とうとう便所メシラーは駆逐されたらしい

2013年の調査では、約12%の人が「トイレで食事をしたことがある」と回答した。この数字は、思春期の孤独や、昼休みに居場所がないと感じる学生、あるいは人目を避けたい社会人のリアルを映し出していた。そして2015年には、その割合は約5.5%にまで減少。この時点で、便所メシラーはじわじわと減っていた。

では、2024年現在はどうか?

どうやら、もはや便所メシラーは駆逐されたらしい。

少なくとも、それを裏付ける最新の調査結果は見当たらない。トイレで食事をする人がいなくなったのか、それとも話題にすらならないほど少数派になったのか。あるいは、そもそも「一人でご飯を食べること」が、もうそこまで特別なことではなくなったのかもしれない。

思い返せば、かつて「便所メシ」は、SNSやネット掲示板でたびたび話題になった。ぼっち飯を嘲笑する文化があり、それを避けるために人知れずトイレで食べる者がいた。しかし、時代は変わった。個食が当たり前になり、カフェやフードコートでは一人で食事する人が溢れ、「おひとりさま」の需要も拡大した。いちいち「誰と食べるか」を気にする必要がなくなった今、わざわざトイレにこもる理由も薄れたのだろう。

それに、スマホの普及も大きい。食事中の会話の代わりに、スマホがあれば十分。孤独感を紛らわすためにトイレへ逃げる必要がなくなった。むしろ、トイレで食べるより、スマホ片手に堂々と一人飯を楽しむほうが合理的で、快適だ。

便所メシラーたちは、ついに時代の流れに飲み込まれた。孤独を隠さなくてもよくなったこの社会では、トイレという最後の避難所も、もはや必要なくなったのだろう。

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