麻雀・言語化のススメ
【連続note 9日目】
言語化と麻雀プロ
私が最初に麻雀プロになった2000年代初期のころは、自分の打牌を説明するのがうまいプロはほとんどいなかったように記憶している。
もちろん私を含めて。
当時は戦術が確立されておらず、AIどころか有用な統計データもない。そういえば「ブロック」という概念すらなかったような。
みんなが感覚で選択していたし、だからこそ「選択の言語化」と「麻雀の強さ」は無関係だと思っていた。
強いやつは強い、と。
ところが、最近は強者と言われている人のほとんどが言語化がうまい。
堀さんや多井さんって自分の選択を説明するの、本当に上手でしょう。
麻雀プロの雀力が二極化している
私のような中位リーガーが語るのはどうかと思うが、言語化こそできないものの、昔のプロはみんなそこそこ強かった。
それぞれの雀荘の勝ち頭が集まっているイメージだ。
社会的にはクズだけど、麻雀だけは自信があります!1年で4000半荘打ちました!といった野武士どもばかりだった。
では今はどうかというと、トップ層のレベルはさらに上がっている一方で、下位層のレベルは下がっていると感じる。
雀力の二極化が進んでいるのだ。
まずはトップ層に関して。
これはずっとAリーグで活躍している村上淳プロあたりに聞かないと信憑性がないが、まず間違いなく年々レベルは上がっている。いや、上がっていないとおかしい。
(追記・答えていただきました)
麻雀に関してもあらゆる角度から研究が進み、SNSが発達し、強者たちの戦いが配信されるようになり、勉強会や私設リーグも活発に行われるようになった。
それを何十年と繰り返している人が上位リーグに集結しているわけだ。
その一方で入ってくるのはサラリーマン兼業という方や、麻雀を始めて2年目です!という方、中にはリアル麻雀をほとんど打ったことないという方もいるから驚きだ。
良いとか悪いの話ではなく、そういう時代という話。
現代の麻雀プロは、効率よく勉強した麻雀オタクたちと(さらに野武士の生き残りと)、ろくに牌も触っていない新人による二極化が進んでいるというのは、揺るがしようのない事実なのだ。
言語化の重要性
さて、強いプロはみんな言語化がうまい、と語った。
いや、逆かもしれない。
言語化をすることで麻雀が強くなったとも言えるのではないか。
「選択のメリット・デメリットを把握し、わかりやすいように説明する」という能力は、麻雀を打っていても再現性がある。
アウトプットすることで思考が整理され、身につき、ときに新たな発見をする。トッププロたちは勉強会や配信などでずっと言語化を繰り返して、高い雀力に磨きをかけた。
最近では実況をすると雀力が飛躍的に向上するという話も出ている。
(阿久津プロが言ってた)
つまり言語化を鍛えることで、さらなる雀力の向上にもなると言えるのではないか。
現代において、二極化の上の部分を目指すなら、言語化の向上は避けて通れないルートなのである。
言語化のコツ
さて、かくいう私も昔は野武士の一人であり、感覚派ではあったのだが、最近では言語化を褒められることが多くて嬉しい。
私の出す何切るなんか「8s」と一言だけ言い残して去っていってもらっても構わないし、「4pに決まってんだろ!」と投げつけてもらってもいい。
好きな手役を追ってもいいし、打点に振り切るのもいい。もっともっと気楽に書いてほしい。
リプをもらえるだけでありがたいのだ。
ただ、もしあなたが真剣に雀力の向上を目指しているのであれば、言語化の練習に使ってもらうのもよいのでは?と思っている。
言語化にはコツがある。
それは比較するときに他の条件を提示することだ。
よく「イッツーが見えるからAを切ります!」とだけ言う人がいるが(繰り返すがリプを送ってくれるだけでありがたいです)Bを切ってもイッツーが狙えることは往々にしてある。
何切るには雛形があるのだ。
ざっくりと
・広さ(受け入れ枚数)
・打点
・巡目
の3つの項目に注目する。
セオリーとしてはまず最初に広さ(受け入れ枚数)から考える。
ここを先に語ることで、後の説明がしやすくなるのだ。
例えば朝の何切るで挙げたこの牌姿。
何をとっかかりに話していいのか難しい牌姿だが、私は何を切っても受け入れ枚数の差が小さいことに着目した。
そこで
「何を切っても3シャンテンで、受け入れ枚数がそう変わらないのであれば、ホンイツとドラと456の三色の高打点ルートを残して打2p(3p)が良いのでは」
と解説した。
単に
「ホンイツと三色を狙って打2p」
と書くより、説得力が大きく違うのがわかる。
受け入れ枚数という条件を揃えたからだ。
受け入れ枚数は何切るにおいても実戦においても大事な要素ではあるが、一朝一夕には身につかない。
ある程度早くカウントするには、ウザク本や一択何切るをたくさんこなして慣れるしかないだろう。
大抵の手牌は「受け入れ枚数ではAだけど、打点面でBを選ぶ。でも巡目がもっと遅かったらAだね。」というような雛形で説明がつく。
何切るに上げられる手牌はややこしいことが多いから、一筋縄にはいかなくて困っているんだけども。
他にもネマタさんのように、共通の受け入れから考える方法もある。
例えばこの手。
どちらのペンチャンを払うかという問題だが、共通の受け入れであるマンズから手を付けてみる。
まずはカン8mやカン4mをツモってメンツが出来た場合。
カン8mが入った時(①②)はピンズを払った方が(②)有利。
イーペーコーよりも三色の方が枚数も打点も上だからだ。
カン4mが入った時(③④)はソウズを払った方が(③)チートイツやリャンペーコーまで見えて有利。
この時点ではどちらの選択も甲乙つけがたいといったところだが、2~6mツモを比較すると、ピンズを払ったほうが有利となる。(牌図は割愛)
まとめ
疲れてきた。。
言語化にはコツがある。( ー`дー´)キリッ
とかかっこつけたけど、やっぱりまとめるのは難しいや。
やはりそんな簡単に麻雀が強くならないのと同じで、言語化も何度も繰り返し慣れていくものだ。
私が言語化に関して誇れるとしたら、ずっと発信を続けてきたことだ。
こんな質問があったけど、素養なんてない。
学生の頃は、400文字の原稿用紙があまりに広大に感じた。
あるとき(iモード・ガラケーの時代)からブログをはじめ、それから20年近く媒体を移りながら発信を続けている。
そして今は誰からも頼まれていないのに、こうして毎日文章を書いているのだから不思議なものだ。
間違いを恐れてはいけない。
私は未だにミスばかりだ。何切るも漏れやミスが多いし、記事に関しても他のライターより誤字や誤植が多いと実感している。
福地さんには「薄っぺらい」と言われ、観戦記を書けば「忖度している」と言われ、それでもめげずに書き続けてきた。
つい昨日も「シュミレータじゃなくてシミュレータですよ」と指摘されたばかりである。(シュミ、で予測変換されないでほしいぜ…)
間違えたらごめんなさい、でいいのだ。
発信を止めることはない。
私は結構、他のプロのnoteを読んでいる。
備忘録のような振り返りでも、きっとあなたの礎になるはずだ。
雀力向上のための言語化、初めてみてはいかがだろうか。