侵略者

塵のひとつもなかった闇の世界に閃光が走るように
あの侵略者たちは突如として現れた

そこらじゅうの木を切り倒しては家屋を立てて
無惨にも変わり果てた手足やつま先を拾い上げては薪をくべて暖をとりはじめる

赤子の熟す期をねらっては縄籠につめる
生死が混じり合うユウトピアで旅支度に備えて眠る暇も与えない

空の天使が舞い積もる頃に挨拶に訪ねたけれどすっかり空き家になったあの家族
跡形もなくからがらになって物干し棹にかかっている

あらゆる屍の頂点にたつ侵略者
寝る間も休む間もなく在るものとないものに生かされつづけているのに
私たちはときどき我儘だ

互いに欺き欺かれて平伏させて従属の身になり
在るがままと我儘を履き違えているのに気がつかず
私たちの心は悲鳴を上げる

…あの家族が住んでた処にたつ林檎の木
すっかり紅に熟れた果実をかじってみる

ああはじめに生まれしものたちよ、
これが人が生きる宿命ですか






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