見出し画像

仮面ライダーS/L 44話

Tale44:We’re living to the exciting

・パンドラボックスは破壊された。後から派遣された武装警官たちによってそれが確認され、病院に搬送された雷王院と武。唯一残った将碁は西武財閥の会長室に赴いていた。
「まったく、君達がCRを破壊してくれたおかげで久々にここに座ることになったよ」
「……悪い」
瑠璃から渡された請求書を見てとても苦い表情の将碁。
「状況を整理するよ?」
椎名がキーボードをタイプする。
「君達は破れた世界にいる地球の管理者から3つの選択を迫られた。新世界をそのまま引き継ぐか、エボルトが来る前の旧世界に戻すか、それともすべてをリセットするか。将碁が旧世界を、雷王院君が新世界を、武君がリセットを望み、3人は戦うことになった。けどそこに復活したゼノンの襲来があって、パンドラボックスを手に入れていたこともあって地球は崩壊の危機。3人が戦っている場合じゃない。で、もう一度地球の管理者に尋ねたら今度は24時間以内にゼノンを何とかしないと強制的に地球をリセット。しかも人類の存在すらなくす可能性が高い。そう持ち掛けられた君達がゼノンに向かい、君が気絶しているうちに雷王院君がパンドラボックスを破壊したと」
「……そうだな。あいつがゼノンを倒したのかどうかわからないからあれだが」
「少なくとも彼の傍にパンドラボックスの残骸が散らばっていたからパンドラボックスが破壊されたことだけはほぼ確実。地球の管理者が守っているからゼノンがかつてエボルトを完全消滅させるために地球を太陽系ごと消滅させるような大技は恐らく使われる心配はない、か」
「パンドラボックスが破壊された以上、バグスターを使役する事も出来ない。武がパペットを倒したらしいから上級バグスターももう全滅している」
「……バグスターで思い出したけどさ」
「ん?」
椎名は表を表示した。
「これは……?」
「日本だけじゃない、全国の人口とバグスターの数を比較したものだよ」
「……どっちも同じ数に見えるんだけど」
「そう。世界はもう既にバグスターになった。その時、破れた世界にいた君と雷王院君の二人を除いた全員がね」
「…………そんな、」
最初に椎名が何を言っているのかは理解できなかった。だが、理解した時には虚無だけが心を支配した。
「……君が守りたかった人類はもう、君と雷王院君しかいない。こうなると逆に世界の体制を修正するのは楽になったようなものだよ。それまでの人類とバグスターが共存する世界よりかはどっちか片方だけに統一してくれたおかげでね」
「……」
将碁は何も言わない。
「……衛生省や各国首脳は現状バグスターを人類に戻す手段を検討、調査しているようだけど正直絶望的だ。だから恐らくこのまま全人類をバグスターとして扱う方針になっていくと思う」
「……元のデータを消さない限り死ぬことがない不老不死の存在になってしまったのか」
「……そうだね。そしてその元のデータとやらは存在しない。強いて言うならば破れた世界にあるセーブデータとやらかな。けど僕達は通常そこに行く手段はない。君が最初に願ったエボルトの存在しなかった旧世界にリセットする以外に人類が復活する可能性はないってところさ」
「……どうしてそんなに落ち着いていられるんだ?」
「そう見えるかな?お腹もすかないし、眠る必要もなくくしゃみもあくびもしない。体がかゆくなることもないし、足を動かさなくてもどこにだって超高速で移動できる。作業に集中すれば気付けば2,3日経過しててそれでも全く体調に変化がない。そんな化け物みたいな体になって恐怖しない人間がいるとでも?」
「…………悪い」
「……まあ、こうなってしまった以上君達に出来ることは何もないさ。今問題なのはゼノンの方だ。ゼノンがまだ生きているのかどうかと地球の管理者は人類を、元人類をどうするつもりなのか。リセットするのかしないのか。既に宣告された24時間は経過している。リセットはされないとみていいものかどうか。とにかく僕達がすべきことはもうほとんど終わったようなもの。ゼノンが生きていても死んでいても宇宙から地球に攻撃してくる存在が現れやしない限り仮面ライダーの出番はもうない。……今日はもう休みなよ。酷い顔をしている」
