんのあの程度の攻撃では無傷なのは当たり前です。まあ、そのにのちゃんもあの年齢にしてはかなりの攻撃力を持っていると思いますけれども」
「神アイドルではない、しかし匹敵する例外クラスであるゴッドアイドル超人。歴史上唯一の存在となったドレッシングパフェ唯一の弟子だもの。この勝負、私達でもいつ試合でぶつかるか分からない子たちが戦っているんだよね」
あいらとなるが再びリングに視線を戻す。
「このっ!!このっ!!!このっ!!!!」
「可愛い!!可愛いです~!!!」
「な、何なんすかこの人!?さっきからエルボーが目玉にぶち当たってるのに瞬きすらしないっすよ!?」
「にの!!正面からまりあを倒すのは無理だ!!サブミッションか投げ技で対処しないと!!」
すずがリングに乗り出そうとするが手足のダメージは予想外に残っていて立ち止まってしまう。それを見たさらはピースサインを頭上に飛ばす。
「おおっと!!さらちゃんピースサイン!!あれはこれから双極必殺技(ツープラトンフィニッシュホールド)を仕掛けるというサインです!!あれをしない限りたとえツープラトンで相手を倒してもダウンカウントを取れないため、冷静な判断です!!ああ!!さらちゃんリングに上がってまりあちゃんに向かって走り出します!!」
「さらちゃんはさっきのにのちゃんの攻撃を受けていませんからね。無傷です」
「まりあくん!!」
「はーい!!」
さらの声を聴いてまりあは殴られ続けながらにのを固くハグする。
「しまっ……!!」
「見たまえ、これが僕達の完璧双極必殺技……!!」
さらが後ろからまりあに抱き着き、にのごとまりあを持ち上げて跳躍。その体が緑色に輝き、空中で加速。摩擦熱によりにのとまりあが炎に包まれ、まるで小さな太陽のようになる。
「情熱の……ゴールドロックメテオール!!!」
空中でさらが二人によって形成された小さな太陽を全力で蹴りつけ、亜音速の速度で小さな太陽はリングにたたきつけられる。
「うわああああああああああああ!!」
リングの外にいたすずが、生じた大爆発を受けて吹き飛び、5メートル離れた壁にたたきつけられる。
「な、何なんだよこの技……前にすずと戦った時には、いやマリキータマンとの戦いでさえ見せたことがなかった。……正真正銘さら先輩の新しい必殺技(フェイバリット)……!!いつも優雅で格好良くて仕方がないあの人は、いつの間にこんなすごい技を完成させていたんだよ……!!」
大爆発し、炎上するリングを膝を折りながらすずは茫然と見ることしか出来ない。やがて、作動したスプリンクラーによって火が消し止められ、リングが再び姿を見せた。そこでの光景にすずは思わず立ち上がる。
「……はあ……はあ……はあ……!!!」
全身から煙があがりながら、しかしにのは友情パワーの光に包まれたままリング中央でさらと手四つで組み合っていた。頭のリボンは消失。ネオンドロップのコーデは完全に燃え尽きててにのはスク水姿になっていた。それでもにのは立っていた。
「……信じられないな」
さらは劣勢を感じていた。明らかに相手は死に体だ。しかしそれでも気を抜けば次の瞬間には自分が倒される気がしてならないのだ。視界の隅っこの方ではまりあが体育座りして休憩している。流石に先ほどのあれをもろともに受けては無傷ではなかったようだがダウンには程遠い。
「……にのは負けられないっす……」
「これ以上戦えば君は死ぬかもしれないよ!?」
「それがどうしたっすか……!?にのが世界で一番強いって、世界で一番格好いいって信じてるあの先輩たちは、負ければ自分達だけではないにの達後輩の超人がもろともに超人としての死を迎えてしまうという状況であっても、親友を救うためにわずかなためらいもなく笑顔で勝負に臨んで、それで今まで以上の力を振り絞って勝利をつかみ取って世界を救ったっす!!!にのはそんな格好良くて仕方がないドレッシングパフェの、シオン先輩、ドロシー先輩、レオナ先輩に一歩でも近づきたくて、一刻も早く肩を並べたくて、そしてぶつかって、戦って、超えて見せて、よくやったなって褒められる。それを夢見てここまで戦い続けてきたっす!!にのはあんた達相手に立ち止まっていい人間じゃないんすよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「お~っと!!!にのちゃんの全身から燃え上がる炎がさらに激しく吹き上がる!!!いったいどこにそんな力が残っているのか!?」
「あ、にのちゃん動き出しました!!」
「さらちゃんを持ち上げて……プレーンバスターです!!!」
「くっ!!」
頭から焦げたマットにたたきつけられ、吐血のさら。体勢を立て直したにのは、しかしバランスを崩して倒れかける。が、
「……ありがとう、にの」
「……すず」
それをすずが支えた。その体もやはり炎のように燃え上がっていた。
「にのの純粋な情熱、すずが受け止めたよ。ここからは二人でやろう!!」
「……はいっす!!」
