丸山奏子育成計画はどこまで進んでいるのか【Mリーグ】
昨年、ドリブンズは丸山奏子を「育成枠」として獲得した。
その育成方法は特殊だった。
常識を教えて70点の選手を作るのではなく、ドリブンズの一流選手3人が、いきなり全ての選択の打牌意図を1から叩き込み、100点の選手を目指す。
結果的に100点までの到達は早くなるのではないか。
と、ドリブンズの越山監督は語る。
この話を聞いたとき「そんなうまくいくのかな」と思った。
私はこれまで多くの人に麻雀を教えてきたし、成長を見守ってきた。
その中で大切だと感じたのは、大きい部分…つまり常識から教えていくことである。
「リャンメンはリーチ」から始まって
「良い手の時は押す」
「孤立牌を切れ」
「役牌2つはホンイツかトイトイにいけ」
「ウザク本を読め」
などである。
これらを守っていれば大体は間違わないし、70点への道は近い。
そもそも、いきなり100点を目指すことは方法論的に可能なのか?
ずっと懐疑的に思っていたのだ。
全ての選択の細かい要素を伝えると、学ぶ方はどれが大切な要素なのかわからず、混乱してしまう。
ドリブンズは特に3人が3人とも別のことを言いそうだから、なおさらである。
しかし、トップ選手3人が1人に対して英才教育を施す、なんて事例はこれまでに無かったはずだ。
そして本人もこれまでの麻雀観を捨て、意欲的に学ぶ姿勢を見せている。
かなこノートの一部。この画像30枚分、25000字程度(A4で80ページほど)で1半荘になる
だからどうなるかが読めず、昨シーズンは丸山の動向に興味を持っていた。
しかし10戦しか打てなかったこともあり、結果は出せなかった。
常に何かに怯えていて不安そうに打っていた印象がある。
その丸山プロが昨夜、デビュー戦以来の2勝目となるトップを獲ったという。
そこで私は昨夜の牌譜を取り寄せ、成長過程をチェックしてみようと思った。
なお、記事内の牌譜は田中 航/北越せっぷさんのところから使わせていただきます。Mリーグの牌譜ビューアーが1週間後にしか使えず困っていたところ、本当に助かりました。この場を借りてお礼を申し上げます。
使わせてもらう度に500円払うことをここに明記しておきます。
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本編は敬称略とさせていただきます。
あと丸山さんが思考を詳しく語ってくれたので、本文に組み込みます。
おかげさまで神記事になりました!
東1局 いきなり異端の選択を放つ
開局、第1ツモの前に選択があった。
この発を鳴くか?↓
丸山はスルー。
無理やり染めるくらいしか高くなりそうにないものの、あまりに形が悪すぎるか。南家で親の現物を2枚消費するのもロスが大きい。
(丸山談)
書いてある要素の通り、鳴くメリットが少ないと思ったのでスルー
異彩を放ったのは手が進んだ9巡目。
丸山はここからなんと5mを切った。↓
357から5を切るのは1打で4と6の受け入れを消しているので、通常は良くない。
ではなぜ5mを切ったのか。
まず4と6を引いたところでリーチのみ愚形であること。
特に押し返しの強い3人が相手だ。
もとよりリーのみのペン7sなどは打つ気がなかったのだろう。
続いて5mより7mの方が安全度が高いこと。
7mは2人に通っているが、5mは全員に通っていない。
そして789の三色変化も見たのだろう。
・ペン7sのリーチのみを打つ気がない
・7が安全
・789の三色に渡れる
この3つの要素が複合して打5mを選んだのだと思う。
現物を意識するのは村上イズムが流れている。
たしかにこの打5mは、70点の打ち手には選択肢にすら出てこない一打である。
ZEROさんが書いてくれた3つの要素と1s引きでチャンタ変化もあると思っていたので、4m引きは嬉しくないし痛くないと思って打5m
次に丸山は6sをツモって打7m↓
んーこれはなんだろう。
6sはさっき通ったばかりで、切るなら今だ。
7mは安全度的にも789の三色にも必要。
789を考えていなかったか、単純なミスのいずれかだと思う。
7m切り→ソウズ一通
6s切り→789の三色(チャンタも付くかも)
親の6mが手出しだったのでその辺のターツ持っているかもと思って7m今のうちに合わせちゃえと思ったのですが、ソウズも高いし2人現物の6s切りのほうがよさそう。
終盤、黒沢からリーチが入って宣言牌の7sをチー。↓
形式テンパイ一直線。
さらに横に曲がった2mもチー。
よく食うまるこ。
これは当然のチーである。
チーして安全な牌(6m)を切れるだけでなく、連打できるので次巡も安全に形式テンパイを維持できる。
何気にハイテイが北家(対面)に回るので「西家と北家がチーしづらくなる」というメリットもあるね。さっきの7sチーみたいに、2シャンテンから1シャンテンになるチーなどはできなくなる。
ハイテイを親の黒沢さんに回すとか、絶対何か起きるでしょ。
こうして運命の1戦は、流局で始まった。
東1局2本場 ロックオン2mパッツモ!
丸山はここから3mを切った。↓
両脇が1mを切っていて、2mがよく見えたので固定したのだ。
実際に丸山は終盤にリーチを打ち、2mを一発ツモしてマンガンのアガリ。
ただ、この打3mはどうなんだろう。2mもいいということは3mもいいということだ。実際に次の巡目にすぐに3mが被った。123の三色が消えちゃうからあまり嬉しくはないツモだけども。
ここは良さそうなマンズは後回しにして、苦しいペン3pのアガリ率を少しでも高めるために打4pが先ではなかったか。
4pにはツモ5pのリャンメン変化があるからこれまた難しい。
アガれたものの、もう少し早くアガれたルートもあるだけに、少し気になった1局になった。
123の三色にしたいのと2mが良さそうなので最終的な待ちになった時に強くなるし固定もしちゃえと思い打3m
4p切りは赤5p引いた時だけ採用したいので残したが、4p切りでシンプルな進行がよかったかも。もしくは打8mもありだったかな?
東2局 鉄壁のガード1
アガって気分良く迎えた親番。
丸山は回線落ちしている多井から切られた白をスルーした↓
かなり守備意識が高い。
私なら鳴いてしまいそうだ。
点棒を持っているので、危険を冒してまでの安手はいらないということだろう。
親番なのでできればアガって連チャンしたいけど、多井さんの1巡目7s手出し2巡目ドラ9sツモ切りが恐ろしすぎて見送り。
タンピン赤系の基準高めな手だったら嫌だなという感覚があり、自分の手が鳴いて安いし待ちも弱そうなので白バックテンパイやチートイツにしようと思っていた。
東や発が重なると自分の手の価値が上がるので戦いやすいかも。
すぐに回線復帰した多井がリーチを打ってきて流局。
東3局1本場 鉄壁のガード2
2巡目、丸山はここから6mを切った。
丸山の意図としては、手が悪いので全員の安牌を意識しつつ、のんびりお茶でも飲みながらチートイをやりましょう、ということだと思う。
これは少し守備意識が過剰だ。
2シャンテンからチートイツに決め打つべからず。とは私がよく言っていること。
特にこの場面は2巡目であり、タンヤオがくっきりと見える。
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