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仮面ライダーS/L 40話

Tale40:叩け君のGate!!

・CR。そこでは大きな戦いが終わったとは思えない淀んだ空気に支配されていた。
「……」
将碁が何度目かのため息をつく。理由などいくらでもある。エボルトに利用されて馨を死なせてしまったこと、それによりエボルトが完全復活してしまったこと。余波により人類の何割かがバグスターに書き換えられてしまったこと。全てCRの、仮面ライダーの落ち度に他ならないだろう。
「体に悪いよ、将碁。休んだらどうだい?」
椎名が入室してきた。やや後ろには雷王院の姿もある。
「椎名、衛生省は?」
武が身を乗り出す。
「……うん。流石に今回の事態は未曽有。予想していたケースの中では最大級にやばい状況だよ。雷王院君から提供された情報によればエボルト完全体のいかれた強さは絶対に阻止しないといけないレベルだしね」
「……そこのくそ野郎を衛生省はなんて?」
「緊急事態だからね。少なくともエボルトとの戦いが終わるまでは引き続きCRの戦力として活動してもらうことになった」
「……そいつは馨さんを殺してエボルトを完全復活させてしまった張本人だぞ?」
「けど、そうしなければ地球上の全生命はバグスターになってしまっていた。宇宙連合がその文明を許しはしないだろう。まあ、エボルトに関してもそうだけど」
「……椎名や利徳はやっぱりバグスターに?」
「ああ、検査の結果武君同様バグスターになっていたよ。それでも仮面ライダーとしての能力は失われていない」
「……1つ思ったけど俺達ってバグスター怪人としての姿にはなれないのか?万一ガシャットが手元にない状態で襲われたりした時に戦えるように備えたいんだけど」
武が疑問する。対して椎名は顎に手を当てながら、
「おそらく不可能ではないと思う。けど君の場合は多分無理だ。君に与えられたバグスターウィルスはゲムデウスを制御するためのもの。バグスターと言う種族になりこそしてもそこから敢えて怪人体としての姿を用意する必要性がない。仮にゲムデウスにでも変身されたらそれはそれで面倒そうだしね」
「……まあ、ゲムデウス譲りの再生能力はあるからあまり変わらないけどな。……で、話戻すけど衛生省はエボルトをどうするって?」
「雷王院君を経由して宇宙連合と協力を取りたい。宇宙連合も沈黙を続けているとはいえ完全に力を取り戻したエボルトを見逃すとは思えないからね」
「……けどそいつはエボルトに寄生されて向こうの総大将を殺したんだぞ?今更どの面下げて交渉なんて出来るんだ?」
「そのエボルレイライトニングを倒した君達二人がいる。この戦力は宇宙連合も無視できない筈だ」
「……」
椎名は将碁に目配せするが将碁は俯いたまま動かない。
「将碁?」
「……なあ椎名。俺達の戦いって本当に意味のあるものなのかな?」
「……」
「黎斗社長に利用されながら仮面ライダーになって、成り行きで仮面ライダークロニクルに巻き込まれてはそれを終わらせて、そしたら今度はエボルトに利用されて地球が大変なことになってしまった。俺達が動かなければこれ以上悪いことは起こらないんじゃないのかなって」
「……将碁……」
「……」
雷王院は何かを言おうとしてしかし押し黙った。それを気配で察した椎名は咳ばらいを打つ。
「将碁。今君は誰に利用されてるって言うんだい?君は仮面ライダーになることで何をしたいんだ?今まで何をしてきたんだ?」
「……分からなくなったんだよ。今俺達が動いて仮面ライダーとしてバグスターやモンスター、エボルトと戦うことすらも誰かの掌の上で動かされて、そしてまた馨さんみたいに犠牲者が出てしまうんじゃないかって。俺達はそうして俺達を利用した奴を倒してきたけれどもそれもまた誰かの掌で踊らされてるんじゃないかって……」
