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【無料】Mリーグファイナルを終えて【コラム】

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一昨日、Mリーグ2019のファイナルがその幕を閉じた。
思ったこと、観戦記に書ききれなかったことをつらつら語っていこうと思う。

観戦記

最終日効果もあって、書いた観戦記がとても好評だった。
返事はできていないがたくさんのリプを頂いた。
キンマwebの方も、リプ、引用RT、のコメントは全部読ませてもらっている。

「泣いた」
「感動した」
「胸が熱くなった」
「熱い!」

こんな感想が大半。ありがたいことだ。
この反響の大きさは丸山プロの見逃し記事以来なんじゃないかな。

ただこれは、書く前から読まれるな、というのが大体わかっていた。

なぜかと言うと、理由はシンプルで、見ていて感動したからである。
それを変に小細工せずにそのまま伝えればいいだけ。

そこで、より感動を伝えるために、麻雀の内容に関しての文章は極力減らし、ほぼ選手の表情や心理描写だけで構成してみようと思い立った。

ファイナルとなると、麻雀の解説は蛇足になるかなとも思って。
その判断はよりよい方向に出たのだと思う。

技術面を知りたいって人もいるかとは思うけど、観戦記を読む大半の方は「昨夜はどんなことがあったのかな」「サムネの選手はどんなアガリをしたのかな」って感じのファンが多いと思う。

そう考えると麻雀の解説は読んでいてシンドいし、それが続くと読みたくなくなってしまう。

というわけで、麻雀の解説はこうやってnoteでもできるわけだし、これからの観戦記はなるべく心理描写多め、読みやすさ重視でいこうかな、と今回の件で感じた。

あと、ファイナルともなると、自分の未体験ゾーンなので、選手の判断が合っているかが全くわからないってのもある。

決定戦は別ゲーか?


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多井プロの親リーチに対して、魚谷プロの手牌。
点棒状況を見ると多井プロが開局から連チャンして大トップを狙う状況になっている。

通常、こういう点棒状況になると「下位3名による順位戦」という意味合いが強くなり、つまりこの親リーチに向かうのはますます損、と言える。

しかし魚谷プロはこの2シャンテンから…

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進撃の1mプッシュ!

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次に6pもプッシュ!
この6pには解説の渋川プロも驚いていた。

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最終的にはこのダブ東で放銃してしまうのだが…

魚谷プロは
(ここでまた全員がオリて多井さんにツモられたら、かなりの確率で大トップを取られてしまう)
と感じ、自分がラスになるリスクを背負って前に出たわけだ。
(安全牌がまだ7mの1枚しかなく、多井プロのリーチが愚形含みというのもあるとは思うが。)

多井プロも終盤戦になると「局収支度外視の押し」を見せることがある。
ギアチェンジと表現されることが多い。

多井プロも魚谷プロも、これまでに数々のタイトル戦を経験してきて、決定戦は別ゲーというのを強く意識していることがわかる。

どこかで踏み込まなくては優勝はできない、と。

その一方で、優勝したPiratesは真逆な感じがする。

状況や条件によっては普段とは大きく違う選択を取ることも、もちろんあるが、基本的には目の前の一打一打を積み重ねることで、優勝確率が高くなる、と4選手とも、そう考えているフシがある。

この日の小林プロがまさにそう。

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このカン5pもリーチせず、打4p。
一見普通の選択に見えるかもしれないけど、3mが1枚と5mが2枚切れていて、マンズの伸びが限定的。そしてトップを取らないと意味がない(セガサミーより上にいかないと優勝できない)とあらば、リーチしてしまいたくなるのが人情というもの。
土田プロもリーチリーチ言ってたし。
いや、あの人の解説はあてにならないかw

でも小林プロは「普段どおり」のテンパイ外し。
ピンズは沢崎プロが染めの可能性があり自信が持てないし、多井プロや魚谷プロの河も早そうに見える。

もう1つも観戦記で紹介したこれ。

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南タンキのダマ。
この選択が実質的に優勝の決定打になった。

この選択も見た目以上に胆力がいる。
もう次に、こんな高打点のテンパイが入るかどうかはわからない。
これが最後のチャンスかもしれない。

ここで首尾よく6400を出アガリできても、供託と積み棒があるから一応トップ目にはなるものの、ほぼ並びといっていい微差になる。
ならば多少アガリ確率が落ちようとも、ハネツモ倍ツモを狙ったほうが、優勝確率は高くなるのではないか。そういう考えがあってもいい。

ここでのダマって本当にシンドいんだよ。
それはこの局もしかり、その後もしかり。ずっと選択が続くわけだ。

リーチしてしまえば楽。その局に関してはもう考えなくていいし、当たればラッキー、空振ればまた追いかければいい。
だからある意味、リーチは「逃げ」とも言えるのかもしれない。

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(ぶんぶん振り回すだけが「麻雀」じゃないんだよ、ZERO君)

そう教えてもらったかのような、見事なダマだった。

ラス前の攻防

最後の親番で魚谷プロはテンパイすらできずに流局した。

ただその中で魚谷プロは

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いかにも苦しそうな仕草をして、これが「ノーテンアピールになるので、よくないのでは?」という意見が上がった。

