雀ゴロの生態【コラム】
・死体
アガれずに、台の中央に吸い込まれていく自分の手牌を「死体のようだ」と表現する人がいた。
伏せられた死体は、捨て牌や山とごちゃまぜになり、そして積まれ、新たに牌山として再生される。
と、そんなようなことを言っていたと思う。
打っている本人以外、誰からも見ることのできなかった手牌は、日の目を浴びることなく、伏せられる。
この手牌を伏せる行為が、寡黙で勤勉で、そして他人を立てる日本の文化とシンクロする。
伏せられた牌は、たとえ役満をテンパイしていようと、たとえベタオリしていてバラバラであろうと関係ない。
誰かのアガリが発生した時点で、その手牌はどんな13枚であれ、瞬時に死体へと変化するのだ。
短期的なスランプがきて一定時間アガれないと、死体をひたすら量産しては台に流し込み続けている感覚になる。
ほとんど前に倒されず、死体になるであろう手牌を一生懸命前に進めることに、一抹(いちまつ)の虚しさを感じるのだ。
いつからか私は、そんな不調時のモチベーションを保つために、最高の死体を作り続けよう、と思うことにした。
たとえ後ろで誰も見ていなくても、
たとえ同じ死体になるにしても、
ギリギリまで押し、そしてギリギリでオリ、下家に鳴かせたほうがいいのかなど、あらゆる手立てを考えた上で、最高の死体を台に送り込もうと。
そして、その最高の死体を台に送り続けることが、雀ゴロの仕事だと。
そんな本日は、雀ゴロとして過ごした経験のある私が、雀ゴロの生態系に迫っていこうと思う。
雀ゴロとは何なのか?
雀ゴロが生きていくための最低レートとは?
雀ゴロに必要な能力とは?
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