「……そうするよ」
それから瑠璃に送られて帰宅した将碁は自室に戻り、窓の外を見る。
「……」
世界は変わってしまった。自分のようなイレギュラーを除き世界から人間は消滅して全てがバグスターとなってしまった。
バグスター。旧世界でエボルトを対策するために檀黎斗達が研究、開発したデータ生命体の総称。新世界になっても研究を続けるために檀黎斗が持ち込んだがそれが外部に漏れたせいで自然成長して誕生したキングバグスターとクイーンバグスターによって誕生した上級バグスター。その上級バグスターか仮面ライダークロニクルによって人間が電子変換されると人間もまたバグスターになってしまう。バグスターになれば電子変換により何でも無から生み出せる。食事も休息も必要ない、元になるデータさえ無事ならばたとえ首を落とされようが心臓を穿たれようが死ぬことはなく自分自身を電子変換することでいつでも何度でも再生可能な存在。
通常なら絶対に手に入らないような不老不死且つ何でもありの存在になった事で喜ぶ人もいるだろう。もしかしたらそっちの方が多いのかもしれない。そうなりたくないと思う自分の方が異端なのかもしれない。
「はぁ……」
すっかり涼しくなった冬の空を見上げる。こうなることを防ぐために戦うと決めたあの日から半年も経過していないのにそれが全く防げなかった。自分の無力さを感じざるを得ない。
「……破れた世界に行ってせめて人類だけでも元に戻せないか頼んでみるかな」
手段がない。それを知っていながら将碁は家を出た。
冬の空の下を歩く。椎名が言うには多くの人間は自分達がバグスターになった事を知らないでいるらしい。とは言え空腹しない事からそう遠くない内に気付くだろう。何らかの原因で怒りを覚えてしまえばバグスター怪人としての姿に変身する事もあるだろうし、遅くても一か月以内には大パニックが世界を待っている。椎名や衛生省は現在このパニックに備えた検討や体制を整えているらしい。
「……もしかしたら世界がリセットされた方が楽なのかもしれないな」
「ならばお前はリセットを望むのか?」
「!?」
声。見ればゼノンがそこにいた。
「ゼノン……!?」
「ライトニングと戦ってから少しの間だがこの世界を眺めていた。ライトニングがあれだけ人類の可能性を買っていたんだ。どれほどのものかと観察していたのだが……人類とは何だ?秩序のかけらもない獣未満な非文明的存在がこの星にどれだけいる?宗教、経済、歴史、人類が築き上げ文明として育ててきたそれによって人類自らがどれだけ淀んだ存在になるのかこの私にも見当もつかなかった。宇宙連合の秩序や正義からは程遠い世界だ」
「……だから滅ぼすのかお前は」
「それと貴様がリセットを望むことに何の違いがある?ライトニングは人類の存続を、その可能性を信じろと言ってパンドラボックスを見事破壊して見せた。この私にも見える形で確かに可能性を示してきた。だが、お前はそれを疑問している。リセットと言う方法を望むことで否定すらしている。その貴様とライトニングが一緒になって人類の可能性とやらを信じていながらしかし向かう先は正反対。……人類とは一体何なんだ?どうしてこのような不安定極まりない存在がこの宇宙に存在して文明を築ける?……そんな存在をどうしてお前達は今まで傷だらけになってまで守り続けたのだ?私にはどうしても理解できない」
「……それは、」
思考が追い付かない。昨日までならもしかしたら何か言い返せたのかもしれない。だが、非常にブルーになっている今のメンタルではとてもじゃないがゼノンの、そして自らの疑念を否定することが出来ない。
「……バグスターは宇宙空間に出ることが出来ない」
「え?」
