【岡山vs栃木 3-0】岡山の前プレとCBの迎撃能力に学ぶサッカー観戦のコツ
どうも、ゼロファジです。
今回はJ2リーグ開幕戦、岡山vs栃木の試合を題材に、サッカー観戦に役に立つ基礎的な知識について紹介していきます。
J1昇格を目指す勝負の年を迎えたわれらがファジアーノ岡山でしたが、開幕戦を3-0と内容・結果とも完勝と言っていいすばらしいゲームをしてくれました。めちゃくちゃうれしい!
ゲームの大半を支配し栃木につけ入るスキを与えず。危なげない勝利でスタートを切った岡山でしたが、その要因のひとつとして大きかったのが前プレとCB陣の守備でした。今回はそこにフォーカスしてお話を進めていきます。
↑こちらの記事を読まれた方は次の”サッカーの守り方は3つある”を飛ばしてくださって構いません
サッカーの守り方は3つある
覚えておきたいサッカーの守り方には3つあって、
と、この3つです。(※呼び方はどっち使っても通じます)
で、どうやって見分けたらいいの?ってことなんですけど、これは主に守備を開始する位置で見分けるといいです。
リトリートは自分たちのコートに引いて守る形。
ミドルプレスはセンターサークルあたりを頂点として構える形。
ハイプレスは相手コートの高い位置から迎撃しにいく形。ざっとこんなイメージでOKです。
このハイプレスで大事なことは、相手のボール回しに対して継続的にプレッシャーをかけ続けて自由に運ぶアクションをやらせないこと。そして、相手に苦し紛れのプレーをやらせてミスをさそいボールを奪うことです。
すでに相手のコートの深いところで守備をしているわけですから、そこでもしボールを奪うことができれば攻守交代で今度はそこから攻撃がスタートします。そうすると、手薄になった相手に対してなだれこむように攻め込むことができるので、いいよね!ってわけです。このような攻撃のことをショートカウンターと呼びます。
覚えておきたい大事なポイントはハイプレスはショートパスをつないでくるサッカーに効果的だとされてることです。でも、今回はその応用編。
サッカーの攻撃は2種類ある
サッカーの攻撃にはおおまかに2種類あって、栃木SCがこの試合で見せていたのはロングボール攻撃でした。
たとえば、このように大きなボールを蹴って前線にボールを送り、FWと岡山のCBでハイボール(高く上がった浮き球)を競り合う。そして、そのこぼれ球を拾うことで前にボールを運ぼう!というやり方や。あるいは、
このように大きくあいたスペースにアタッカーを走らせ、そこでボールをキープして「運ぶ」をやろう!というのが狙いです。
ところが、この試合栃木はあまり有効な攻撃を組み立てることができませんでした。というのも、岡山の前プレ(=ハイプレス、前からプレスの略)が栃木のロングボールの精度を下げ、なおかつ岡山のCB陣の空中戦の強さ、広いスペースをカバーする力、総合的な守備力で栃木の攻撃を受け止めることができていたからです。
岡山の前プレと栃木のロングボール攻撃
この試合の両者のフォーメーションは、岡山が3421、栃木が3142となっていました。左が岡山、右が栃木。(※フォーメーションは後ろから読み上げます)
岡山が栃木コートの深い位置で前プレを開始するときには、
岡山のFWグレイソン選手が栃木のアンカーの選手にパスを出させないように立ちます。このような守り方を”パスコースを切る”といいます。すると、栃木は別の選手にボールを預けたくなるわけですが、
栃木の後ろの選手には岡山の選手が1対1で見張っています。このような状態を”マッチアップしている”と表現します。岡山は前プレでどんどんプレッシャーをかけて来るので、栃木がボールを動かしても・・・
このようにすぐさま岡山の矢のようなプレッシャーが飛んでくるので、ボールを受けても前を見て狙いを定めるゆとりがあまりありません。しかも、モタついてボール奪われたらショートカウンターですから、リスクも感じながらの窮屈なプレーを強いられます。
ここでショートパスをつなぐチームなら、プレッシャーをいなしてパスを回して岡山のプレッシャーをかわしていきますが、栃木はロングボールが主体なので前方にポーンと大きく蹴りだすことになります。しかし、狙いすましたキックではないのでボールの精度は落ち、アバウトなボールを前線に供給することになります。
前プレはショートパスを使った攻撃に効果的というのは原則ですが、実はロングボールにも効果を発揮することがあります。それはこのように、相手に窮屈なキックを強いて、いわば苦し紛れのロングボールを蹴らせることができるということです。
局面は栃木の前線vs岡山のCB陣に移ります。
岡山のCB陣が制空権を取る
栃木が苦しいロングボールを蹴ると、岡山のCBと栃木のFWとの空中戦に移行します。両者落下地点を見極めて競り合いますが、ここでもし栃木が競り勝って周辺にボールが落ちたらそのこぼれ球を拾って運べばいい。ロングボールを使ってボールを運ぶのは栃木の元々の狙いなので、それでよし!というわけです。ところが、
このように岡山のCB陣が空中戦を制し、栃木の思うようなこぼれ球を発生させませんでした。これではボールを運ぶことがままなりません。このセカンドボールをまた拾うことができれば栃木にも前進する可能性が開けましたが、そこも岡山の意識は高く回収に迅速でした。
栃木にはショートパスで組み立てていくそぶりをあまり見せていませんでしたから、なおのことロングボールの成否に攻撃が依存しやすく、そこを岡山のCBに制空権を握られてしまったので「こまったなこりゃ・・」ということになりました。したがって、栃木はゲームを通じてあまり思うように攻撃ができなかったのでしょう。ちなみに、RSKラジオで中継解説していた元岡山のむっくんこと椋原さんは「セットプレーくらいでしょうかねえ栃木に可能性あるのは」と言ってました。
岡山サイドからすると前プレとCBの迎撃性能で安定して栃木からボールを取り上げることができるので、前プレに出ていった値打ちは高かった。このように前プレでゆさぶってボールを蹴らせ、後ろでボールを巻き上げることを”蹴らせて回収する”なんて言ったりします。今後もこのような形でいい守備を楽しみにしたいですね。
栃木としては、後半に長身選手を前線に投入しロングボール攻撃のてこ入れを狙いましたが、あまり問題は解決せずでした。しかし、この試合における岡山の3CBは非常によかったです。どのチームも穴にならない選手を2枚、3枚とそろえるのは難しいので、栃木のロングボール攻撃が功を奏す場合もおそらくあるでしょう。
今後どのような路線を考えるか?はわかりませんが、前プレに出てくるチームが多いJ2なので田中誠監督がどんな工夫をしてくるか?楽しみにしたいと思います。
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