「会社にしがみついていた」とある中年技術者の話
<おじさんDX Vol 72>
そう語るのは知人のH田さん。
(内容は、身バレを防ぐため一部フィクションです)
「自分に自信がない」
「中年ともなると」
私もこうした思いをしたことがあります。
H田さんは、某製作会社の開発主任技術者でした。
H田さんの想いは、「良い製品を世の中に出し社会貢献したい」
もちろんコストの制約はあります。
H田さんの部署が事業譲渡
新会社は、全く別の業界で「製造ノウハウ」がなく、事業継承することで業界参入を目的としたようです。
その方針は「良い商品」よりも「売れる商品」を作れ!
企業は、利益を目指して「なんぼ」の世界。
言っている事は、ある意味正論です。
だが新会社のコストダウン要求は、
それまでは、信頼性確保の為「機能重視」「信頼性重視」「耐久性重視」「万が一の故障の場合にアフターがしっかりしている」
だがそれにはコストがかかります。
新会社はこのコストを削減。
「見た目重視。使い勝手や機能は二の次」
「信頼性はある程度あれば構わない」
「下手に耐久性が高いと商品購入の回転率が落ちる」
「故障修理なんて無駄な事をせず製品交換」
「とにかく安く作るかが勝負」
会社組織に属する者として業務命令は絶対。
だから命令には従わなければいけない。
それまでの自分の中の誇りが崩れていき次第に転職したいという思いが出てきたそうです。
だがH田さんは躊躇するのです。
やがて上司やその上の上司と衝突します。
新会社から来た上司達は、開発に関して素人同然です。如何にして自分の実績を上げるしか考えていません。
H田さんは会議で、これ以上のコストダウンは、「製品不良率が高まる」とデーターで指摘します。
「試験でとても世の中に出せないレベルだった」とはH田さん。
お互いの話しは終始平行線。
「もう我慢できない」そう思ったH田さんは、これ以上信頼性がない「商品の開発を拒否」したのです。
それまでも難色を示されたりしたこともあったのでしょう。
H田さんの事を疎ましく思っていた上司達です。
上司やその上の上司は、これに激怒。
開発主任技術者の職を解かれてしまったのです。
H田さんの後任には、経験の少ない技術者が就任しました。後任は、上司の要求通りコストを下げるだけです。
そうして故障率の高い製品が製作されたのです。
「開発主任技術者の職」を解かれたH田さんは、閑職に追いやられました。
それでもH田さんは当時
会社にしがみついていたのです。
転機となる出来事が起こります。
「製品の大量不具合が発生」するのです。
納入先から大量の返品が来ます。
営業には、取引先からの問い合わせが殺到。
営業部門からも開発部門に苦情が来る状態です。
この事態を受けて上司達は、H田さんに「責任を追及」したのです。
本来は、不良率が高い可能性がありながら「製品化を進めた上司達に責任」があります。
基本設計や開発をしたのは、「H田さん」と聞かされていた親会社は、その事実を知らなかったそうです。
H田さんは、この時目が覚めた。
その日に、H田さんは「退職届」を出したそうです。
その後、開発部門は、縮小されたようです。
数年後、H田さんは、理想を求めて小さな製作会社を立ち上げます。
その会社で本当に出来ないのなら、外の世界へ出る事を躊躇せず行動してみよう!
それがH田さんの答えでした。
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