「檀黎斗がもしもバグスターが人類に徒為す存在になった時のために設定した制約だ。滅ぼすだけでなく他の生命体に寄生する事も出来るエボルトを最悪地球に封印するための機能と言ってもいいかもしれないが、この制約のために貴様達人類は地球の外には出られない。一生重力の井戸の底をはいつくばって生きていくことしか出来ない種族になったのだ。つまり、我々宇宙連合の脅威にはなりづらい。だから私は宇宙連合に帰っても恐らくもう二度と地球に関係することはないだろう。思い出すこともないかもしれない」
踵を返すゼノン。その表情には疑問が隠されていなかった。あるのは絶望のみ。ゼノンはたとえ自分達にとって脅威になるかもしれないとしても人類に対して可能性を信じてみたくなっていたのだ。期待していたのだ。それを人類自らが全力で裏切った。その人類を守ろうとしてこれまで戦い続けてきた自分も何も言えなかった。だからゼノンは人類に対しての期待と可能性を捨て去った上でこの地を後にするのだろう。そして残されたこの星は……
「なるほど。だがまだ人類(おれたち)は生きている」
「……」
新たな声。二人の背後にいたのは武と雷王院だった。
「……武、雷王院……」
「……ライトニング。貴様がどう可能性と言う名の妄想をしようが私にはもう関係のない話だ」
「そうやって人類と言う可能性から目を逸らすのは勝手だが些か腹立たしい終わり方をするのは好きじゃない」
「貴様の勝手な妄想だな」
「そうかもしれない。だがな、人類はまだ死んじゃいない。確かにお前の言う通りどうしようもなく腐った奴なんてこの地球上にはいくらでも存在している。手の施しようがない邪悪な存在だっていくらでもいる。それこそ邪悪醜悪っぷりならエボルトをはるかに上回る人間だっているかもしれない。けど、あんたが知る正義以上に正しい人間だっているかもしれない。人類はこの星に誕生してから長い間ずっと己の中の光と闇との戦いをしてきたんだ。たとえが闇が勝ってもその次は光が勝つかもしれない。光が勝ったうえでの戦争かもしれないし闇が勝ったうえでの平和かもしれない。それでも人類は確かに少しずつ次のステージへと乗り越えてきた。お前が絶望したどうしようもない人間が、エボルトを2度も打ち破る存在になりえた可能性って力はそこを源としているんだ」
「……確かにお前達はエボルトを2度も打ち倒した。だが、既に人類は滅んだ。貴様達二人を除いて人類と言う種族は消え去り、その人類から生まれたバグスターと言う出来損ないの禍々しい種族へとなり下がった」
「種族と言うのは遺伝子じゃないんだよ、ゼノン。魂に何を刻むかで決まるんだ。光と闇に揺られながらもしかしお前が呼んだキングバグスターにも打ち勝って見せたバグスター人間がここにいるようにな」
雷王院が武の背中を思い切り叩く。
「って!!!」
「お前は人間か?バグスターか?」
「……どっちもだけど、物理的にはバグスターかもしれないけど自分から人間をやめた覚えはない!!」
「……なら人間でいい。種族なんてそんなものだ」
「……詭弁にもならない。バグスターに成り下がった貴様達に人類と同じだけの可能性があるとでも?」
「ないな」
「「はぁ!?」」
雷王院の即答に二人が驚愕する。
「バグスターは確かに人間とは、普通のホモサピエンスとは大きく違う。この1年間何度も人類の前に立ちふさがり、脅威となってきた。それは間違いない。だが、決して下位互換ではない。人類が成り下がった先でも進化した先でもない。そこにあるのは全く新しい可能性だ。人間が完璧じゃないからってバグスターが完璧だと言うつもりもないし、人間が完璧だからってバグスターが完璧じゃないと言うつもりもない。今まで人間に出来なかった無限の可能性がこの先に待っているかもしれないんだ。それを見ないで地球を永遠に去るだなんてよくそんなもったいないことが出来るな」
「……」
ゼノンが振り向く。
「ライトニング、それが貴様の信じた可能性とやらか?」
「そうだ。人間はな、完璧じゃないからこそその可能性が無限なんだよ。常に未知との遭遇との挑戦を果たしてそれを楽しむことが出来る。それが人間の可能性の正体なんだ」
