麻雀戦術本・裏話【コラム】
・あの男がまた竹槍でつついてきた
昨日の記事にこんなコメントがついた。
むむっ!福地パイセンがまたちゃちゃ入れてきたな!w
そうそう、たしかに昨日の記事はこれまでと比較すると当たり前だったのかもしれない。
これね。
この記事を1行でまとめると
「ピンフドラ0はドラ1~2と比較すると局収支の上昇が低いから、慎重に判断しようね」
となる。2行目突入したのは見なかったことに。
たしかにこの知識は、ある程度打てる人にとっては常識かもしれない。
でも、同じことをどうやって伝えるかが我々の仕事の全てだとも思っている。
・麻雀戦術書はどれも同じ?
たとえば年に何十冊も発行される麻雀戦術書。
この私の著書を含め、この世に出ている麻雀戦術書の内容は90%以上どこかで見たことのあるような内容だったりする。
斬新でオリジナルの戦術というのは極めて少ない。
言葉を変えてわかりやすくしたり、問題形式にしてみたり、マンガを添えたり、統計学の見地から考えたり…と、伝え方をいろいろ工夫してはいるが、内容に関しては、どの本も代わり映えしない。
なぜなら麻雀の一般的な戦術って、もう出尽くしているからだ。
雀力をアップさせるために大切なのは、牌効率や押し引きが主流で、あとは鳴き・読み・ベタオリくらいだ。
麻雀中の選択って意外と限られていて、↑の項目をどう深堀りさせ、どう表現するか、の違いが戦術本によって別れているだけだ。
例えば、私の代名詞にもなりつつある「トイトイダッシュ」。
これとて、決してオリジナルとは思っていない。
無意識のうちにやっている人はいくらでもいると思う。
私は、そのありふれた戦術に着目し、システムとして確立し、キャッチーな名前で味付けしただけに過ぎない。
「定点チェック」や「タンヤオスキー」だって同じだ。
でもそれって大事なことだと思う。
難しいことをいかにわかりやすく、いかに効果的に伝えるか。
これは麻雀業界に限った話ではなく、どの業界でも同じことが言えるのではないだろうか。
昨日の記事で言うと「豆ダマ」という言葉を用いて、局収支で解説して、実戦譜を使って深堀りして、最後に豆リーチという言葉を生み出してオチを付けた。
初めて知った方には、数字だけでバーっとまくしたてられるより、理解できたと思う。
それに、当たり前の戦術に思えるけど、ずーっと麻雀やってるとその当たり前のことがおろそかになって忘れたりするんだよね。
実際この「ピンフのみ」を記事に取り上げたのも、最近リャンメンならなんでもかんでも思考停止してリーチ打っていたな…という自分の気付きがあったから書いたわけだ。
あとは他家の河から速度を測る習慣が抜けたり、うっかり三色を見落としたりして打点意識が欠如していることに気付かされたり…定期的にこれまで学んだことが頭から出ていったりする。
俺が歳なだけか?w
そういうのを定期的に確認するのも大きいと思う。
もう1つ。私は、当たり前の戦術論の中にも、上級者の気付きになるようなことをいつも織り交ぜるようにしている。
この記事だって、当たり前っちゃあ当たり前だけど、その中でも自分はこの要素を重要視していますよ、ということを伝えた。
自分は初~中級者が見てもわかりやすいし、上級者が見ても何かの気付きになる…そんな記事を心がけている。
どっちつかずになって甘い、と言われそうだけど、それが自分のスタイルなのだ。
↑これは元ブログの記事だけど、難しい内容の読みを、法則に統一してわかりやすくまとめてあり、読んですぐ誰でも実践できるようにした。それでいてレベルは高いと思う。
こうやって難しい戦術をわかりやすく解説するのが自分の使命だと思っている。(キリッ
誰かが言っていた。
「読んだ人を強くさせるわけではなくて、強くなった気にさせることが重要」
そう、読んだだけで強くなる本なんてないんだよ。
読んだうちのどれを取り入れるかの判断、そして読んだだけではダメで、アウトプットしていかないと、絶対に身につかないのだ。
書き手はきっかけを与えただけに過ぎず、身につくかは読み手次第なのだ。
・近代麻雀コラム裏話
明日(2020/6/1)発売の近代麻雀に麻雀戦術コラムを書かせてもらっている。
早いもので、これで10回目になる。
もうすぐ1年か。
あれは1年前のこんな連絡から始まった。
金ポン「近代麻雀は原点に帰るというか、戦術に力を入れることになって、そこでZEROさんに戦術コラムを書いてほしいんですけど」
ZERO「どういうコラムですか?」
金ポン「えっと、今までにない戦術で、雀荘の待合席でパッと読めて、すぐに実践できて、効果のある戦術がいいですね。あっ今話題のMリーグと絡めてもらえるとなおいいです。」
