映画感想『追龍』
原題「中 追龍/英 CHASING THE DRAGON」
◆あらすじ◆
1960年。中国本土から仲間とともに香港にやって来た不法移民のン・サイホウ。貧困に苦しむ中、報酬目当てにマフィア同士の暴動に加わり、英国人の警司によって警察に連行されてしまう。そこへ香港警察のリー・ロックが現れ、サイホウを助け保釈する。その後、サイホウは黒社会で頭角を現していき、ある時、窮地に陥っていたロックを助けることに。これをきっかけに2人は本格的に手を組み、サイホウは麻薬王へ、一方のロックは警察上層部へと、それぞれのし上がっていくのだったが…。
アンディ・ラウは香港出身、ドニー・イェンは中国出身でこの辺もちゃんと設定として組み入れてる。
中国内の言葉事情や香港がイギリス領だった歴史で警察内部がどんな状態だったか?みたいなの興味深かったな。
ワタシが香港に行ってたのは1980年代後半から90年代前半位だったと思うけど当時はまだ九龍城砦は取り壊される前でそのスラム街の怪しさと言うか不気味さと言うか感じられたんだよね。あの頃はまだ香港の陰と陽、表と裏が見られたな。
で、とにかく当時の香港、それも九龍城砦の再現が凄い!
無法地帯且つ迷路と化した城内の雰囲気、裏社会が公然と存在し、不法移民やイギリス領下で認可されていない牙科(歯医者)が開業されてたり、継ぎ足しで建てられたバラックの異様さがホント見応えあった。
当時の九龍城
セット作成↓↓↓↓
一番懐かしかったのが建物すれすれで啓徳空港に降り立つ飛行機の迫力。
当時、香港の町を歩いていても飛行機が到着する度に「ちかっ!」って思ったよね。
A・ラウがそれを見上げるシーンが何度も出て来て当時の香港を象徴するシーンとして凄く重要だと思った。
とにかく色んな意味で危ない街だったなぁ。
ドニー・イェンは中国本土から移り住んだチンピラで暗黒街でのし上がっていく役なんだけど「イップ・マン」や過去作の彼のイメージとは違う一面が見られた。
アクションもカンフーと言うより単なる「アクション」なんだけどそこはやっぱり師匠ですから見せる魅せる!
最初にアンディ・ラウ演じる警察官が目を付ける乱闘シーンがあるんだけどやっぱりそこで一目置かれるアクションてのやってのけるにはそれだけの実力が要るわけで・・・さすがですわドニーさん。ワタシも「アイツは出来るヤツだな」って直ぐに判る演技素晴らしかった。
A・ラウ演じるロックがドニーさん演じるホウを助ける所から二人の関係性が始まるんだけどこのヤクザな世界の【義理人情】・・・堪んねぇな!ホモソーシャルな世界マジやめらんないわ。
で、ロックはホウのチカラ(裏社会での才覚)も借りて警察内部で伸し上がって行くんだけど、二人の合言葉みたいになる『生死は運命が、富は天が決める』ってのさ、この二人に関して言えばお互いを裏切らずに居た事が彼等の運命を決めた気がするのよね。
結局、立場は違うけど悪に手を染めて裏切れば殺られる世界で信じ合うってかなり難しいと思うけどそれをやり抜いたから伝説の様に彼等が語り継がれるのかな?って思ったりしてね。
結局二人とも内部と闘ったわけだしね。
そういう意味でアクションとブロマンスも最高!
あのラストはちょっと切なかったな。
一瞬、『ブロークバック・マウンテン』のワンシーンが浮かんだ。ホロッとしたよぉ。
しかしA・ラウはもう60歳になるのかぁ、相変わらず美しいよ~。
リー・ロック役再演てのも粋!
ただ一つ、ドニーさんの髪型が・・・・・まぁコミカルキャラ含むからかな?
久々の香港ノワール、堪能致しました。
2020/08/06