経営者だった元上司
<おじさんDX Vol 290>
当時一緒の会社で働いていて、色々教わったことがあります。その方は、人生の大先輩で以前に経営者だったのですが、大手企業の地方進出によって、経営していた会社を清算する事になったそうです。
✅弱肉強食の世界
大手が進出したと思ったら、より大手の大企業が進出
小さな企業が、まともに競争しても勝てる相手ではありませんが、その方は会社を清算した経験から、私によくこう語ってくれたのです。
✅同質の競争では、大手に勝てない。
✅だから、異質を認め恐れるな。
そのような人が、どうして会社を閉めざるを得なかったのか...。
経営は楽ではなかったそうですが、大手企業が進出して来ても、地元の利、人との繋がりを大切にして会社を維持していたそうです。
数年踏ん張っていたところ、転機となる事があったそうです。
✅人生で一番情けないと思った瞬間
✅自信が無くなった瞬間
年暮れの繁忙期も終了目前という事で、ささやかながら忘年会を行ったそうです。昨年から大手企業に数名が、転職していきましたが、中心となるメンバーは健在でしたので、大きな影響はなかったそうです。
同業他社ということもあって、転職していった従業員同士の交流があります。
聞けば、さすが大手という福利厚生や給与だそうで、残る従業員にも「こっちに来たら」なんて冗談半分で誘う元従業員も居たとの事でした。
✅自分の為もあるが、残った従業員の生活の為にも来年も頑張ろう!
と、心に誓っていた矢先...。
酒の席という事もあってか、1人の従業員からこう言われたそうです。
✅「大企業はさすがだ❗ウチは、ちっぽけな忘年会しか出来ない😁」
✅「周囲一同、大笑い」
発言者は、自虐ネタのつもりだったのかも知れません。
日頃から、大手に負けぬよう待遇を良くしたいと思いつつも、それが出来ない力の無さを感じていたその方は、大変申し訳なく感じたそうです。
周囲は「冗談ですから気にしないで下さい」とは言ってくれるものの、事実は事実。
✅経営者失格と気付いた
「大手に負けてたまるか」という自分の姿勢が、知らず知らず従業員に負担をかけていたと反省したそうです。
「従業員の為だなんて思っていた自分は、経営者失格」
「従業員の事を考えているようで、まるで分っていなかった」
残ってくれている従業員は「私に義理立てて会社に残っているだけだった」なんて自分は、独りよがりだったのだろう。会社がこのまま存続すれば、彼等だって大企業に転職するタイミングを逃すかもしれない。
あの会社に行けば、給与だって休みだって、賞与だって、今より良くなるのは目に見えているし、実際に転職した元従業員も幸せそうだ。
私の都合に従業員を巻き込む訳にはいかない...。
そうして、1人で会社をたたんだそうです。
振り返ればあの年に会社を清算して良かったと思う。
人生を賭けていたが、考えれば先細りは見えていた。自分に大企業と戦う戦略も知恵もなかった。ただ我武者羅に頑張るだけで、頑張らないと経営が出来ない状況だった。
タイミング的に従業員に退職金も支払えるし、従業員の就職先も同じ業種だから、伝手を使って世話が出来る。「潮時と感じたんだ」
✅仕事のスタイルは変わらず
何故かその方に気に入られていた私。
「お前さん(私のこと)は、頑固だよなぁ~」とニヤッと笑うのですが、私からその方をみれば「頑固という文字」が歩いているような人です。
一緒に働いた当時、その方は役員でしたが、社長と何度も衝突しているところを見ています。
厳しい人でしたが、その厳しさは、会社清算という大変な状況を従業員に「経験させたくない」という社員の事をよく考えた結果からでした。
✅厳しいけど、優しい。
残念なことにこの会社は、社長の無謀な投資が、経営圧迫になり実質倒産します。その方は、社長を止める事が出来なかった責任を全て背負って退職していきました。
会社の借り入れの保証人にもなっていた様子で、家も土地も車も、財産全て負債清算の為になくなってしまったのです。
社長はというと負債が自分の資産に影響がないよう、倒産が見えてくると家を息子名義にするなど資産を隠し、残る従業員への退職金も「金がない」という事で殆ど支給出来ない状況を作ったりと...姑息なコトをやっていたそうです。
数年後に偶然元社長に会いましたが、過去に世話になったとは言え、敬意を表する事は出来ませんでした。風の噂を聞く事はありますが、興味もありませんので、今はどこで何をしているのかも知りません。
反対にその方は、時々私の現在の職場に姿を見せては「元気か」と声を掛けてくれます。周囲からすれば「誰ですか?」なんて言われたりもしますが、私にとって大切な人であるのです。
もう一回「経営者をやらないのですか?」と私の問いに
✅「いやぁ~もう懲り懲りだよ😁」
✅人として間違った事はやっていないが、経営者としては失格。
「責任あるポジションは、大変」と言いつつ、シルバー人材センターの纏め役になっているとかで、人間関係はどこへ行っても何かしらあるそうです。
今も仕事へのスタイルは変わらないし、損な役ばかり回って来たのに、その方は「この歳まで生きて来られたから、これでいいと思うよ」と前向きなのです。
もし、再び会社を興すことがあれば、私は駆け付けようと思います。
🍀駄文を読んで頂き誠にありがとうございます。 ✅1.ガリガリ君の購入資金に充てます。 ✅2.ボンコツな愛車の維持費の足しにします。 ✅3.神社のお賽銭か盲導犬に募金します。