「……未知を楽しむか。…………それは、このような存在に対してもか?」
ゼノンは懐から何かを取り出す。それはパンドラボックスの欠片だった。
「……何をするつもりだ……?」
「見て居ればわかる。……私にはわからなかったがな」
ゼノンがその欠片を握りつぶす。直後、空から、力、世界の全てからおぞましい叫び声のようなものが轟いた。
「……これは……!?」
その叫び声を聞いたと同時、3人の心拍は著しく上昇した。
「パンドラボックスとは各惑星の歴史書のようなもの。それぞれの惑星とリンクしていてそこから多大なエネルギーと情報とを交換する。……これは私がパンドラボックスの奥底に沈んでいたところを発見し、保存しておいたのだ。ライトニング、貴様の言う人類の可能性とやらが本当にその意味を成し遂げることが出来るのかを確かめるために」
砕けたパンドラボックスの欠片はゼノンの足元に散らばり、やがて影を生む。湖のように丸く広がっていく影はやがて人が微笑んだかのようなシルエットとなり、しかし苦悩するような手の影を無数に伸ばす。
「な、何だよこれ……」
「……これは人類最古の恐れだ」
「恐れ?」
武がより一層恐怖の表情で語る。
「人類は生まれ出でて最初に太陽の光を神として崇めた。それと並行して夜の闇を、太陽の光から生まれた影を恐怖するようになった。……人類最古の恐怖は太陽に比例する影。そしてこれは……その恐怖を使って影が太陽を作っているんだ。とても暗くて怖い影の太陽を大地に……」
「未知が楽しみだと、可能性だと言うのなら人類最古の恐怖たるこの未知をどうにかして乗り越えていかなければ人類以外にその可能性を示すことなどできやしない」
言葉に放つ。しかし影は心が恐れる光景を人間の瞳と心に映す。形容できない、説明できない心の奥底に、遺伝子の最奥に刻まれた恐怖の記憶を。
「な、何だこれは!?」
叫び声。広がった影を見た通りかかりのサラリーマンが挙げたものだ。
「こ、来ないで……うわああああ……!!!」
3人より年上の30代くらいのサラリーマンが情けない声をあげながら笑う影を己の影に侵略される。と、
「きびおぴうぴぷい@ぴぴうおぷおkふいおあhじお!!」
そのサラリーマンがモンキーバグスターへと変身した。
「……恐怖で人間としての自我を保てなくなったか」
ゼノンが宙に浮かぶ。
「……教えてやる。地球上どこに行っても同じような景色が続いているぞ。どうやら人類の可能性とやらは人類自らが持つ恐怖によって押しつぶされてしまうようだな」
ゼノンの声にも表情にも嘲笑の類の色は見えない。それは既に期待をしていない証拠だ。
見下ろした3人の恐怖の顔を見てもそれは変わらない。
「……恐怖の中でしかし安心しろライトニング。もうこの星を宇宙からの脅威は襲わん。その価値もなく己の中の全てに押しつぶされて死んでいくのだからな」
そうしてゼノンは去っていった。それに気付くことなく将碁達は広がっていく影に対して可能な限りの無駄な抵抗をするだけにとどまる。
世界で正気を保っているものなど存在しない。その可能性を持つ者こそ可能性が故の恐怖に押しつぶされて自らの全てを忘れてしまう。
「……だが!」
しかしこの3人は倒れなかった。全てを投げ出す事もなかった。
「……エキサイトフォームは全人類と繋がっている。今までは俺達はみんなに助けられていた。けど、今度は俺達がエキサイトフォームの力でみんなを助ける……!!」
「けど、どうすんだよ……これだけ怖いのに。俺達だって何とか自我を保ててるんだぞ!?」
「……恐怖には憧憬を。未知の恐怖にしかし勇気を心に立ち向かう時、誰もがその心にヒーローを宿すんだ。なりたい自分、やりたい自分、その源になったヒーローの姿を」
将碁と武がエキサイトのガシャットを、雷王院がネオスターライトドラグーンのガシャットを出した。
「……そう言う事か……!!」
3人が同時にガシャットのスイッチを押す。
「仮面ライダーセーブ!!」
