お客様、従業員、会社が喜ぶことの重要性
<おじさんDX Vol280>
とある大手企業での話になりますが、この企業はここ10年低迷をしています。役員によれば「ツケが回ってきた」と表現しています。
この企業の改革を行った「仮称Zさん」は、以下のように分析しています。
🍀従業員を大切にしない会社は、業績が落ちる。
🍀会社は、利益を出さないと存続できないのが現実。
🍀お客様と直接接点のある従業員が売上&利益を左右する。
✅だから、お客様、従業員、会社の三者が喜ぶことは、重要
三方よし、六方よしと言われている事ですが、現実にこの企業で起きた事も交えて記事にしてみました。
✅低迷のきっかけ
前任の社長が、正社員雇用中心から非正規雇用にシフトした事にあります。
繁忙期と閑散期の人手のバランスが悪く、人件費削減の為に非正規雇用を促進したのですが、人件費の削減こそ出来たものの、定着率が下がってしまったのです。
「頑張れば、1年で正社員になれるという事を匂わせて」実際は、3年経過しても正社員になれなかった...。という事が続出していきます。
正社員途用へのハードルを下げなかった事もあるのですが、一部から「約束が違う」と言う不満が出たのです。
元々離職率が、低くない状況ですから次第に人手不足になっていきます。
✅売上の低迷
そのような事を繰り返している内に「安定を求めた従業員」が、どんどん離職していくのです。
当時、求人募集すれば補充出来た頃でした。
補充が、容易に出来るということもあってか、離職に関してあまり問題視されていなかったのですが、その勢いも終わります。
すると従業員のレベル低下が顕著になったのです。
✅転職出来る正社員や非正規社員が、真っ先に会社を去っていく。
売上向上策を行えど「20%も売上がダウン」していたそうです。
✅利益の減少
売上の低迷により安売りを実施しました。
値引き販売と言うのは、計画的に行わないと実に恐ろしい影響を残します。
安売り戦略によってお客様は一時的に喜んだかも知れません。
瞬間的に売上額だけ回復傾向になりましたが、一番ダメージがあったのは、利益の減少。
それまで業界トップの売上&利益を誇っていたこの企業ですが...
✅ついに利益額で競合他社に負けてしまいます。
小売業で同じような商品やサービスを提供しながらも利益が低いのは、企業として敗北を意味します。
業界トップは、実質トップではなくなってしまったのです。
✅売上額よりも利益額を確保する方が困難。
✅迷走する企業
売上&利益ダウン、従業員の不満解消もあって今度は外国人労働者を採用したのですが、これはある意味正解でした。
✅「外国人労働者は、実によく働く」
✅「日本人が勤勉だったのは、過去の話」
そのように会社は喜んだそうですが、会社の思惑とは別に人員が安定しなかったのです。
聞けば外国人労働者の一部は、短期間でノウハウを持って帰国してしまうのだとか...。もしくは、より高収入、好待遇の企業に行ってしまう。
更に売上ダウン以前に開店した店舗というのは、固定費も高く収益を圧迫する存在になってしまい、時代と合わなくなっています。
役員によれば、
✅「10年以上迷走した『ツケ』が来ている💦」
✅「この状況を挽回するには、何年かかるか💦」
✅「会社そのものが変わらなければいけない時期が💦」
その言葉を聞いた私でさえ「呑気だよな...」と思った位ですから、Zさんは、もっと頭を悩ませたことでしょう。
✅どうしたら良いか❓
役員の説明で何となく理解出来たのですが、それでは「どうしましょう」と言う話になりました。
Zさんが言うように、お客様、従業員、会社の三者が喜べるような仕組みが必要なのですが、コスト面の課題もありますから、即実行とはならないようなのです。
✅お客様を喜ばせる
✅従業員を喜ばせる
✅会社を喜ばせる
どれも一方に偏ってしまうと、経営が厳しくなるのです😅
✅価格競争を見直す
価格競争から、線引きをして「同質の競争をしない」事にします。
その企業は、業界2位に約1.5倍の売上額こそありますが、売上利益(粗利額)が、7割程度と低いのです。
明らかに「安売りのし過ぎ」
そこまで値引き販売をしなくても、市場で売れている実績があるのです。
✅お客様は価格にシビアという思い込みがあって値上げ出来ない。
✅競合他店がその価格で売れている現実を認める。
✅低粗利で売上を伸ばしても単に忙しくなるという歪みが出ている。
この10年間で値引き販売をしても、以前の水準に戻る事はないという結論は出ています。
相場感は大切ですが「値引きをしないと売れない」「安くしないと売れない」という思い込みから脱却する必要があったのです。
それに売上は落ちても、業界2位の企業同様の「高粗利体質」があれば、今よりも経営が改善出来るのです。
✅企業が出来ること
✅同じ価格で販売しても利益が稼げる仕組み作り。
✅売上額重視から粗利額重視への改革。
✅高粗利商品の強化販売+低粗利部門の縮小。
✅従業員の負担軽減。