「けど、今まで将碁と武君は戦い続けてきた。そのおかげで犠牲者は必要最低限に収まっているのは確実なんだ。まさか誰一人として犠牲にならないと不満なんじゃないのか?」
「誰か犠牲になってる時点で満足なんてありえない。どんどんスケールの大きい戦いになってきてる……。今度戦えば何万人死ぬか分からない。いや、エボルトの桁違いの強さからすれば何億とまでいくかもしれない。滅ぶ星が出てくるかも分からない。旧世界で起きたようにまた失われた世界をやり直しても破れた世界があればエボルトはそこから蘇るかもしれない。じゃあ俺達っていったい何が出来てるんだよ。何度でも同じことをしてる。……それなのに1度でも守り切れていない」
将碁は頭を抱えて机に突っ伏す。武も椎名も何も言えない。
「……」
対して雷王院は黙ったまま立ち上がり、退室する。
「雷王院君、どこへ行くんだい!?」
すぐに椎名が追いかけてくる。
「……エボルトとの決着をつけてくる」
「君一人で戦っても無茶が過ぎるよ!」
「だが、奴との決着は旧世界を戦い抜いたものの使命であり責任だ。同一人物とは言えリセットされたあいつらにそれを求めるのは怠慢なのかもしれない。俺は一度無力が故に奴の手に落ちて新世界を滅ぼしかけてしまった。その責任もある。だからやらなければならない。きっとそれは旧世界のあいつの願いでもあるから……」
雷王院はそのまま傷だらけの身を押して去っていった。椎名には彼を止めることは出来なかった。


エボルトの気配を追って歩く雷王院。すると正面に見慣れた顔が待っていた。
「戦兎……」
「まさか自分一人で決着をつけに行く気じゃないだろうな?」
「今戦える旧世界のライダーは俺しかいない」
「……甘く見てもらっちゃあ困るな」
戦兎はポケットから2種のフルボトルを取り出す。
「……お前、戦えるのか?一海の仲間をハザードで倒してしまって以来お前の体は……」
「そうも言ってられないだろ?今までのエボルトならともかく完全体となったエボルトを一人でどうにかするなんて最悪すぎる選択肢だ。正直俺と二人でやったとしても勝てる見込みはないかもしれない。それでもお前は一人じゃない。だろ?」
「……勝手にしろ」
そうして再び歩き出す二人。やがてとある喫茶店。
「お?戦兎。お前も来たのか」
そこにエボルトはいた。
「……決着をつけてやる」
「ライトニング!ネオスターライトドラグーン!!スーパーベストマッチ!!」
「ラビット!ラビット!!ガタガタゴットンガタガタゴットン!スーパーベストマッチ!!」
「「Are you Ready!?」」
「「変身!!」」
「迸る雷龍転生!!ライトニングドラグーン!!イイイィィィェエエエイ!!!」
「紅のスピーディジャンパー!!ラビットラビット!!ヤベェェェイハエエエエイ!!!」
「……ふん、」
「コブラ!!ライダーシステム!!エボルマッチ!Are you Ready!?」
「変身」
「ブラックホール!!!ブラックホール!!THEパーフェクトジェノサイディブ!!!ヌゥハッハッハッハッハッハ!!!」
変身が完了すると同時に喫茶店は一瞬で黒い球体の中に消えていった。そして超音速での火花が散る。


CRを出て自宅へと向かう途中の将碁と武。珍しく電車を使っていた。
「将碁、無理しなくていいからな」
「……ああ」
武からの言葉も将碁は生返事に窓の外を見る。学生時代に電車を使っていたがそれからほとんど変わらない景色。しかし、現実はそうではない。もはやあの頃に帰ることはできないし、同じに戻ることも出来ない。何もかもが違えてしまった。そしてそれも恐らく今日で終わる。
「エボルト、勝ち目なんてあるのかよ」
「将碁、考えなくていい」
「けど、このままだと今日で世界は終わる。だけど」