「さらちゃん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……大丈夫さ」
まりあの手を借りて立ち上がるさら。!!」
「いよいよですね。すずちゃんもにのちゃんも完全に限界を超えた力を出しています」
「ああ。ずっと僕が見たかったものだ。僕はマリキータマン相手に負けてしまった。僕単体では勝率は意外と低い。何故なのだろうってずっと考えていた。それがあの力、夢のために誇りのために自分の限界を超えて湧き出る力……!!僕だってそうさ。あんなやめると肩を並べられる、実力あってこそ一緒にいられる。そうなりたい、そうありたい。だからこうして、立っているんだ!!」
「おおっと!!さらちゃんの全身からも炎が巻き起こります!!情熱のグリーンジュエルコーデもまた激しい緑色の光を放っている!!!!」
「4人が動きます!!」
リング中央。さらのタックルをすずとにのが二人同時に受け止める。2歩後ろに下がってしまうが、
「はあああああ!!!」
すずがガードしながらタックルしてさらを弾く。
「すずだってそうさ!!さら先輩に勝ちたい!!超えたい!!そしてまりあにずっと心配されているような、可愛い後輩ってだけじゃ嫌なんだ!!まりあと違うペアになって、やっとまりあにそれを見せられる!!すずが、すずがどれだけ頼りになる存在なのかって事を!!!」
「すずちゃん……!!」
まりあが前に出てすずと手四つで組み合う。やがて力で振りほどき、逆に閂にしてまりあを後ろに投げ飛ばす。
「にの!!」
「はいっす!!」
そして投げ飛ばされたまりあをにのがキャッチ。リボンなしで、しかし今までよりずっと高く舞い上がる。対してすずはスケボーを召還してさらに激突。
「そうだ!!それでいい!!すずくん!!僕にもっと力を見せてくれ!!僕をもっと高みへと昇らせてくれ!!あの二人と肩を並べられるように!!!」
「残念だよさら先輩!!肩を並べるだけで満足できる今のあなたは格好良くない!!すずの方が、すずの方が、今のあなたより、ううん!!世界で誰より格好いいって最高の瞬間を見せられるんだ!!!」
そのままさらごとマッハ2で空へと舞い上がり、背後のにのと高度を合わせる。
「にの!!!」
「すず!!!」
空気を蹴ってにのがまりあを抱えたまま空を疾走!!
スケボーで旋回してさらを抱えたまま空を疾走!!
「「最高!!LimitOverスパイラループ!!」」
そして、空中で二人は激突した。激突面にまりあとさらを叩き合わせる形で。
「……ぐはあっ!!!」
「……すずちゃん……にのちゃん……最高に……可愛いですよ……」
やがて、まりあとさらは失神したままマットの上に落下。それを見下ろす形でスケボーに乗ったボロボロのすずとにのが降下してきた。
「決まったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!ブレイキンスクランブルの最速最高の双極必殺技(ツープラトンフィニッシュホールド)が炸裂!!さらちゃんもまりあちゃんも倒れたまま動く気配がありません!!これは……!!!」
めが姉ぇが左右の二人に視線を配る。二人ともに首を横に振った。
「勝負あり!!!第1回戦を制したのは、黒川すずちゃんと虹色にのちゃんのコンビ・ブレイキンスクランブルだぁぁぁっ!!!!!!」
「にの!!」
「すず!!」
二人はマットの上に着地してからハイタッチを決めた。そしてモニタを見る。その試合の中でのそれぞれの最高瞬間超人強度が表示されている。4位は可愛いのさえずりを発動していた状態のまりあで、最高瞬間超人強度は7700万パワー。3位は最終盤のさらで8000万パワー。2位はやはり最終盤のすずで8200万パワー。1位は中盤、小さな太陽を受け止めてそれでもさらと組み合っていた状態のにの、8900万パワーだった。
医務室。
「……負けちゃったか」
さらがベッドの上で小さくつぶやいた。
「でも、最後の方のさらちゃん、可愛かったですよ」
「……それはよかった」
「……ですよね、皆さん」
「え?」
さらが扉の方を見る。そこにはあんなとめるがいた。
「さら、大丈夫ですの?」
「さらら、痛む?」
「……あんな……める……」
「さら、わたくしはあなたをよわいなどと思った事なんてありませんわよ。めるを一時的に失ってやさグレていたわたくしを一所懸命に守ってくれた……。今でもわたくしが目標の一人にしている最高の超人ですわよ!」
「そうだよ!!さららがいたからめるめるはあんあんを頼んでアメリカに行くことが出来たんだよ?」
「……ありがとう……僕は、また負けちゃったけれど。でも、もう負けない……。もう、マリキータマンにもすずくんにも……誰にも……」
さらは涙を滲ませた笑顔で二人に微笑んだ。それを見てまりあは小さくつぶやいた。
「あーあ、勝ちたかったな」
表情を隠すために設置されたモニターを眺めた。次の試合が始まろうとしていた。