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Vol.32 推進力を高める腕振りについて

「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。

ランニングというスポーツは、いかに「速く前に進むか?」ということに楽しみを見出しやすいこともあり、そのパフォーマンスに直接的な影響が大きい「脚の動き」に注意が向きがちです。

たしかに、足の裏を着地させ、地面に力を伝えることによってはじめて、僕たちは前に進むことができます。

ただ、その「直接的な影響」も実は、「間接的な影響」の繋がりによるところが大きいわけで。

つまり、脚以外の動きが、脚の動きに大きな影響をもたらすということですね。

そこで今日はその「間接的な影響」の中でも大きな割合を占める「腕の振り方」についてお話ししていきます。

この「腕の振り方」によって、着地足への荷重の「質」が変わります。

ちなみに、Vol.25で「腕振りのコツは、前腕にあり」というお話をしましたが、今日の内容はそれを補完するような内容になります。
Vol.25はこちらから

それでは、推進力を高める腕の振り方、探しにいきましょう!

筋肉に「効かせない」動き

推進力を高める腕振りのコツを掴むために、今日は500mlのペットボトルを使います。

できればもう少し重量感があるダンベルなどの方がわかりやすいんですけど、ダンベルよりもペットボトルの方が身近ですよね?

もし3kg程度のダンベルがあれば、そちらを使ってみましょう。

では、そのペットボトルで、このような動きをやってみます。動画をご覧ください。

ペットボトルを肘の位置よりも高く上げます。

ここでたいていの方は動画の前半にあるように、いわゆる「アームカール」のような動きになります。

このときって、支点が肘になってるのがわかりますか?

この動きって、上腕二頭筋(いわゆる力こぶ)を鍛えるには有効です。いわゆる「筋肉に効かせる」ってやつですね。

しかし、ここでのテーマは「ペットボトルを肘の位置より高く上げる」であって、「上腕二頭筋を鍛える」ことではないことに注意が必要です。

ここで大事にしたい視点は「いかに楽に、ペットボトルを肘の位置よりも高く上げるか?」。

ここが今日のポイントです。では、どうすればペットボトルを「アームカール動作」よりも楽に上げることができるんでしょうか?

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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員