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【麻雀】ルールは性善説に基づいて作るべきか

先日、朝倉康心プロが実際のツモ牌とは異なる牌に触れてしまい、小チョンボとなった。
(詳細画像↓)

少し前には、見せ牌や誤発声の規定に不満を持ったプロが退会するなど、最高位戦の厳しい規定がたびたび話題になっている。

また見ている人からも

「さすがに厳しすぎる」
「麻雀の面白さを損ねている」
「最高位戦の対局は長くて見ていられない」


という声を聞く。

そこで今回は、最高位戦の規定を振り返りつつ、内部で活動している私がどう感じているかを書いていこう。


見せ牌について

頻繁に話題に上がるのが「見せ牌」である。
見せ牌とは、山牌をこぼしたり手牌を倒してしまい、牌が他家から見えた状態を指す。

見せてしまった枚数によって裁定は変わってくるのだが、最高位戦ではたとえ1枚でも「注意」となり、同一半荘中に2度の注意を受けると-5ptのペナルティが科せられる。
その後、見せ牌は全員が確認した上で所定の位置に戻される。

簡単に「-5pt」と言うが、麻雀プロにとってポイントは命のようなものである。1ptを積み上げるためにしのぎを削っている中、5ptが昇降級が決定づけることだってあるだろう。
見せ牌によってプロ人生が左右されると言っても過言ではないのだ。

近代麻雀のコラムで井出洋介さんが
「麻雀プロにとって命のようなポイントを見せ牌で減算するのはいかがものか」
と語っていた。

他の4団体の選手に取材したところ、1枚の見せ牌でポイントを減算されることはなく、公開もしないとのことだった。

最高位戦でもこの規定を取り入れ出したのがここ最近のことであり(私が復帰入会した2年半前から試用運転していた)、それ以前は他の団体同様、1枚の見せ牌ではペナルティはなく、公開もしなかった。

私としては最初からこの規定でやってきたこともあって、ごく自然に感じてはいる。

1枚見えるだけでゲーム性が大きく変わってしまうのは詳しく語るまでもない。その1枚で誰かが有利になり、誰かが不利になる。そしてそれが誰かのプロ人生を左右しかねない。大袈裟ではあるものの、事実である。

これまではその1枚を「次から気をつけましょうね」でずっと済ませてきた。たしかにポイントは麻雀プロにとって命ではあるが、見せ牌だって同様に麻雀プロの命に関わる事象であると言える。

鈴木優は語る。

「どれだけ麻雀が強くても、ポロポロ牌をこぼしていてはその程度の人なんだと思われてしまう。みんなのため、自分のためにも牌は丁寧に優しく扱うべきである。」

近代麻雀コラム「恐れ知らず」より

たしかに優さんはほとんど牌をこぼさない。
2年間のMリーグで一度も牌をこぼしておらず、Aリーグの対局でもそのような場面を見た記憶がない。

麻雀プロとはかくあるべきなのではないか。
素人が真似できないほど技量が高く、思考が速く、そして牌の取り扱いが丁寧。

実際の麻雀プロがどこまで実践できているかはおいといて、目指す姿はここにある。

理想と現実

目指す姿はここにある。( ー`дー´)キリッ
と格好よく終わらせても良かったのだが、それは理想論であり、現実では様々な問題が生じる。

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