インベーダーゲーム 1話
あらすじ
地球上空を奇妙な影が覆う。人々が空を見上げた瞬間、イナズマが世界中を包み込んだ。人々が目覚めた時地球は、宇宙人による支配下に置かれていた。地球を取り戻すためにはゲームに参加し、クリアしなければいけない。
ショッピングモールに遊びにきたアキト、リョウ、ミナ、モモノはこのインベーダーゲームに参加することになる。
勝てば防衛、負ければ侵略 地球を守れ、戦え
宇宙人VS人類 ゲームスタート
キャラクター紹介
アキト 主人公。友達四人でショッピングモールに映画を観にきた。
リョウ アキトの友達。ミナの告白を手伝うためアキトを映画に誘った。 ミナ アキトが好きで今日、告白する。
モモノ ミナの告白を手伝うためについてきた。
マキ 買い物に来ていた主婦。ゲームに巻き込まれる息子とはぐれた
アキラ マキの息子、赤ちゃん。
フミオ 性格に問題のあるおじさん。
第一話
○月✖️日 13:00
地球全体を奇妙な影が覆った。薄暗い空を見上げた人々を、一瞬にしてイナズマが包み込む
◯ショッピングモールの中
ミナ「面白かったね〜『征服!! ブラブラ星人』」
モモノ「SFとか興味なかったんだけど面白かった〜パンフ買ったし」
パンフレットをヒラヒラさせながら喋る。
アキト「よかった、僕の好みで選んだから、みんな退屈だったらと思って」
リョウ「でも話しムズいぞアレ。ブラブラ星人をぶっとばすところはスカッ
としたけどな」
リョウが口を開く。
モモノ「ちょっと、あたし達トイレ行ってくるから待ってて」
モモノがミナの手を引いていく
リョウ「おーう待ってる」
4人は、同じクラスの友達で今日は映画を観に来ていた。
リョウ「でもありえねぇー、宇宙人が地球を侵略すんだぜ? 」
アキト「あり得る! 絶対いるんだ宇宙人」
リョウ「だってできるならとっくに征服しに来てんだろ、アキトは映画の見
過ぎなんだよ」
アキト「じゃあ、リョウは征服されたらどうすんだよ、宇宙人に、たとえば
ブラブラ星人にさ」
リョウ「俺は戦うね。地球は俺たちのもんだろ、抵抗すんだよ全力で」
アキト「ムリムリ、リョウなんて一捻りで消し炭だから。テクノロジーが違
うんだ。」
リョウ「あ!? こっちも光線とかなんか出すんだよスペシウムナンタラと
か」
天井の電光をみるアキト。
リョウ「なんだよなんかいたか? 宇宙人とか」
笑いながら喋るリョウ。
アキト「なんか明るい? 外」
ショッピングモールの電光がチカチカし出す。外からの光が強くなる。
リョウ「なんか、光強くね? 」
アキト「眩しい」
二人は手で目を覆うが、外からのまばゆい稲光に包まれ、意識が飛んだ。
◯1階トイレ
モモノ「ミナ、まだー?」
ミナを呼ぶ。ミナは鏡の前で前髪を直している。
ミナ「どう変? ウネってない? 前髪」
モモノ「大丈夫だよ可愛いから」
ミナ「緊張する、上手くいかなかったらどうしよ、振られちゃったら」
ミナはアキトのことが好きだった。今回4人で映画を観に来たのも、ミナがアキトに告白するために、モモノとリョウによって用意された機会だった。
ミナ「よし、ふぅー行こう」
二人がトイレから外へ歩き出したとき
モモノ「あれ? 外なんか眩しい」
二人を、そして周囲の人々を光が包み込み、皆倒れてしまった。
◯ショッピンモール1階北フロア
リョウ「おいアキト起きろ」
アキト「あれ、僕、寝てた?」
リョウ「さっき俺たち1階の映画館にいたよな? ここ反対のフロアだ」
2人は1階南の映画館にいたが、目覚めた場所は北側フロアだった。
アキト「2人は? ミナとモモノは? 」
リョウ「俺たち2人しかいない。どこにもだれもいねえんだ」
その時、空間がゆらめくと単眼のみが宙に浮く生物のホログラムが現れた。
『私は司会のビロー。よろしく。
諸君には我々とゲームを行ってもらう。拒否権はない。地球はすでにこちらの支配下だ。君たちの勝利で我々は撤退、敗北で侵略。
今回はテストプレイを行う。選出したのは尾山市ショッピングモール。
モールにいた人々から無作為に選んだ人々でゲームを実施する。ルールはモールの人々にのみこの後発表。
ゲームは全世界で実施する。
クリアタイム、ミッションコンプリート率などのスコアによって侵略する国を順々に決める。スコアの低い国からこちらの植民地にする。異論は認めない。
我々の行いが非人道的で到底倫理観の無いものだと諸君らが非難する権利は無い。諸君らはもっと酷い、まるでパイを切り分けるような侵略をしてきたと周知している。
では5人のゲームマスターの紹介をする
1人目 メラー星人
地球人に興味なし。地球の植生、生物を研究したい。こちらの勝利で地球人を皆殺しにする権利をいただきます。
2人目 ミタコン星人
ハァ〜イ!! 地球の皆さん、私たちの星には 種を植える器が不足しているの〜!
