ZERo@名も無きトラックドライバー

日記らしきものから小説、音楽、トラックドライバーの仕事のことまで色々書こうと思います

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最近の記事

影女

この話には、貞子のような怖い幽霊やインパクトのある怪異などは出てこない。 ものすごく怖い話かと聞かれたら、そうでもないかもしれないし、なんならオチすらもない。 ただただ、ひたすら不可解なだけの話。 これは今から、20年ほど前。 当時、俺は二十歳かそこら、プロのミュージシャンになりたくて、アルバイトと音楽活動で日々を過ごす生活をしていた。 そんな中、とあるプロアレンジャーの方が目にとめてくれ、その方に師事することになった。 勿論、毎月月謝は払う。 先生のLIVEの手伝いを頼ま

    • フェリーの怪〜トラックドライバー夜噺〜

      海原が闇黒に染まる、月すら見えない深夜。 その音は、突然、静まり返ったフェリーのトイレ奥から聞こえてきた。 どんっ…どんっ…どんっ…どんっ… フェリーの揺れに合わせるように、一定の間隔で刻まれるその音。 ある程度の重量があるものが、壁に当たっているかのような音。 その音が聞こえてきた瞬間、洗面台で手を洗っていた俺の背筋には、氷柱(つらら)でも突っ込まれたような、氷点下程も冷たい悪寒が走り抜けた。 恐る恐る目を上げ、トイレの奥を見ると、そこには、ドアが閉まったままの用具入れ

      • 見聞実話怪談7『黒い僧侶』

        その日、裕美(ひろみ 仮名)は、眠ったばかりの娘を和室のベビー布団に寝かせ、友人の洋子(ようこ 仮名)と夕飯を摂ることにした。 生後5ヶ月になり、寝返りも打てるようになった我が子は可愛いが、乳飲み子は本当に手間がかかる。 実の母親とは疎遠であり、夫の両親は共働きで、なかなか育児の手伝いを頼めない裕美にとって、遊びがてらとはいえ、折を見て家事を手伝ってくれる洋子の存在は、とても心強かった。 裕美の夫は夜勤の仕事に就いており、帰宅するのは朝方だ。 洋子が遊びにきているときは

        • Love Letter

          『魂の結び目』 世の中には、不思議な縁がある。 彼女に出会ったのも、その不思議な縁が発端だった。 彼女の名前は、仮に、サヤカ。 僕がサヤカと出会ったのは、某有名ブログサイト。 出会った時、彼女の癌は既にステージ4。 僕が初めて彼女のブログを見た時、そこには、彼女自身の怒りの言葉で埋めつくされていた。 『私の病気を知ると、すぐに可哀想って言う人がいるけど、私は全然可哀想じゃない!むしろ幸せ! だから同情しないで!』 その言葉を目にして、僕は、彼女を〈強い人だな…〉と思っ

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        • 実話怪談
          8本
        • トラックドライバー怪談
          13本
        • LoveLetter
          2本
        • 少年トムの怪奇事件簿
          6本
        • 長距離トラックドライバーの日常
          25本
        • カオスマッチング
          7本

        記事

          見聞実話怪談6『あの日』

          「戦争は嫌だ…戦争は良くない… 戦争はほんとに嫌だよ… もう二度と戦争なんて…」 太平洋戦争開戦時、アサ(仮)は女学生だった。 アサの家は小さいながらも鉄工所を営んでいたため、少しだけ周りより裕福な家庭であった。 しかし、戦争は、アサからも、そして、アサの家族からも沢山の物を奪った。 戦争が激化するにつれ、アサの家から…いや、日本中から物がなくなった。 やがて、国から召集令状が届き、健康な若者であったアサの3人の兄も、戦地におもむくことになった。 長男、一郎(仮)

          少年トムの怪奇事件簿3『山の中の墓六つ』

          何十年もずっと忘れてた… 何故、突然思い出したのかは謎だ… ガキの頃の遊び場は、母方の実家周辺にある山だった。 沢が流れ、虫の声と鳥の声と、風に木々が揺れる音しかしない、山深い集落。 それは俺が小学校3〜4年ぐらいの頃、確か季節は春先だったような気がする。 今は亡き祖母は、休日で祖母宅を訪問していた俺に向かって  「西の山にはあんまり入らないようにしな、あそこにはお墓があるからね」 急にそう言った。 春の彼岸のシーズンだったからかもしれない。 たが、当時の俺は子供で、なん

          少年トムの怪奇事件簿3『山の中の墓六つ』

          見聞実話怪談5『中古車』

          某大手の中古車センターに務める萩谷(仮名)は、当時、まだ入社したての新人だった。 それは、やっと仕事にも慣れた頃の話だった。 萩谷が、休日明けに出勤すると、先輩である片瀬に、新入荷した車の洗車を頼まれた。 『萩谷、悪いんだけど、展示場の端にある黒いヴォ○シー、洗車しといてくれないかな? 昨日、中は総出で掃除して消臭もしたんだけど、外身に手が回らなかったんだ、今から、お客様とのアポがあって、俺、洗車に回れなくて 夕方には、同業者が引き取りにくるから、よろしく頼むよ』 『あ

