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最強戦に見る、麻雀の可能性

近代麻雀12月号(11/1)が発売中です。
最強戦出場をかけたアンケートを実施していて、1月号(11/30発売)との合算で決まるので、もしお手元に近代麻雀がある方は【35番】沖中祐也へ投票していただけると嬉しいです。

「麻雀最強戦2025男子プロ読者アンケートのお知らせ」
https://note.com/kinma/n/n9df27768bdd7
メンバーシップに加入すると、ネット上から投票できます
https://note.com/kinma/n/ndd32eaf26df0
途中経過(11/15)
https://note.com/kinma/n/ne39b1145b5a5

あとがないボクら

えらいことになっている。

11/15時点での途中経過で2位に食い込んでいるのだ。
たとえ選ばれなくても自分のためになったと言い聞かせてきたが、現実味を帯びてくると欲が出てくる。

一体いつから、次のチャンスがあると錯覚していた?

そうだよ、木原さん。
僕はこれが最初で最後の投票だと思って全力投球してきた。
毎日記事を書き、自分でもたくさん投票した。

人気投票で--とか
他のプロでもいいので--とか
綺麗事は言っていられない。

僕達にはもうあとがないじゃないか。
一点突破するしかないじゃないか。

僕は麻雀内外の多くのことを教えてくれた木原さんとあの舞台で戦いたいよ。

沢崎誠の剛柔

昨日、飛行機に乗る前の時間に最強戦を見ていた。
こんな状況だからこそ、思わずにいられない。
ーー自分なら、どう打つかと。

(以下、敬称略します)

画面には、沢崎の親が映し出されていた。
どうやら最後の親らしい。

沢崎さんはここから9sを切った。牌効率で言うと9pか9sを切る場面。
下家の谷井が仕掛けており、なるべくそこに鳴かせないようにする意図だろう。
これが沢崎の柔だ。

さらに手が進んで、ここからソウズのペンチャン外し、打9s。

もう一度言うがトップ取りのこの半荘、絶対に落とせない親である。
自分が座っていたら、こんなにやわらかく打てるだろうか。

直後、上家の朝倉からリーチが襲いかかってくる。
その瞬間、沢崎のスイッチが入った。

一発で3pをツモ切りプッシュ。
さらにカン4mをツモって暗刻持ちの5mも鬼プッシュ。

目いっぱいに構えたおかげで7pを捉えて阿修羅の追っかけリーチを打つ。

闘病中でやや痩せているようにも見えるが、そこに座っているのはMリーグで暴れまわっていた姿と、何一つ変わらない。

この局はさらに松本が追っかけてきて、アツいめくり合いの末…

松本が制した。

朝倉康心の剛柔

お次はアサピンだ。
ハネツモ条件となったオーラス。
4巡目に朝倉の手が止まった。

ハネマンがくっきり見える!
リーチ・ツモ・チャンタ・三色・ドラ1
もしくは
リーチ・ツモ・チャンタ・ダブ南
で条件を満たす。

不要な2mを切るしかないと思われるが、朝倉は考える。
場に2sが2枚飛んでいる。

この2sに全てを託していいのかと考えているんだ。
一方で2m周りは場に安い。

朝倉は

9mを切った。
これが朝倉の柔だ。

残り1枚の南を引いたときが怖すぎて、真似できるかわからない。
その選択がハマった。

2mに1mがくっついて打3s。

8mが埋まって、条件を満たすリーチを打てた!
狙い通り3mは山にいる。

谷井茂文の疑問手

この半荘、トップ目に立った後の谷井はずっと丁寧に打ち進めていた。
ただこの局、唯一疑問に感じる選択があった。

谷井はここから3sを切ったのだ。
これは打2pの一手だろう。

3sを切ると4sだけではなく6sの受け入れも失う。またツモ2sからのリャンメン変化もある。いろいろ打牌意図を考えてみたが、この牌効率を覆す理由は見つからなかった。

これが敗着にならなければいいが…

麻雀ってなんて残酷なんだろう。
この後、谷井がテンパイすることはなかった。

松本吉弘の剛柔

朝倉の魂のペン3mリーチを受けた松本の手牌。

テンパイした。
カン4pはすこぶるよく見える。

ヒットマンが顔をしかめて考える。
(アガリたいのは山々だが、アサピンのリーチに間があった。一発や裏の条件があるかもしれない。4pはめちゃくちゃよく見えるけど、それでもカンチャンのリーチのみ…)

松本は3pを切ってテンパイを外した。
これが松本の柔だ。

繊細と臆病は紙一重。
この選択は最強位に近づいているのか、遠のいているのか。

そして松本の手にやってきたのが

6pだった。
この形なら勝負するに値する--松本は腹をくくった。

ヤミテンでもオリでもなく、リーチ。
トップ目だがここで差をつけておかないと勝ちきれない。

麻雀の魅力にかけろ

朝倉と松本のツモる手に力がこもる。

私の思う「最強戦の魅力」は、麻雀の魅力に賭けているところだ。
さまざまな演出が施されているけど、いざ対局が始まれば「トップ取り」か「2着取り」というごくシンプルなシステムの麻雀が繰り広げられるだけ。

筋書きもない、台本もない。
意思を持たない牌たちを、ツモっては切り、ツモっては切り。
たった一回の半荘勝負。

でもそれでいいじゃないか。
俺達が愛した麻雀ってやつは、
俺達が尊敬する麻雀打ちは、
その一回勝負の半荘勝負で、とんでもなくアツいドラマを見せてくれる。

そう、最強戦のシンプルなシステムとルールは、麻雀に対する圧倒的な信頼感からなっている

人智を尽くした後は、もう祈ることしかない。
大の大人たちが、1牌の後先に笑い、そして泣く。

普段は冷静な朝倉が雑に放りだした7pに松本が声を掛けた。

搭乗時間がきたので、ここからは見ていない。
アサピンが再度逆転の手を入れたらしいが、松本さんが逃げ切ったらしい。

遠ざかっていく街の光を見ながら感情が揺さぶられる。

麻雀っていいなぁ。
最強戦を見るたびに、心からそう思う。

そしてやはりこの舞台に立ちたい思いは強まったし、アツい勝負を繰り広げられる自信がある。

こちとら30年近く麻雀しか打ってないんだ。
麻雀に対する愛情なら負けないぜ。

投票してくださった方、本当にありがとうございます。
来年、この場所で麻雀を打つ。
それだけのプロジェクトに全力で取り組みたいと思っています。
投票しなくても構わないので、記事の拡散等で応援してもらえると嬉しいです。
投票してくれる方も、ご無理のない範囲でお願いします。

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沖中祐也・zeRo
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