共命が必要なのね~!こちら側が勝てば、生熟した人間を器として扱う権利をいただくわ。
器っていうのは地球語でいうと、ニンシンってヤツよ♡男もニンシンできるから安心してね~
3人目 ドルガン星人
我々が作った巨大生物たちの居住区にしたい。人間もエサとして飼う。
4人目 ワルゥ族
食糧難のため労働力として
5人目ギュラ人
探し物がある』
ホログラムをみているリョウとアキト。
リョウ「なんだよコレ」
アキト「宇宙人? あれが…」
『5人によるゲームは、実施時に紹介する。
今回はテストプレイなので分配は行わない、敗北時、ポイントの損得があるのみ。
テストプレイの説明。
尾張市のショピングモールは現在7人を残し、封鎖している。ゲームクリア条件の達成、ミッションクリア、ゴールを発見、脱出すれば君たちの勝ちだ。
クリア条件、ミッションは時間が経ってから発表する。
リョウ「待てよ、わけわかんねぇ……!!」
リョウが叫び、ホログラムに殴りかかろうとする。
アキト「リョウ、ホログラムだ、ここにはいないんだよ」
ホログラムを殴るリョウを止めるアキト
アキト「あれ、よく見ろよホログラムの先、あいつの後ろにいるの」
単眼の生物が浮かぶ後ろには何人かの人々が並んで立っていた。大きな布の前に整列している
リョウ「あれ、日本の国旗じゃねぇか」
アキト「国旗の前に立ってんの、後藤総理だよ」
単眼の生物の後ろにいるのは各国の総理大臣や大統領、いずれも国の長である人々だった。みな虚ろな顔をしてこちらを見ている。
ホログラムが消える。空間は元に戻った。
リョウ「これ、なんかのドッキリじゃねぇの?、マジなのか……?」
アキト「わからない……まずは2人と合流しよう。心配だし」
リョウ「マップあったろ見せてくれ」
アキト「はい」
アキトとリョウがマップを広げた瞬間
キャァァァァア!!!!
近くで誰かの悲鳴が上がる。
「人だ! 人がいるぞ! 」
声の方へ走り出すリョウ
◯1階 雑貨屋前
ショートカットの女性の裸足を、ヒゲ面の男性が掴んでいる。
男性「なんだよ、乳くらい触らせろよ」
女性「やめて離して! やめて! 」
リョウが男性に飛びかかる。
「なにやってんだ! 」
リョウが女性から男性を引き剥がし、馬乗りになって押さえつける。
アキト「もう大丈夫ですよ、落ち着いて深呼吸して」
女性「あ、あ……あの人が掴んできて……」
男性「チッ、乳くらい触らせりゃいいんだ、イダダダ、おいあんま押さえんな苦しいんだよ」
馬乗りになって男を押さえつけているリョウ。
女性を落ち着かせ、話を聞くアキト
アキト「僕ら高校生で、アキトです、あっちはリョウ、女の子2人とはぐれてしまって、お姉さんも光に包まれて、気がついたらここにいましたか? 」
女性「そう、そうです、私、私……」
アキト「僕らもそうです。それでさっきのホログラムを見て、ここへ来ました。」
女「私、マキです。西真紀って言います。私も息子と一緒に買い物に来てて、目が覚めたらあの子いなくて」
泣き始めるマキ。
マキ「あの子が乗ったベビーカーごとなくて、もうどうしたら」
リョウ「大丈夫ですよ、 俺らも探しますから! 一緒に行きましょ」
男「オイ、こいつどけてくれ、苦しい、苦しいんだよ」
リョウ「やだね、お前またやんだろ」
マキ「もう大丈夫ですから、離してあげて」
馬乗りをやめ、男と共に立ち上がり、後ろにした男の手を掴んでいるリョウ
「2人、女と来てんだってー? もう乳触った? 乳デケェ? 」
アキトに詰め寄る男性
アキト「あなたはなんですか? 買い物かなんかですか」
男性「俺ァ、仕事ねぇからいっつもここフラフラしてんだよ」
男の腕をまたつかむリョウ。
男性「おい、触んな」
リョウ「あんまヘラヘラすんなよ、緊急事態なんだよ」
男性「ハハハ、お前ら本気になってんの、あんなのなんて嘘に決まってるんだよ、笑われてんだよバーカ」
ピンポンパンポーン、モール内放送の音が鳴る。