「戦いたくないんだろ?もうこれ以上誰かの掌の上で踊らされるのが嫌なんだろう?俺達はこれまで何度も世界を救ってきたじゃねえか。今日何もせず世界が終わったとしても誰が俺達を責められる?まあ、世界が終わってしまったら誰もいなくなるのかもしれないけど。ある意味それが俺達を利用しようとしている奴にとっては都合の悪い結末かもな」
「……」
無機質な揺れと音が将碁の耳に残る。学生時代を思い出す懐かしい何でもないBGM。車内の人間は営業中なのか小声で電話しているサラリーマンや買い物袋を提げたおばさん、新聞紙を広げて大股開いているおじいさん、スマホを見ながら何気ない日常の会話をする学生たち。いずれも今日世界が終わってしまうなど夢にも思っていない日常の姿をさらしている。その様を見ていればエボルトだの何だのの全てが夢か何かじゃないかとさえ思えてくる。
「チリン」
「……」
スマホが小さく鳴る。エキサイトフォームのためにフルタイムで全国からあらゆる戦闘データを収集しているのだがそれが一段落ついたことを知らせる合図だ。当然将碁のだけでなく武のスマホも同じ音を出した。しかしその音が何なのか知っている二人はスマホを見ようとはしなかった。
「……もう、いいんだよ」
小さく呟く。その声は武にも聞こえただろうが何も言わない。しかし代わりに驚愕を示す声が次の瞬間に響いた。
「急停止します」
車掌からのアナウンス。言っている間に電車は急停止して車内がざわつく。
「非常事態発生。非常事態発生。この先1200メートル先で仮面ライダーと未確認生命体の戦闘を確認。これ以上先に進めば戦闘に巻き込まれる可能性が高いため、本車両は前駅にまで後退いたします。お乗りのお客様がたには大変ご迷惑をおかけいたします」
「……未確認生命体ってグロンギじゃないだろうな?」
「……エボルトか」
二人はすぐにこの先で雷王院達がエボルトと戦っている事を感知する。僅かに心に揺れは生じたがしかしそれ以上何かをするでもない。
「……」
スマホがバイブする。椎名からの電話だ。内容など分かり切っている。エボルトと戦ってほしいか或いは逃げてほしいかのどちらかだろう。
「どうする?俺ならお前を連れて家まで電子変換で送れるけど」
「……いいよ、もう」
返事をする。次の瞬間、窓の外で一閃。ビームが飛来しては目立つ位置に建っていた高層ビルを貫きそして数秒と待たずに跡形もなく溶解させた。
「ま、ママ!!お家が!!お家がぁぁぁ!!!」
「そ、そんな……」
話し声。幼稚園児と思しき子供を連れた母親との会話。恐らく今消し飛ばされたビルに住んでいたのだろう。一瞬でそれまで日常の中心にあった住居を消し飛ばされた親子の会話は酷く耳に残り、心を蝕む。
「ねえ!仮面ライダーは!?どうして来てくれないの!?」
「……仮面ライダーも戦ってくれてるわよ」
「でも、お家が……お家が……!!う、うわああああああああああああああん!!!」
ついに泣き出してしまう。静かに、しかし迅速に後ろに動き出した車内に暗い雰囲気が漂う。
「……将碁」
武は見る。つり革を引きちぎらんばかりに右腕に力を込めて震える友の姿を。伏せた視線。あったであろう視線の先を見れば民家が燃えていた。しかも玄関の前で不自然な体勢で倒れて動かない人影もあった。恐らく流れ弾により発生した爆発の影響だろう。
「……なあ、武」
「……何だ?」
「……おかしいよな。あれだけもう何もかもどうにでもなれって思ってたのに……今は、何かできることがないかって心が叫んでるんだ。どうせ自分には何もできやしないって思ってるのに、居ても立っても居られないんだ……。絶望したはずなのに、ガシャットを手に取りたくて仕方がないんだ……」
「……それはな、将碁。俺達が仮面ライダーだからだ」
「……仮面ライダー……」
