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孤独な研鑽

 私が通っていた高校は、250人程度の卒業生に対し、東京一工進学者が多い年でも10人、少ない年では0人というレベル感でした。
理系だと、大多数が理科大かMARCHに進学するため、東工大進学者はかなりレアだったと思います。

 そんな環境の中、東工大を目指した私は正直に言って学校の中で浮いていました。休み時間みんながワイワイおしゃべりしている中、私はどの輪にも入ることなく、1人で黙々と問題集を解いているような生徒でした。
朝登校してから下校するまで誰とも会話せずに1日を終えることも稀ではありませんでした。

 そうなるように狙ったわけではありません。でも、当時の環境から上を目指そうとすると、思考・行動全てが周りと変わってきてしまい、気がついたら輪から外れていました。周りからは「何意識高ぶってんの、あいつ」と思われていたかもしれません。

 それでも、私はどうしても東工大に入りたくて、来る日も来る日も1人で黙々と勉強する生活を続けました。
大学に入ってみると、「友達とワイワイおしゃべりしながら受験勉強した」とか、「夜はLINE電話繋いで励まし合いながら頑張った」とか周りとの和を乱すことなく、受験勉強していた人が多くて、1人で頑張り続けてやっと合格できた自分が恥ずかしくなりました。

 でも、受験勉強の経験を生かしたアルバイトを始めたときに、孤独な研鑽の時間は無駄ではなかったことに気づきました。
塾にも通わず1人で黙々勉強していたから、つまづいたこと、遠回りしたことがたくさんありました。でも、だからこそ、受験生のほとんどの悩みやつまづきは自分も経験済みだし、寄り添って一緒に考えることができます。
また、私は試行錯誤の末に得た、たくさんの独自の理論や勉強法を持っています。それを受験生に伝えたとき、「これまでどんなに頑張っても無理だったけど、先生に言われたやり方でやったら、見違えるようにできるようになりました。」とか「どの先生・予備校よりも的確なアドバイスをありがとうございます!」とか嬉しい感想を言ってもらえることも増えました。あの孤独な時間が何十倍にも膨らんで誰かに届いている現状を当時の自分が知ったら、どんなに喜ぶだろうかと思います。

 この記事を読んでいる人の中でも、高い目標を目指した結果、集団からはみ出てしまったり、やりづらさを感じたりしている人もいるかもしれません。
でも、それはあなたが頑張っているからであって、決してあなたが変な人だからとか、集団に適応できない人だからということではないと思います。
もし、同じ集団に自分と同じ境遇の人がいなくても、もう少し広い範囲を見渡せば、孤独に研鑽を積んでいる人はたくさんいます。
ぜひ、そうした人たちの存在も感じながら、自分の目指す目標に突き進んで頂けたらと思います。

 私も今、再び集団からはみ出て孤独な研鑽の境地に戻ろうとしています。みんなと一緒の生活も悪くはなかったですが、やはり違和感や自分がやりたいことを犠牲にしている感が強く、自分の意思に従った結果、戻ってきてしまいました。周りとの調和を大切にしながら自分のやりたいことをやれるに越したことはないですが、不器用な生き方しかできない以上、また1人で黙々と頑張る生活を続けようと思う所存です。

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