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Vol.24 骨盤回旋を促すために「腕を振らない」

「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。

あなたももしかしたら、こんな悩みを抱えていませんか?

✅ 一生懸命腕を振り、脚も動かしているのに、思ったように速度が上がらない」
ランニング分析ツールの「ランメトリックス」で測定した「骨盤回転」のスコアが、なかなか改善しない」

これらの問題の多くは、胸郭(胸の部分)と骨盤の回旋リズムがズレていることが原因です。

そこで今日のテーマは「あえて腕を振らないこと」で、このズレを解消し、骨盤回旋を促す方法についてお話しします。

普段とは異なる動きを試すことで、今までのフォームから脱却し、新たな気づきを得られるかもしれません。

なぜ腕を振らないことで骨盤回旋が促されるのか?

腕を振らないランニングを試すことで、胸郭の動きが抑えられ、その結果として骨盤の自然な回旋が促されます。骨盤回旋が整うと、一歩ごとの推進力が向上し、効率的で力強い走りが可能になります。

では、なぜ腕を振らないことで骨盤回旋が促されるんでしょうか?

ランニングでは、胸郭と骨盤が交互に連動して動くことで推進力を生み出します。この動きを「胴体の回旋リズム」と呼びます。しかし、腕を大きく振りすぎたり、腕振りのタイミングがズレたりすると、このリズムが乱れてしまいます。

例えば、胸郭が過剰に回旋すると、その動きが骨盤を制限します。すると骨盤の回旋が不十分になり、結果として推進力が低下します。この状態では、いくら脚力を鍛えても速度が上がらず、努力感ばかりが増してしまいます。

こちらの動画をご覧ください。

こちらの方は、カシオのランニング分析デバイス「ランメトリックス」での「骨盤回転」スコアがなかなか改善しないという課題を抱えてらっしゃいました。

そこでこの方に、腕を下ろして走っていただいたんですね。

すると、それまでは15以下で推移していた骨盤回転スコアが一気に20オーバーまで上がりました。

そしてそこから肘を曲げていただき、できるだけ前後に振り幅を抑えながら走っていただくと、だいたい20前後でスコアが安定するようになりました。

このように、あえて腕を振らないようにして走ることで、胸郭の動きが抑えられ、骨盤の動きがより明確に感じられるようになります。

初めて試すと「バランスが取りにくい」と感じるかもしれませんが、この違和感こそが、普段のフォームでは使えていない骨盤回旋を引き出す第一歩です。

ただ多くのランナーは、一時的には骨盤回旋スコアが改善しても、またすぐに元に戻ってしまうんです。

なぜかというと…

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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員