「俺達は今まで誰に利用されようが少しでも被害が小さく収まるために戦ってきた。最初はバグスター、仮面ライダークロニクル、そして今度はエボルト。スケールが大きくなってきてるし、今度こそ俺達には何もできないかもしれない。でも、何かできることがあるかもしれない。……違うか。何かしたくて仕方がないんだ。俺達は、何かでっかい目的があって戦ってきたわけじゃない。目の前で苦しむ人がいるから、そう言う人をなくしたいから、これまで戦ってきたんじゃんかよ。ヒーローぶりたいわけじゃない。できることをしたい。子供じみた理屈かもしれないけど、それが俺達の理由だろ?」
「……」
将碁は震えるまま。やがてそれも止まる。再び電車が止まったのだ。今度は多くの人が転倒してしまい、ざわめきが生まれる。
「ほ、報告します!後ろの駅が爆発を起こした模様!本車両はここで停止!お客様には直ちに降車して避難をしてくださいますようお願いします!!」
鬼気迫ったアナウンス。それが車内の混乱を加速させる。悲鳴が共鳴する。窓から見える景色が赤く染まっていく。爆風が窓を破壊して瓦礫を車内に運んでいく。
「!?」
その内の1つが、先ほどの子供の顔面に迫る。だが、当たることはなかった。
「……」
将碁と武がそれを真っ向から受け止めていた。使っていないもう片方の手にはガシャットが握られていた。衝撃を受け止めきった二人が振り向き、その腰にベルトが出現する。
「おじさん達……」
「おじさんか……」
「だってよ、どうする?」
「それでもいいさ。……君、泣くのは自分に出来ることを全部やってからだ」
「できること?」
「これを」
将碁はハンカチを出して子供の隣で倒れている母親の、裂傷により出血している右腕に巻く。
「お母さん!」
「絶対に助かる。絶対に助けが来る。絶対にこれからも楽しい毎日が来る。だからお母さんの傍で元気にいるんだ」
「……おじさんたち……」
「……おじさん達じゃないよ。俺達は……!!」
「「Excite!!」」
「「仮面ライダーだ!!」」
「「The Exciting!!!」」
飛び降りるように窓の外に走り出し、まばゆい閃光を纏いそして二人の仮面ライダーはバイクに乗って隣の線路を爆走し、爆発の中へと突入していく。
「が、頑張れー!!!仮面ライダー!!!」
未だ恐怖が混じり、しかし期待を含んだ声援を背に受けた二人はその身で受けた爆発を吸収しては一瞬で爆発が起きる前の状態へと戻していく。やがて地平線の彼方から一筋の閃光が飛来する。先程ビルを消し飛ばしたものと同じだ。だが二人はブレーキを踏まないばかりかアクセルを全開にする。唸りをあげる爆音が迫りくる破滅の閃光を真っ向から撃ち破る。たなびくマフラーが旋風を巻き起こし、さらなる加速をかける。そして、
「「ライダーブレイク!!!」」
「!?」
一時的に光をも超える速度に達して刹那よりも短い時間で距離を縮めて戦闘の中心地にいたエボルトの胸に前輪を叩き込む。
「ぐううううっ!!!」
吹っ飛ばされたエボルトが膝をついて着地する。
「……お前達……」
傷だらけのライトニングの前にブレーキをかけた二人が到着する。反対側で立ち上がったエボルトが口元を歪ませる。
「何だお前たち、逃げたんじゃないのか?」
「……逃げたさ。一度な。けど、もう逃げない。俺達は仮面ライダーだからだ!!」
バイクから降りた二人が構える。その間にライトニングが歩み寄る。
「……休んでていいぞ?」
「馬鹿言え。燃える街があって、黒煙の中で笑う奴がいるのに膝を折る男が仮面ライダーを名乗れるものか」
「……そうだな」
「ふん、」
3人が構え、エボルトに向かっていく。
「ふん、死にぞこないの臆病者どもが雁首揃えたって忸怩に余生を費やすだけだと分からないのか?」
「知らないのか?人々の声援を背にしたヒーローはな、絶対に負けないんだよ!!!!」
エボルトが放つ閃光をリボルバーの射撃が相殺し、ライトニングが接近と同時にエボルトの胸に拳をぶち込み、2歩下がったエボルトにセーブがドロップキックを叩き込む。
「ぐっ!!馬鹿な……!?貴様たちのどこにそんな力が……!?」
「分からないからお前はライダーシステムを使おうが仮面ライダーにはなれないんだよ!!」