以前の記事でも触れたのですが、粗利額は非常に重要です。
🍀利益重視
売上目標よりも粗利額目標の方を意識するように徹底して教育する。
極端な話100万円販売しても粗利額が5万円では、意味がありません😅
現金以外の取引は、販売手数料がかかります。販管費を考慮すると実質赤字の可能性もあり得るのです💦
キャッシュレス決済が、普及している昨今では尚更です。
🍀中間マージンの削減策
仕入業者を介入しない直販システム等の導入による仕入値の削減や企業買収による子会社化などへの投資も必要です。
無理に中間業者にマージンを払うくらいなら、自社配下にして仕入れコストを削減する方法もあります。
サプライヤーへの価格交渉も必要でしょう。
ただし、あまりにもやり過ぎると中間業者の経営を圧迫しますので、取引量を増やすなどの対策が必要になります。
🍀在庫の削減
特にリアル店舗は、在庫金額が負担になります。利益の低い商品を陳列するなら、利益の稼げる商品を陳列/在庫した方が良いのです。
トータルの在庫金額は資産なのですが、商品にも鮮度があります。
不良在庫となると丸々マイナスにもなりかねないのですから、在庫金額はトータルで削減する必要があります。
🍀販管費の削減
紙媒体による広告の部数の削減や回数の削減を行い、Web広告等にシフトします。また人件費は、削減すると従業員が離れていきますので、制度上賃金ダウンを行う事は厳しいのですが、業界第2位の企業は、賃金が安いのです。
現状この企業は、業界2位の企業と比較して従業員1人当たりの売上額こそ高いですが、従業員1人当たりの利益額はほぼ同等なのです。
ネックは、他社比較して同レベルの従業員ながら、賃金の高さにあります。
🍀無理に離職を恐れない
離職が続いてしまうと、離職率を無理に防ごうと給与面等のアップをしようとしますが、現状で給与アップは困難です。
すでに業界水準以上でもありますし、競合と比較しても個人が稼ぎ出す利益額は、低いのですから、これ以上のベースアップは、危険度が増します。
仮に数万円程度アップしても、すぐに従業員は慣れてしまいます。
✅未来への投資
改革となると緊縮や削減ばかりになりがちですが、先々を考えて投資した方が良いです。未来へ向けて投資をすることは、未来の売上&利益を作るネタです。
例えば
✅自動化出来るところは、積極的に自動化する。
✅積極的な設備投資によって生産性を向上させる。
✅教育を重視し、教育システムを作り上げ人材を育成する。
経費削減ばかりでは、会社も従業員も先が萎んでいきます。
✅従業員を喜ばせる
この企業での課題は、離職が進んだこともありますが、前述のように離職はある程度は想定しておかないと、右往左往する事になります。
これ以上の人件費増は、厳しい...。
✅ベースアップが出来ない。
✅インセンティブ制度も出来ない。
金銭面でメリットを打ち出せないのに、どうやって従業員を喜ばせるのかを考えると、何も支給額を増やす事だけではありません。従業員にキャピタルゲインとかも有効と思います。
まずは従業員が働く上で「不便な事」や「無駄な事」をさせていないか検討するのです。
🍀「仕事量の削減する覚悟」
🍀「売上額を落とす覚悟」
🍀「雇用の安定を約束する覚悟」
が、必要になるのです。
業界2位の企業よりも1.5倍の売上を誇っても、実質身になっていないことから利益重視体質へ変革する事で、従業員の仕事量を削減する事が出来ます。
✅仕事量が減っても給与支給額は、変わらない。(実質増)
✅労働時間の削減に繋がり、休日を増やす事も可能。(実質増)
✅売上減でも利益額を伸ばせることは、業界2位企業が証明している。
✅雇用面で積極的に非正規社員の正社員化を行う。
✅無意味な転勤制度の見直しによる経費削減と従業員への負担削減。
✅権限移譲による、自分で判断できる体制づくり。
既存の社員からは「なんだか会社が変わった気がする」と好評の様子です。
✅従業員を喜ばせると、働き方が変わる
価格訴求は難しくなりましたが、無理に売上を追わない事で従業員の仕事量に余裕が出たのです。
そうすると各方面でその昔言われた「神対応に近いこと」が起こり、お客様も喜ぶことに繋がったのです。
✅「お客様に良い対応をしてもらうには、従業員に余裕がないとね」
✅「毎日、仕事に追われると、考える余地も無くなるからね」
と、Zさんは、計画済みだったようです😊
成果が出る事で更にやる気が出たのでしょうか。
この企業の売上は絶好調になり、利益は過去最高レベルになりそうな見込みとの事でした。
✅「従業員が喜ぶこと」で「お客様が喜び」売上や利益が上がる。
✅それが「会社が喜ぶこと」に繋がった。
会社は、出来る事を行う。
従業員も出来る事を行う。
🌈結果、お客様の支持を得られファンづくりに繋がった。
此処では、あえて三者と言っていますが「自分の利益の為に他者を犠牲」にするのは、商売以前に人としてどうなのでしょうか。
「関わる人全て密接なのですから、全員幸せになる方法が良いのです😁」