「仮面ライダーリボルバー!!」
「仮面ライダーライトニング!!」
3人が円を描いて手をつなぐ。そのベルトからガシャットとフルボトルの光が瞬き、影を払い、全身を包み込む。
「ネオスターライトドラグーン!!」
「「The exciting!!」」
「「「みんなで、変身するんだ!!」」」
エキサイトのガシャットを通じて世界中の人間に情報がリンクされる。そしてネオスターライトドラグーンの力もリンクした時、
「お、俺は、ウルトラマンになりたいんだ!!」
「私はセーラームーン!!」
「て、鉄腕アトムみたいにみんなを助けたい……!!」
「弱くてもいい、けどキン肉マンみたいに友達のために戦いたい……!!」
「俺は剣鉄也だ……戦闘のプロだ……自分を見失ったりなんてしない……!!」
「プリキュアになりたい!!」
「選ばれし子供達になってデジモンと冒険がしたい!!」
「汚い自分でも、いつか速水ヒロみたいに勇者になるんだ……!!」
「俺は、太陽の子!!仮面ライダーBLACK RX!!」
「熱気バサラ以上のシンガーになってくだらないこと全部終わらせたい!!俺の歌をきけぇぇっ!!!!」
「エクスカイザー!!!」
「マジンガーZ!!!」
世界中で、全ての人間が己の中の光と夢で影を払っていく。その光が少しずつ集まっていき、地球上を覆い始めていた恐怖の影を後退させていく。
「……これは」
大気圏直前。ゼノンが振り向く。先程まで影の只中にあった地球がいつしか光り輝いていた。
「馬鹿な……地球上に夜がないだと!?太陽の届かない未開の大地にさえ!?いや、これは死んでいった者たちの果たせなかった望みが……いや、夢さえもが輝いている……!?何だ、何なのだ人類は!?」
驚きの表情をあげるゼノン。やがて地球上から逃げてきた恐怖の影が大空で集約して悪魔のような表情を浮かべる。対して地球上の至る所からあらゆる憧れの姿が眩いまでの光と共に飛来してくる。
「……どんな絶望の中でも人の心から光が消え去ることはない!!!」
光の中心にいるウルトラマンティガが宣言し、全ての光が、それぞれが最強と夢見た光景を形にしていく。
「ロケットパァァァァンチ!!!」
「サンダァァァァブレイク!!!」
「プリキュア・マーベルスクリュゥゥゥゥゥゥ!!!」
「ライダァァァァァァキイイイイィィィィィィィィック!!!!」
「イデオンソォォォォォォォォォォド!!!!」
「月光蝶と言うなら世界を救ってみせろぉぉぉぉぉっ!!!」
「マッスルスパァァァァァァァァァク!!!」
「リボルケイン!!!」
「ガイアフォース!!」
「コキュートスプレス!!」
「ポジトロンレーザー!!」
「ファイナルエリシオン!!」
「八雷神ぃぃぃぃぃ!!!!」
「グロリアスバァァァァスト!!」
「ブラックマジック!!!」
「ボルテッカァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!!
「ゴムゴムの銃ゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」
「かめはめ波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「バオウ・ザケルガァァァァァァァァァァッッ!!!」
「ゴルディオンクラッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!」
「ゼペリオン光線!!」
技を叫ぶ。叫ばない場合でも各々が最高に格好いいと魂が震える瞬間を思い描いて心に放つ。
恐怖の影などそこには微塵もない。どうしたって人の心が最高に格好いいと最強に魂が熱くなると叫んだ憧憬が光となって闇を貫く。
「これが、光と闇……高揚と恐怖と戦い続けてきた可能性と言う名の人類の力……!!」
ゼノンは地球は愚か太陽系の星々までもがその輝きに包まれ、次第におとなしくなっていくまで大気圏間近の空でただただ驚愕に打ち震えるしかなかった。