セーブとライトニングがエボルトの両腕を抑え込むとリボルバーがエボルトの顔面に集中砲火。怯んだエボルトをセーブとライトニングが左右から同時に投げ飛ばす。
空中で無防備のエボルトをリボルバーが射撃。さらに空中を舞う弾丸を足場にしてセーブとライトニングが跳び回り、次々とエボルトに攻撃を与えていく。
「ちっ!!人間ごときが!!」
3つの攻撃を弾いたエボルトが一瞬でブラックホールを生成して町ごと全てを消し飛ばそうとする。だが、
「風穴!!」
弥勒の力を使ったライトニングが生成されたブラックホールを吸収して無へと還す。
「馬鹿な……」
「FIRE!!」
ブラックホールが消えると同時にリボルバーがエボルトの胸元に飛び膝蹴りを叩き込み、その勢いのまま顔面に零距離連射を可能な限り撃ち込む。エボルトが何とかリボルバーを振り払うと、
「てやーりゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」
セーブがドロップキックを叩き込み、エボルトを背後の岩盤まで吹っ飛ばし、叩きつける。
「がはっ!!!くっ、今までいくつもの星を笑いながら消してきたこの俺がたった3人の人間相手にこんな……こんな……!?」
「その忌まわしき歴史ともここで決着をつけてやる!!」
「ゲームオーバーだ!エボルト!!」
「これでとどめだぁぁっ!!!」
3人が同時に跳躍する。
「!?」
「「「ライダァァァァァァァァァァァキイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィック!!!!!」」」
ライトニングの左足がエボルトの腰に刺さったパンドラボックスを、リボルバーの右足がエボルドライバーを、セーブの両足がエボルトの胸を穿ち、それぞれの箇所を完全に破壊する。
「な、何を……ぐ、がああああああああああああああ!!!」
エネルギー源であるパンドラボックスとこの姿を保つために必要なエボルドライバーを破壊されたことでエボルトは徐々にその肉体を分解されていく。抵抗しようとしてもセーブによって受けたダメージが強すぎて身動き1つ取れない。
「くっ……こ、後悔するぞ……俺の餌にならなかったことを……!!」
叫びながら、しかしエボルトはそのまま風化した岩石のように崩れ、粉々になった。
「……エボルト、その亡骸はたとえ粉微塵でさえも後の世には残しておけない」
言いながらライトニングは風穴を開いてエボルトの残骸を1ミリも残さずに完全に吸引しては無へと還した。
「ゲームクリア!」
エボルトを倒したことでセーブとリボルバーのガシャットが反応して戦いによって損壊した街の全てが元通りに戻っていく。それを見送りながら3人は変身を解除する。
「……くっ!」
傷だらけの生身を晒した瞬間によろめく雷王院を二人は受け止める。
「……お前達」
「お前の事、まだまだ許せないけど。俺達はこの戦いから逃げていた。もしもそのままだったらこの世界はもう終わっていた。けどお前がいたから時間稼ぎにはなった。俺達が間に合った。エボルトを倒せた。そこだけは感謝してやる」
「お前も仮面ライダーだったんだな」
「…………ふ、さてな」
地べたに座る雷王院。すると、
「3人だけで盛り上がってくれたみたいだな」
そこに戦兎がやってきた。
「この人は?」
「桐生戦兎。仮面ライダービルドだ」
「お前達の事は雷王院から聞いてるよ。まあ、それ以前に旧世界では仲間だったんだけどな」
「……いや、何となくだけどどこかで見覚えがある。これが虚憶って奴かな?」
「虚憶か。けどそれは本当は存在しちゃいけない記憶なんだ」
「……どういうことだ?」
「雷王院、将碁、武。一息ついてからでいい。十分に体を休めてから出構わない。けど、まだ戦いが終わっていない。俺達は、破れた世界に行く必要があるんだ」
戦兎の言葉に3人は驚きを隠せなかった。