映画感想『パリ13区』
原題「仏 LES OLYMPIADES, PARIS 13E / 英 PARIS, 13TH DISTRICT」
ミレニアル世代のドライなセックスライフと彼等が抱える孤独や不安、そこから派生する巡り合いを描いた群像劇。
私よりもずっと歳上のオーディアール監督がこんな生々しい裸多めの作品を撮るとは…枯れてないね!
SNSが普通にある世代の"真実"を模索する姿に自分達の生きてきた時代からの変化を感じずには居られない。
アジア系が多く住むと言う13区、今作の主人公の1人エミリーは台湾系。
彼女を取り巻くコミュニティの様子や家族との繋がり。その背景に僅かな息苦しさを感じた時、彼女の強がりや奔放に見せようとする理由が見えた気がした。
でも、恋をした彼女が跳ねるように仕事場を歩く姿がとても可愛かった。
そうそう、彼女が長い髪を下の方で結いてるの好きだわぁぁ❤︎
エミリーとルームシェアするカミーユは高校教師で真面目そうな装いだが実はセックスにはドライだ。
そんな彼が最終的にホントの気持ちに気付く…的な流れなんだけど、あれってノラに完全に拒否られた後、エミリーに想いを告げられて手っ取り早く元鞘に収まれば性欲の受け皿出来る感漂ってる気するんだけどなぁ。マジであの「ジュテーム」には本気度が感じられないわ。
今作で1番好きだったストーリーはノラのターンかな。
彼女はパリで新しい自分をみつけたかったけど結局失敗する。
でもSNSのお陰でそこから救われる上に自分のジェンダーにも気付く。
カミーユとのセックスに違和感を感じ始める描写はなかなか繊細で好み。
そこからアンバーと繋がって行く流れも良い。
カムガール、アンバー・スウィート役のジェーニー・ベス(Savagesのヴォーカル)がめちゃカッコイイ!
坊主頭の女が出て来る作品は無条件で好き❤︎
そして、多民族・ジェンダーと言うキーワードから構築されるシーンを彩るRoneのフレンチ・エレクトロがまた印象的。
且つモノクロ映像が彼等の営みの棘を和らげている様だ。
2022/04/29