たしかに仕掛けていてあの仕草は100%ノーテンだ。
ローン!12000!なんて言ったら、町の雀荘ではトラブルが勃発するだろう。
実際、上家の多井プロも当然(魚谷は苦しそう、ノーテンも十分にあるな)と気付いていて、鳴かせにいくかを考えていた。

結局鳴かせなかったので、私は(ああ、多井プロはさすがに「露骨な仕草を見てのアシスト」は興行的によくないと判断したのかな)と思った。

実際のところは

小林プロが解説してくれた、これが真相だと思う。


さて話は戻るが、魚谷プロの仕草に関して。

このノーテンを示唆するような仕草は、意図的であろうとなかろうと、競技としてはアウトだと思う。

ただ、これってとても難しい問題でさ。

まず1つ目は、完全に情報を出さないことは不可能、だということ。
極端な話を言うと、仕草で手牌の中身を漏洩するな、というなら、ため息1つ、もっと言うなら瞬き1つが情報のタネになりうるのだ。

観戦記の中で、理牌に時間をかけたから手がめっちゃいいかめっちゃ悪い、って書いたけど、あれも仕草読みの1つ。
多井プロは独自の戦術をたくさん持っているって言ってたけど、そのうちのいくつかはこういう仕草読み、理牌読み的なものだと思う。
(俺だけにこっそり教えて欲しいくらいだw)

人間が打つからこそ、完全に情報を遮断するのは不可能、ということ。
1体、ロボが混じっているけどw

つまりどこどこまでがダメ、というのは厳密に規制することはできないのだ。

2つ目は、そんな魚谷プロだからこそ、感動を呼んだ、という点。

あの半荘の何が良かったかって、魚谷プロの感情の高まりが尋常じゃないくらいに溢れていて、それが画面越しに伝わってきて、だから感動につながったのだと思う。
ファイナルの主人公は、間違いなく魚谷プロだ。

いや、俺は何も感じてねーし、むしろ競技として見てられないと思っているし!って言う人もいるかもしれないけど、大多数は魚谷さんに感動したし、それがエンタメじゃないかなと思う。

その証拠に、カメラはずっと魚谷さんを追っていて、藤田社長もそういう人間ドラマというか人間臭いところこそ見せたい部分だ、とどこかで語っていた。だから美味しいと思ってたんじゃないかな。

大の大人がさ、牌の上下に必死になって泣いたり笑ったりする。
それが麻雀じゃん。それがいいんじゃん。

小林選手は、1人だけあんな感じだから面白いのであって、4人ともコバゴーだったら競技としては成り立つけど、エンタメとしては成り立たない。流行りの十人十色ってやつ。

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自分も魚谷プロの気持ちがわかるし、応援したくなってしまう。
あの仕草に関しては良くなかったかもしれないけど、でも魚谷プロも故意ではないだろう。

私は自分を冷静なタイプだと思っていたが、思いが強ければ強いほど、大一番では感情的になってしまうことが最強戦に出させてもらってわかった。
あの時は、最後のリーチの声が出せなかった。

背負っているものが魚谷プロのそれと比べて全然違うってのは置いといて、だから魚谷プロの気持ちはとてもわかるんだ。

シャミになっちゃう、これは良くない、と思ったところだけは制御するべきかなとは思うけど、今挙げた2つの理由で仕方ない部分もあると思う。

サクラの散り際

沢崎さんに関しても取り上げた。

ただ「総合3位にも賞金があるわけだし、最後の親が落ちるまでは全力で打つべきでは?」という声もあった。

えっとこれはもう、長年語り継がれてきた「目無し問題」というやつだ。

最近麻雀を観るようになった人は知らないと思うけど、もうこの目無し問題というのは散々語り尽くされてきたし、それでも不毛に続く問題なのだ。

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まず1つ。
沢崎プロがどう打ったところで、必ず何かしらの影響は与えてしまうし、どう打っても誰かは必ず文句を言うのだ。

だからこそ、私は記事で「汚れ役」と表現した。

競技者として1つでも上の着順を全力で狙うのがあるべき姿だ。
それは最もな意見だ。あなたは正しい。

ただ、正しいと同時に、マジョリティではないことも認識しておくべき。

何十万点のトップを夢見てなんでも押していく、この行為は正しいけど、美しくないと思う人のほうが多いということ。

だから完全に空気になるのは無理だけど、なるべく澄んだ空気を目指すというのも1つの選択肢。

連盟のプロはそのへんの見られる意識がとても高い。

たとえば、「差し込み」という言葉を使うことは、禁止こそされていないけど、なるべく違う言葉を使っている。

ただ、この辺も時代の流れか、意識が変わってきたと思う。
「差し込みも技術」と認知され、連盟プロもちょいちょい口にするようになってきた。

「アシスト」や「一発消し」なんかも同じ。

だからこの目無しのときにどう打つかも、世間の認識が変われば正解も変わっていくものかもしれない。

沢崎さんはカッコよかったよ。
ほとんどカメラに抜かれなかったけどw表情は真剣そのもので、でも汚れ役としての責務を全うしていた。

サクラの散り際はとても美しかった。


というわけで、勝負をかける多井プロ、魚谷プロ、飄々としている小林プロ、空気に全力の沢崎プロ、の4人の対比を、よく出せた観戦記になりましたとさ。

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