『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち』
原題「The Hummingbird Project
◆あらすじ◆株の高頻度取引が注目され、アクセスの高速化が求められていたニューヨーク。トレーダーの男とその従兄弟は、カンザス州にあるデータセンターとニューヨーク証券取引所のサーバーを結ぶ光ファイバーケーブルを直線で敷設できれば、従来のアクセス時間を0.001秒短縮できると思い立つ。
面白かった!!
金融の事は良く分からないが【進化の競争】に取り憑かれた人間の狂気がどう作られて行くかが良く描かれていたと思う。
しかしそれと同時に彼が最後に見るものの意味は今まさに発達し過ぎた文明の只中に居る自分にも思うところがある。
競い、高い利益を得る事に従事してきたヴィンセントにとって本当の意味で生きるとはどういうことなのか?を教えたのが【死】である事が余りにも皮肉で人間の愚かさとそれでも残りわずかな人生でも修正出来る事の意味を今作では感じられる。
"利ざや"の為に0.001秒を縮める世界なんて想像もつかないがそれが出来てしまう頭脳と手段を持ち合わせたが為の幸と不幸。
なぜそこまでして進化を遂げなければならないのか?
【時は金也】とはそういう意味なのか?
テクノロジーとの共存はもはや必要不可欠だが今作でアーミッシュの生活に置き換えられた【人間の営みの原点】の様なものはやはり忘れたくない。
それにしてもキム・グエン監督、俳優の使い方が巧い!
サルマ・ハエックは嘗て無いイメージで凄く良かった。始めサルマだと気付かなかったくらいで彼女こういう役も出来るんだって全く違和感無く最先端のその頂上で働く女性像を上手く演じてたと思う。
で、これまた出演者チェックしてなくて初め「誰?」って思った【禿げても美しいアレキサンダー・スカルスガルド】(笑)
まぁ頭脳だけが取り柄のオタク系な役だからずっとだぶだぶの服で身体覆われててもしやあのターザンの時の様な肉体美を隠して頭だけ禿げさせて見た目かまわない風を見せてるのか?と思ったけど終盤FBIに追われて逃げるシーンでボテボテの腹見せてくれたから独りで笑った。あれ詰め物かもね!
そしてジェシー君は完全に嵌り役!
『ソーシャル・ネットワーク』を彷彿とさせるが学生だったあの子(実際はFBのザッカーバーグなのだがね)が成長して利ざやに憑りつかれた男になっちまった感じが結構楽しめた。
ただ、個人的にマイケル・マンド演じたマークの付き合いの良さにグッと来た!!
イイ人だよ~。あんなに思ってくれる友人を利用する様な真似はダ~メダメよ!
結構気軽な感じで観に行ったんだが中盤までと後半のストーリー性にかなり変化があり、まるで2部構成の様だった。
【死】に直面した人間が思う事・・・・
【死】を目前に自分が躍起になってしてきた事の無意味さを知る。
金はあの世に持っていけないんだよ・・・って事です。
『死して屍拾う者無し』にはなりたくないってね。
誰かの記憶に善きものを残したいじゃんね。
・・・・・・・・ってね。