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映画感想『侍タイムスリッパー』
◆あらすじ◆
幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。
“お約束”が定番の娯楽時代劇も硬派でシリアスな時代劇も大好き人間にとってこの映画はものすご〜く観る価値があったなぁ。
作り物に本物が馴染もうとしながらも自分が本来何者なのかを払拭出来ないジレンマは本当に見応えがあった。
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武士の本懐【自分の生きる場所(国)をより高みに】と願う熱量が莫大な時代だからこそ、その熱が希薄になった今、作る意味がある。
自分の国を人任せにしない事は大事。
もちろんコメディ要素は多分にあるが上手い設定を考えたなぁと思う。
同時に雷に撃たれた三人がどういうタイミングで現代にタイムスリップしたか・・・
まさかの【時間差】攻撃!!
敵の長州藩士だった男がまさか風見恭一郎と名乗る時代劇役者、それも超売れっ子の・・・なんてね。
でもさこの物語はそこからが本番で切られ役の高坂に風見との共演の話が来た時点から彼らの敵対ではなく共感の関係が始まるんだよね。
自分達が生きた時代の結末が見えてしまうシーンは切なくもあったが今を生きる観客にとっては既に学んだ歴史でそれが滑稽でもあり複雑な思いが生まれる。
でも風見との心の遣り取りはこの世界の先輩でもあり人生の先輩と言う設定が彼に何処か貫禄と言うか余裕を持たせ、高坂にもっと遡った時代にタイムスリップし自分が背負って来た同じ様な体験や想い、苦労から解放させたい気持ちが伝わってきてクライマックスは涙が出ちゃったよ。
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あの二人が対峙するシーンは『椿三十郎』へのオマージュだそうで。
あの長い沈黙や濁りの無い張り詰めた空気を表現した映像の美しさはまさしくリスペクトだな。
確かに色んな時代劇作品へのオマージュは見受けられた。
特に東映が今作をバックアップした為か東映配給作品へのオマージュが盛だくさん!
大好きな『三匹が斬る』が「三匹が斬られる」とか東映配給じゃないけど劇中で制作される大作映画のタイトルが「最後の武士」になってて、これまんま『ラストサムライ』じゃん!ww
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時代劇常連の山口馬木也は凄く良かった。
白髪の峰蘭太郎も素敵だったなぁ。
どうやら峰氏は福本清三氏の代役だったそうな…。
監督は峰氏が演じた殺陣師範の役に福本清三氏を考えていたらしく亡くなってしまったので『太秦ライムライト』の峰蘭太郎氏を起用したらしい。
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だからエンドロールに【In memory of Seizo Fukumoto】とあったんだね。
それに福本清三と言う人は時代劇には無くてはならない人だったからな。
しかし安田監督は監督、脚本他幾つ兼任してるんだか?
エンドロールの登場回数が半端無いww。
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遊び心としては・・・
もしや監督役はあの映画監督がモデルか?とかラストの高坂の台詞は『トップガン マーベリック』のトムの台詞のオマージュか?とか冨家ノリマサの内股が気になり過ぎたとか…(笑)色々細かい所も楽しかった。
「失われた大切なものを取り戻す」がテーマの今作なだけに叫ばせてもらおう