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Vol.37 漠然とした「何か脚がバタついてしっくりこない」原因と対策
「胴体回旋&落下(Trunk Rotation & Fall:TRF)スキル」とは、胴体の回旋によるエネルギーと、胴体の落下によるエネルギーを掛け合わせることによって、一歩の推進力を改善するスキルです。
走ってて「今日は気持ちよくスピードに乗れるなー」という日もあれば、「何か今日は脚がバタついててしっくりこないなー」みたいな日もありますよね?
同じ「自分」が走ってるのに、何でこうも毎日走ってる感覚が違うのか?
「気持ち良くグングン前に進む」感じ、再現性、高めたくないですか?
もちろん体調は毎日変化しますから、いつもいつも「めっちゃ調子良いー!」ってわけにもいきません。
しかし、気持ち良く前に進む走り方の「仕組み」を理解し、そのためのドリルをルーティーンにすることで、再現性を高めることは可能です。
そこで今日は、どうすれば「脚がバタつかずにしっくりくる走りができるか?」つまり「「気持ち良くグングン前に進む走りの再現性を高めることができるか?」について考えていきます。
「しっくりこない」原因は、「P」で地面を踏めてないから
まず「しっくりこない原因」に関して。
「しっくり」というめちゃくちゃ漠然とした感覚のことなので、さまざまな要素が関連するわけですが、今回は僕個人的な体験や、僕が担当させていただいたクライアントさんのことをベースに考察を展開していきます。
マラソンや陸上競技などの「走る」という運動を考える場合、「前に進む」という動作の質を問われます。ほとんどの場合、横や後ろ方向には進みませんからね。
そこに直接的に関与するのは「矢状面」での動きの質、つまり「横から見た」動きです。
わかりやすくいうと「脚を前に出して、後ろに引けば、身体は前に進むよね」ということです。
例えば「ストライド」や「ケイデンス(ピッチ)などの議論は、この矢状面上での動きに関するものですし、「着地点」も同様です。
着地点を身体の真下に近づける。これは今日のテーマと大きく関連します。
これは僕の感覚ですが、着地点が身体の真下に近づくと、「走りがしっくりくる」という感覚を再現できます。
ただこれは「真下着地」を意識したわけではなく、「上後腸骨棘(PSIS、略して『P』)の操作の結果として「そうなる」なんです。
では、Pをどのように操作すると、結果的に真下着地になるのか?
前回お話しした「Pの出し引き」は、矢状面上の動きとも言えなくありませんが、どちらかというと「水平面上」の動きだったりします。
僕はフォームチェックする際に「後上方」からスロー動画を撮影しますが、これはPの水平面上の動きを確認するためです。
そして、最近改めて重要性を感じるのが「前額面上」での動きです。これは前後方向の面ですね。後ろ方向からの動画をよく撮影したりしますが、これが前額面です。
前額面上で何を見るかというと、Pの上昇と落下です。この動画で説明してます。
このように、前に出したPを後ろに引くタイミングと、上昇したPが落下するタイミングが合致することによって、「Pで地面を踏む」感触になります。
もちろん、Pが直に地面と接するわけではありません。「脚」という「道具」を伝って、得られる感触です。
矢状面、水平面、そして前額面という3次元での立体的な動きの質を高めることが、走ってて「しっくりくる」という感覚を再現するために必要。
と、こんなことを文字で説明すると、なんとも小難しくなってしまいますね。
そこでぜひやっていただきたいのが、このドリルです。
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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員