          見聞実話怪談4『鴉の声』

          会社経営者の妻である恵子は、その日、愛犬のシーズー『みかん』を連れて散歩に出た。 季節は、ちょうど6月末。 梅雨の終わりかけで、散歩に出る前は晴れてまだ明るかった空が、散歩に出て10分程経った頃、急に鉛色(なまりいろ)に変り始めた。 冷たい風が吹きすさび、夏の夕方とは思えない程、周辺は急速に冷え込んでいった。 辺りはみるみる暗くなる。 いつもの散歩コースは、田園地帯から河川敷へ降り、そこから家の周りをぐるっと一周するルート。 だが、急速に積乱雲が近づいてくるのがわかる

          見聞実話怪談3『山のモノノケ』

          僕がお世話になっている、吉田さん(仮名)という男性がいる。 年齢は70歳を越えて、気の優しいおじいちゃんといった風貌だ。 若い頃の吉田さんは山男で、日本中の名だたる山に登っていた。 そんな吉田さんは、当時、山仲間と一緒にアルプスのアイガー北壁に挑む計画を立て資金を貯めていたという。 憧れのアイガー北壁登頂を、1年後に控えたある晩秋。 吉田さんはふと思い立って、関東と北陸にまたがる、とある有名な山に登ることにした。 冬山登山をするわけではないが、山頂はそろそろ雪が降ると

          見聞実話怪談3『山のモノノケ』

          見聞実話怪談2『弁財天の華』

          これは、祖母の13回忌の折、遠縁のおばさんが酒酔いついでに話してくれた話。 その昔、親戚筋にとある姉妹がいた。 姉が桃江(ももえ 仮名)、妹が桜(仮名)といった。 彼女らが若い時分は、まだ戦時中。 つまりこの話は、戦後まもなくの話になる。 姉の桃江は、美男子と言われた父親に似て、とても綺麗な女性だったという。 妹の桜は、姉ほど美人ではないが、活発で気が強く、とても明るい女性で、とても仲の良い姉妹であったそうだ。 だが、おばさん曰く『戦争が二人の仲を増悪に変えた』のだそう

          見聞実話怪談2『弁財天の華』

          『恐怖』という価値観

          今更だけど、人間には個性がありその価値観は十人十色。 もちろん、感性も十人十色。 人の数だけ価値観があり感性がある。 したがって、『恐怖』の価値観も人それぞれだ。 ゾンビやスプラッター等、、どちらかと言ったら、色覚を派手に刺激するハリウッド系の恐怖が好きな人もいれば、伽椰子や貞子に代表されるような、呪いを元に構成され、背後からじわじわくるような恐怖が好きな人間もいる。 恐怖という感覚も個人で違うので、一概に、あっちがいいとかこっちがいいとか言えないのも、またしかり。 ただ

          ラグビーと国家試験

          上の倅が、一人暮らしで埼玉県に住み始めて早半年 下の倅も就職が決まり、連中が成長するまでに色々あったな…とか思いつつ 近所のコンビニに買い物に行ったら、下の倅のバイト仲間に『あ!◯◯のパパですよね!?』と聞かれ『パパでーすw』と答える羽目になり なんかこう…色々思うことが交錯する今日此の頃 そりゃ俺もアラフォー越えるよな そろそろ、おっさんであること自覚しないとな…とかなんとか思いつつ 関西某所で密林の荷物待ち14時間、トラックに缶詰になって途方にくれる午後… そんな中、

          移り変わる

          トラックの中でよくYouTube の動画を見てる。 見てるって言うと語弊があるけど、画面を直視してるっていう意味じゃなくて、ラジオのようにつけたまま聞いてるって感じが正しい。 そんな中で、tiktokとかで流行ってる曲を聞いたりなんかもする それで気がついたんだけど 最近の流行って多分、メロディアスな曲とかじゃないんだろうなぁって思ってて。 どっちかって言ったら、プリセットのリズムに合わせ、音楽理論で受けのいいコードを組み合わせてメロディーを作ってると言うか、メロディーとい

          トラックドライバー再開しました

          鬱病気味で退職してから約一ヶ月。 再就職しました。 また長距離トラックドライバーやります。 なんだかんだと、この仕事は引く手あまただから、再就職にはあまり困らない業種。 物流は、人間が生活するために欠かせない業種なはずなのに、なり手が少ない。 俺の親世代が謳歌したバブル時代には、トレーラードライバーは手取り80万、大型トラックドライバーは手取り60万だったらしい。 まじかよ…(´・ω・`) 同じ仕事量こなしても、今じゃバブル時代の半額だけどな… そんなんだからなり手が少ない。

          トラックドライバー再開しました

          怪談ジャンキー

          怪談ジャンキーは、一年中怪談聞いてるから、夏だから怪談とかって思わない。 初耳怪談でナナフシギのノブさんが『怪談ばっかり聞いてると、何が怖くて何が怖くないのか感覚が麻痺してくるww』みたいなこと言ってたけど、あれはほんとなのかもしれないw 怪談話にはいろんなパターンがあって、昔ここで事故があったとか、殺人があったとかいうオーソドックスなものから、え !?マジ!?そんなオチが来る??みたいな、創作なのか、実話なのかわからないようなものまである。 自分で経験したり、身近な人

          トラックドライバーは傭兵だと思ってる。 企業がどれぐらい自分の労力を買ってくれるのか、似たような業務なら、より高い給料の会社に入りたい…これ、意外とみんな同じ事を言う。 長距離チャーターをやるようになって早4年。 年食って体力は落ちたけど、経験は積んだから大概の業務は問題無くこなせる。 会社とも縁。 人とも縁。 付き合ってた恋人とか、色んな場所で知りあった友人や知人とか、一度縁が切れた人とは、俺の経験上、2度と巡り合うことはなかった。 多分、それはこれからも変わらないんじ