アキト「なんだ!!」
リョウ「なんの音だ」
空間が歪み、ホログラムも出てきた。映し出されたのは先程の単眼宇宙人だった。
『プレイヤーの諸君、これからゲームのルールとクリア条件、ミッションを発表する』
ルール
モール内のゴールを見つけ、脱出する。インベーダーに捕まれば脱落
クリア条件
オヤキフミオ、ニシアキラ生存でゴール。
ミッション
2階の モモノ、ミナは アキラを見つけ出し、マキと合流
1階のアキト、リョウ、マキ、フミオは100円ショップ前でアキラと合流
インベーダーの正体を暴く
ミッションクリアでポイント付与。
ミッション失敗でペナルティ。ミッションはクリアせずとも脱出が可能。
このゲームは世界各国で行う。ポイントの低い国から侵略を開始する
マキ「ニシアキラってウチの息子です」
アキト「オヤキフミオは? まさか」
皆が振り返り、男性の方を見る
男性「フミオは俺だ!!! 俺のこと生きて帰さなくちゃいけねぇんだどうしてもらおうかな」
リョウ「なんでこんなクソ野郎を守んなきゃいけねぇんだ」
ホログラムに怒鳴るリョウ。返答はない
『次にインベーダー、諸君らの敵を紹介する。1階の4人は奥のペットショップに移動しろ』
4人は奥のペットショップへ歩き出す。道中のホログラムに3体のインベーダーが投映される。1匹は目が空洞で耳の当たりがくぼんでいる
2匹目は目が異様なほど開いており、両耳の端から端にかけて棒のようなものが横に刺さっている。手は先端がナイフのようであった。
『インベーダーたちはマップにランダムで配置した。
このインベーダーたちもゲームに参加している。彼らにはもう後がない
くれぐれも捕まらないように。それではゲームスタート』
◯ペットショップ前
ホログラムは消え、ペットショップの前に立ち尽くす4人。犬たちの鳴き声が聞こえる
リョウ「 始まっちまったのか? インベーダーってのはどれだ? 」
アキラ「シッ、何かいる」
ペットショップのショーケースには普段通り犬たちがおり、キャンキャンと泣き喚いていた。
マキ「ワンちゃんはいるのね、あっ、あれ? 」
奥のショーケースだけフタが開いており、犬がいない。代わりに飛沫のような血がそこらじゅうに飛び散り、ポメラニアンを抱き、頭蓋骨に細い管を突き刺し、脳みそをチュルチュルと吸っているインベーダーの姿があった。
耳の当たりがくぼんでおり、空洞になっている目の部分から管を伸ばしている。
マキ「ヒィッ」
リョウ「なんだアレ」
冷や汗をかくリョウ
アキト「逃げろ、みんな走れ」
真っ先に逃げだしたフミオ。走りながらアキトが言う
アキラ「2階の100円ショップに行こうモモノ、ミナ、アキラ君と合流するん
だ」
頷くマキとリョウ。
フミオ「お前らバカじゃねぇのか? こんなゲームにマジになって、
俺はいかねぇぞ、俺だけなら逃げ切れる」
フミオは反対の方向に走っていった
アキト「リョウ、あいつについていてくれ 僕たちは2人で行く」
リョウ「嫌だ、あんなやつほっときゃいいだろ」
マキ「クリア条件、確かあの人を生かしてゴールすることでした」
アキトが頷く。
アキト「はい、あの人とアキラくんの生存が必要なんです。僕がフミオさん
についてもいいんですが、万が一の時、僕じゃ力負けする」
リョウ「はいはい、しょうがねぇなー、俺が行きますよなんかあったら連絡
しろ」
フミオを追いかけるリョウ。
アキト「じゃあ、僕らもあいつに見つかる前に行きましょう、アキラくんが
もういるかも知れない」
マキ「うん、行きましょう」
◯2階フードコート前
ミナとモモノはフードコートの長椅子に隠れて様子を見ていた。
モモノ「あいつずっとあそこにいるわ」
ミナ「ずっとこのままじゃまずいよね」
小さな声で話す二人。視線の先には、フードコートの真ん中に置かれたベビーカーの中で眠る赤子とそれを守るインベーダーの姿があった。
