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よい対立 悪い対立 世界を二極化させないために

政治の話で連続して感じることを書いていきたいと思います。

  • アメリカ大統領選にハリスさんVSトランプさん

  • 兵庫知事選挙の斉藤さんVS他候補者

政治の話になるとなぜか喧嘩や戦さのような雰囲気になってしまうのが今まであまり好きではありませんでした。

東京都知事選では石丸さんのマスメディア対応が非難され、大炎上したのもそう遠くない記憶です。

石丸さんのテレビ中継の対応に関しては、確かに怖いと感じたものもありましたが、あれだけトゲトゲした反応を示してしまうのにも一理あるなと思っていました。

というのも、巨大権力であるマスメディアが投票日まではほとんど放送しなかったにも関わらず、2位となった途端石丸さんに対してインタビューをしました。さらに情報収集も十分でなく、直前に仕入れたであろう断片的な言葉尻を捉えて質問したり、突如現れた時の人のように描こうとするだけで、公約に掲げていた内容やどのようなことをしようと思っているのか傾聴する姿勢がない中で、あのようなきつい対応を返したのだと思います。

たしかに、石丸さんは意識的に切り取りやすくすることを狙っていると言われており、それが炎上につながって注目されることになる。そして、良い意味でも悪い意味でも政治が注目されることを期待して行った行動なのだとは思います。

理解はできるのですが、一方で個人的にはどこか追いつかない気持ちもあったのも事実です。

そんな中最近読んだこの本が、対立について深く考えられたので少し紹介します。

この中に登場する話が面白かったので少し紹介します。かなりかいつまんで書きますので、詳細を知りたい方は本をご確認ください。

ゲイリーは、世界的に有名な紛争調停の専門家として活躍していました。とある日仲の良い夫婦2人から離婚相談をきっかけに、どちらか一方のための肩を持つのではなく、双方にとって良い形に導く仕事をするようになっていきました。
その能力は世界的に有名で、引っ張りだこな状態でしたが、あるときから、地元の政治に関わるようになりました。その時は世界的にも有名な紛争調停の専門家だからと期待されていましたが、公平な政治を目指していくうちにいつのまにか対立構造に巻き込まれ、紛争調停どころか自分が紛争の火種になっていたのです。

「High Conflict よい対立悪い対立」から要約

この本を読んで改めて思いました。
紛争調停のスペシャリストですら、いつのまにか対立構造に巻き込まれてしまう。それくらい人間は、自分が孤立しないようにして仲間をつくり、その結果自然と対立構造が生まれてしまうのだと。

悪い対立に至るまで

ここで書かれていたのが、人が悪い対立構造に陥るまでいくつか段階があるそうです。

  1. 受け入れていたと思っていたのに、相手から拒絶されたと感じる

  2. すぐさま相手に迎合し、言われた通りにしようとする

  3. うまくいかないと、攻撃的になる

  4. 攻撃的な姿のせいで、社会的に排除される

  5. 自分を排除した相手を“悪者”と見なし、傷ついた自尊心を回復する

  6. 結果、対立構造が生まれる

これを見ると、1段階目の相手に受け入れてもらっていると信じる気持ち。期待していることがもともとの気持ちなのです。

実際に、私が産業医として関わらせていただいている方達の中でも、対立構造になってしまっていることが多々あります。その心の奥底には相手に受け入れてもらいたいという気持があることがほとんどで、組織の中の誰も自分のことを受け入れないと思うと、孤独になり組織と対立構造になってしまっている印象があります。

心の底では受け入れてほしいと願っているにも関わらず、行動1つ1つが裏目に出て、より対立の溝が深くなっているのです。

そんな状況を見ると、個人的にはすごく悲しい気持ちになってしまいます。

本来はその組織に貢献しようと一生懸命働いていたのに、対立構造が形成され、疎外感を抱き、 孤独を感じてしまう。

一人でもそういう思いをする人が減るようにと日々頑張ってはいますが、なかなかゼロにならないのが現状です。

とはいえ、少しヒントとなることがこの本に書かれていました。

対立構造に陥らないためのコツ

対立構造に巻き込まれないためのポイントがいくつかあります

  • 相手に恥をかかせるのはNG

  • 対立を煽る人には要注意

  • 仲間意識をもちすぎない

人はストレスを感じたときに、ストレスを感じます。そうなると扁桃体からストレスホルモンを出す指令がでて、興奮状態になります。そうなると、闘争 or 逃走という状態になります。

つまり冷静さを失って、攻撃するか逃げるかになってしまいます。逃げるのはまだいいかもしれませんが、攻撃すると1つ目の相手に恥をかかせてやりたいという衝動に駆られてしまうのです。

一瞬相手に復讐してすっきりした気持ちになるかもしれませんが、相手の悲しむ様子を見てどこか後味悪く感じることも多いのも人間なのです。

ですが、自分の傷ついた心を癒すために相手を傷つけるという行動しかできなくなってしまっています。

また、傷ついた心に共感してもらい慰めてもらうことがあると思います。そのときに相手を全否定する言葉だけで終わってしまうと対立の溝が深くなってしまいます。
さらにその人のことを味方だと思えば思うほど、その人の言葉に従おうと相手を悪く思ってしまうものなのです。

対立の外へ

仲間意識を持ちすぎない

これはとても大切な考えだと思います。だれかと仲間だと思うとその瞬間に敵が生まれます。そうならないために大切な考えが、部分肯定です。

その人のことを丸々信じて仲間だと思うのではなく、一部分だけが一致している。どこか違う部分があるかもしれないと思うことが重要です。

もともと人は多様なのです。誰一人として自分と全く同じ考えを持った人はいないのです。

自分と相手は違う人。別に仲間でも敵でもない。ただ同じ地球に共生している他人なんだと。一致する部分もあるし、一致しない部分もある。それに良い悪いもなく、ただそれだけ。

そう思うことが対立から外にでる大きな一歩なのだと思います。

対立より対話へ

そして、相手は自分とどこが違うのだろう?

とそういった対話のスタンスで相手と関わることが大切なのです。

対話とは相手との関係性を築くこと

出典不明

と書かれていた本を思い出しました。

その通りだなと。多様である人と人とが傷つけ合わないためには、適度な距離感を形成することが大切だと思います。

自分と相手の同じ部分を探すことよりも、むしろ、自分と相手はどこが違うのだろうと話をして、その違いを楽しむことができれば悪い対立は減るのではないかと思っています。

よい対立とは対話のこと

冒頭で政治の話を書きましたが、どこか人は(悪い)対立構造に気が取られてしまいます。自分がそこに巻き込まれるのは嫌だと思っている人が多いにも関わらず、他人の対立には興味本位でのぞきこんでしまうものです。

おそらく「よい対立」は人の気を引かないため、視聴率があがらず、そのような番組作りはされにくいのだと思いますが、できるだけ穏やかにいろんな考えがあるよね。いいとか悪いではなく、いろいろあるよね。

と、そういった穏やかにいろんな人の考えを聞いていく対話ができたらいいのになと願う毎日です。

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産業医|平井
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