なるほど、オリジナルで、すぐ読めて、あっという間に強くなって、仕上げにMリーグと絡めるわけね。
その要望を聞いた時、私はこう思った。
何度も言うが、麻雀にできることは限られている。
しかし、私はこう即答した。
ZERO「余裕っす!私に任せてください!」
ホリエモンと藤田社長の本にこう書いてあったのだ。
起業したばっかりの若い頃の2人は、お客さんからのどんな無理難題でも受け、それをこなしていくうちに自分のスキルになり、人脈につながり、そして仕事になっていった…と。
あの2人と比較するのはアリと象みたいなもので気が引けるが、とにかく私はこのことを思い出し、2つ返事でOKしたのだ。
こうして最初にひねり出したのが…
「3フーロリーチ」である。
3フーロはリーチと同等の効果があり、それを利用して足を止めている間に大物手を入れてあがってしまおう、という内容の戦術。
これも多くの強者が無意識にやっているものを形にしたものだ。
評判はなかなか良かったと思う。
「フーロリーチ」ってなんやねん、矛盾しとるやん。というインパクトがある。それでいて実戦的で、実際3フーロしたときに相手が対応しているのを見て、こういうことかって実感できる。
それを使いこなすのがまた難しいんだけど。
それはさておき「強くなった気にさせる」感はある。
・金ポンのダメ出し
ここから連載が10回も続くとは思っていなかった。
毎月、金ポンと頭を悩ませ、ある程度テーマが決まって第一稿を送る。
すると大体こう返ってくる。
金ポン「いや、ちょっとわかりにくいっすね」
そこで指摘されたことを中心に大部分を変える。
テーマごと変えたこともある。
金ポンはわかりやすさを追求する。
イチ読者の目線で見て、初心者や中級者がすんなり頭に入ってくるかを第一に考えるのだ。
その一方で、私は麻雀の選択にはいろんな要素や例外があることを、どうしても伝えたくなる。
だって麻雀ってそんな簡単なものではないじゃないか。
例えば「役役ダッシュ」という戦術を書いたことがあった。
配牌で役牌が2つあったら、絶対にホンイツかトイトイにしろ、と、そんな内容だ。
いやいや、絶対じゃないだろうと。
手牌によってはホンイツもトイトイも厳しいことだってあるし、たとえばオーラスアガリトップなどの状況では普通に進めた方がいいだろう。
でもいちいちそういう例外や要素を書いていると、長くなってしまうし、インパクトに欠けてしまう。
結果的に読者は読んでくれなくなるのだ。
金ポンの言うとおり、どんな良い戦術でも、まずは読んでくれないと始まらない。
そのためには、インパクトとわかりやすさが大切。
具体的に言うと、キャッチーなフレーズと簡素化だ。
何回か、私が「これは絶対ためになるから!」と押し切って書かせてもらったことがあった。
しかし、編集部の反応はイマイチだったそうで、実際読者からの反響も微妙だった。
そこで、自分が良いと思うモノと、読者が求めるモノに乖離があることを学んだ。
それはYou Tubeをやっているときも学んだし、今に活かされていると思う。
失敗もしたけど、それを含めて良い経験をさせてもらっている。
冷静に考えると全国紙に連載、それも昔から見ている近代麻雀に書かせてもらっているって凄いと思う。未だに実感がない。
わかりやすさと内容の良さの板挟みにいつも苦しめられているが、私ならできる、いや私しかできないと思ってやるしかない。
いや、そう思っている人じゃないと書く資格はないだろう。
やらせてもらっているうちは読者にとって有益なモノを全力で書いていきたい。
というわけで、明日(6/1)発売の近代麻雀の中の私のコラムを、雀荘の待合席でもよいので見てくれると嬉しいです!
予告には家でできる麻雀上達法、とあるけどそれはフル没になってw今号はベタオリの重要性をめちゃくちゃ熱く語っています。
ちなみに、こうやって制作側の裏話というかストーリーを語ることも、今後は大切にしていこうと思っている。
決して苦労話がしたいわけではない。
モノが溢れているこの時代に、他のモノと差別化しようと思ったら、そのモノにストーリーを乗せることが大事。
モスバーガーで、このトマトは◯◯県の◯◯さんが作りましたって写真付きであると、おおって思うでしょ?
作者がどういう思いで作ったものなのか、それがわかるとより興味を引く、という。
だから明日から月額制になるこのnoteも、タイトルの付け方とか、こういう思いで書いたとか、ビュー数がどうか、そういう私の気持ちを吐露していきながら続けていきたい。
・まとめ
俺かて、いろいろ考えてるってことですよ。福地パイセン!
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