なかなか壮絶だった単身赴任時代　エピソード７

＜おじさんDX　Vol 11＞

軌道が順調になり、確実に手ごたえを感じていたとある日
スタッフの1人の表情が暗い...。

どうした？の問いにも
うつろな表情で返答もあいまい。

なんだか気になる。
ひょっとして仕事の事で困っているのかも？

数日間は、そっと様子を見ていたが、
仕事への集中力もなくなっている様子です。

終業後、それとなく話を聞くと...
悩みを打ち明けてくれました。

聞けば...

数週間前に電話か何かの勧誘で
宝石を買いませんか？
将来への投資にもなりますよ！

と、連絡が何度かあったそうです。

その連絡は数日続き、
押しに負けたのか、そのスタッフは
業者と会う約束をしたのです。

考えてみれば、別に宝石が欲しい訳でもない。
約束はしたものの、当日になって連絡もせず
ドタキャンしたとの事。

それからというもの
スタッフの携帯には、連日　業者から連絡が来る。

何故、約束を破ったのか？
おかげで予定が狂った！
約束を破られたことによって精神的苦痛を味わった
一体、どうしてくれるのか？

という内容に発展してしまったとの事。

どちらかと言うとあまり気が強くないそのスタッフ。
業者に詰め寄られる内に、家の住所と職場を
伝えてしまったとの事でした。

そのスタッフが言うように、悩みはプライベートな事なので
相談しても　職場に迷惑をかける事になる。

まずは、電話に出ない方がいい　とだけアドバイスしておきました。

しかし、打ち明けられた数日後から
職場に　そのスタッフ宛に電話が頻繁に来るようになったのです。

当初は、私も様子を見ていました。

けれど...

仕事に集中出来なくなっている様子を見て
どうも放っておけなくなってしまい

私がその電話に対応することにしました。

後日、電話に私が変わると...
そりゃもう、すごい怒号

お前は関係ない！
本人に代われ！
関係ない奴が、顔を突っ込んでくるな！
何ならお前の会社で面倒みるのか！
約束を破る奴をお前の会社は庇うのか！
ウチの若いもんが、お宅の会社へ行っても迷惑だろ！

ハッキリ言って脅しです。
法的にも道徳的にもウチのスタッフには非がありません。

私は、何度もスタッフとの接触を試みる事、
職場や本人の携帯に電話をしてくる事を辞めて頂くよう
相手に繰り返し伝えます。

それに、お客様として来社して頂くのは構いませんが、
迷惑になるような人が来社されるのはお断りします。

と、毅然と伝えたのです。

でも、そう簡単には引き下がらない。

そのスタッフも私が対応したとは言え、
動向が気になって仕事に集中できない。

知らない携帯番号は出ないように
家に不審な人が来ても対応しないように
もし会社に来たら、私が対応する。

と言う事で、そのスタッフは一応の安堵を得たようです。

その後も、2回程電話が職場に来ましたが、
最終的に

あんた、肝が据わっているな！

と、有難い評価を頂きました。

悩んでいたスタッフは、

たぶん、もう連絡も来ないと思うよ♪

と伝えたら、満面の笑みを浮かべていました。

私の内心は、もう心臓バクバクでしたよ！