インベーダーは、手の先のナイフで柱を切り、刃を研いでいる。
モモノ「あんなキモイのに捕まったら切り刻んでボロボロにされちゃう、
どうしよ、なんかいい考えー思いつけー」
ミナ「ねぇモモ、あれ使えないかなミナは前方を指さした。」
モモノ「いいね。あんたあれ使ったことある? 」
首を振るミナ。
モモノ「超怖いけど私がやるよ。あんたベビーカー取ってきてね」
インベーダーの前に飛び出し、ひきつけるモモノ
モモノ「ほらこっちよ!! こっち来なさい」
インベーダーはモモノに接近する。モモノはフードコートに置いてあった消化器の噴煙をインベーダーに向ける。
ブシュウウウウウウ!! インベーダーは動きを止めた。
隙をついてベビーカーを取りに行くミナ。
ベビーカーにはすやすやと眠る赤子がいた。ベビーカーと走り出すミナ。
ミナ「取ったよ! モモ逃げよ! 」
モモノ「よし! 」
インベーダーから逃げるミナとモモノ
ミナ「ねぇこれからどこに逃げるの、すぐに追いつかれちゃうよ」
モモノ「100円ショップがどうたらって言ってた! 行ってみよ
アキトとリョウもいるかも」
後ろからインベーダーが追いかけてくる。ベビーカー重い、モモ、赤ちゃん抱いて
モモノベビーカーから赤子を抱き上げ走る。ミナ、ベビーカーをインベーダーにぶん投げる。
大胆すぎ!
ハァハァ、だって、追いつかれちゃう
もうちょっとだ、あれ!アキト!
先の100円ショップではアキトとマキが到着していた。
◯2階 100円ショップ前
アキラとマキは100円ショップに到着していた。
アキト「誰もいない」
マキ「フードコートってあっちよね私、見にいってきます」
一人で歩き出すマキ。
アキト「待ってください、一人じゃ危険です。」
マキ「あれ? あの二人って」
マキが指を指す。
モモノとミナがこちらに向かって走ってきている。モモノの腕には赤子が抱かれている。
アキラ「二人だ! 友達です! アキラくんもいますね」
マキ「でもインベーダーがついてきてる!! 」
あのインベーダーをどうにかしなきゃ、でもどうやって? 考えを巡らせるアキラ。
フードコート側と100円ショップ側を分けるシャッターがあることに気づく。
アキラ「これだ!!」
ミナとモモノが近づいてきた
モモノよりも足の遅いミナは、モモノのよりも後方にいた
モモノ「ミナ! 早く、ミナ! 」
アキラ「こっちだ!」
アキラは、シャッターを半分まで下げ、二人の到着を待っていた。二人が100円ショップ側に入った瞬間、シャッターを下げ、インベーダーをフードコート側へ閉じ込めようとしていた。
息を切らして走る2人。
モモノがシャッターの内側へ入る。
モモノ「ハァ、ハァ、ミナ、ミナは? 」
ミナがシャッターの寸前まできたその時、
ミナ「あっ」
ミナはつまづいてその場に倒れ込んでしまった。真後ろにインベーダーが迫っている。
マキ「ああっっ、捕まっちゃう」
アキトが手を伸ばし、ミナを引き入れようとする。
アキト「ミナ、捕まって! 早く」
伸ばされたアキトの手を伸ばそうとした瞬間、ミナの左足はインベーダーに掴まれてしまった、引きずられるミナ。
ミナ「閉めて!アキトくん 、私のことはいいから 」
宙吊りにされているミナ
モモノ「ミナ!ミナァァァ!!やめてアキト、閉めないで」
ミナ「閉めて、早く、」見ないで、あ……やだ、やだ……」
ミナは、左足と右足をそれぞれインベーダーの刃で刺された。
アキトはすぐにシャッターを閉めようとしたが間に合わなかった。
ミナが左右に引っ張られ、真っ二つに引き裂かれてしまった。血しぶきが上がる。
モモノ「あああああああああああ」
マキ「ヒ、ヒドイッ」
シャッターが閉まる音とモモノの悲鳴、悲鳴に驚いた赤子の鳴き声がフロアに響き渡る。
インベーダーはシャッターを壊そうと切り付けていたが諦めてどこかへ行った。
モモノ「そんな……ミナァ、ミナァ……」
モモノは赤子をマキに渡し、顔を覆って泣きじゃくった。