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映画感想『十一人の賊軍』

◆あらすじ◆
戊辰戦争が勃発し、圧倒的な武力を誇る新政府軍と、それに抵抗する旧幕府軍が各地で激しい戦闘を繰り広げていた。旧幕府側の奥羽越列藩同盟に加わっていた越後の小藩“新発田藩”では、秘かに新政府側への寝返りを画策していた。そんな中、同盟側は態度を明らかにするよう軍を率いて新発田城に押しかけてくる。一方、進軍を続ける新政府軍も城へと迫っていた。両軍が激突し、新発田が戦渦に巻き込まれることは避けたい家老の溝口内匠は、城に通じる峠の砦で官軍を足止めし、時間稼ぎを図ることに。そこで、侍殺しの政をはじめ様々な罪で死刑囚となった罪人を集めて決死隊を結成し、無罪放免を条件に砦の死守に向かわせるのだったが…。


注)ネタバレ

白石監督らしく流血量半端なく殺戮三昧なんだが、今作は或る事情からドッカン💣度が高かったわぁ!
西部警察並み(笑)
その分スプラッタ感満載。

個性溢れる罪人達はホントにそれぞれ味があって見応えに繋がったしこの時代の戦いは相変わらず命の無駄遣いだがその中に見える【尊厳】みたいなモノはしっかり描かれてたと思う…

がッ!ややヒリヒリ感に欠けると言うか血沸き感もそこまで感じられなかった。
ワタシがその手のものを観過ぎてるせいかもだが…。
やっぱ『孤狼の血』くらいヒリつきたいんだよな。
まぁ背景も設定も違うから無理か・・・。

新発田藩の新政府軍に付くか旧幕府側列藩同盟に付くかの駆け引きだが武士の時代はホントこの裏工作技術が面白さを分けるよね。
結局、下手な立ち回りをしながら一度家老は難(切腹)を逃れ藩のお膝元は安寧を取り戻したが最終的に大きな犠牲は避けられない的な?!

要は数か所で起きている“事の次第”が絡み合って結末に向かうんだが藩のトップより賊たちの方が己の生き様見せつけるよねって・・・役者揃えて(好きな俳優ばかりだったし)その辺りはきちんと見せてくれたから最後まで飽きずに観られたのは確か。
ちなみに・・・
罪人を演じたのは山田孝之を中心に尾上右近、千原せいじ、岡本天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太と個性的。正直扮装で「誰?」ってなった役者も居たし千原せいじの僧侶役はなかなか面白かった。
新発田藩、新政府軍、旧幕府軍は仲野太賀、野村周平、音尾琢真、玉木宏、阿部サダヲ、浅香航大、松角洋平、駿河太郎と言う顔ぶれ。その中にナダルが紛れ込んでたのは何故?(笑)(笑)それとユリアンも居たわ。

もちろん山田孝之、仲野太賀は言うまでも無く魅せてくれるんだが・・・

その中でも特に目を奪われたのは罪人“爺っつぁん”を演じた元パンクバンドのドラマーで東映剣会所属の本山力となつを演じた元モー娘。の鞘師里保だ。凄くイイ仕事してたな。

本山力氏は殺陣はもちろんだが「この人何者?」って観客に思わせる仕込みまで完璧だったよね。
彼の最期に自分が何者なのかを名乗るんだがスピンオフで彼の背景をもっと知りたくなるくらいにはワタシの中では絶大な存在感が在った。

鞘師はすんごい艶っぽさが感じられて巧く演じたなって思えた。
個人的にほぼ男優の事しか感想書かないんだが(笑)今作の鞘師はずっと記憶に残るくらい素晴らしかった!
彼女ダンスに定評があるらしく劇中でも地元の踊りを踊るんだがその時のしなやかさとか物腰が良かったんだよな。結構真剣に彼女の踊り見ちゃった。

やっぱりさ、物語の構造上『七人の侍』の彷彿は否めないけどオマージュとして意識してるんだって感じさせてくれてるね。
シーン毎の構図がいちいちカッコイイんだよね。芸術的要素が垣間見られるのはやっぱ黒沢映画の影響よね。
【絵】としてホント楽しめる。

なんか時代劇を観るとその当時の【想いの熱量】を感じてやっぱもっと作って欲しいって思う。

でも最近その兆しが見えてるって思うんだけど。
次は大泉洋主演の『室町無頼』が控えてるしね。
反骨精神上等

今の時代に必要な要素が詰まってるって思うのはワタシだけだろうか?



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