『判決、ふたつの希望』
原題「L'insulte」
◆あらすじ◆
レバノンの首都ベイルート。その一角で住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人のヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐって諍いを起こす。このとき両者の間に起きたある侮辱的な言動をきっかけに対立は法廷へ持ち込まれる。やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題となり、“ささいな口論”から始まった小さな事件はレバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった……。
過去や歴史は変えられない。
劇中のセリフにもある『歴史を踏まえて前に進まなくてはならない』と。
戦争も紛争も世界で起こる対立は全て【人と人】との事。
些細な口喧嘩がやがて宗教、民族更には難民問題にまで発展する可能性を含む複雑な国家背景が絶妙なバランスで描かれている秀作。
社会派ドラマでもあり群像劇でもあり法廷ものとしてのスリルも充分に味わえる点で非常に満足度は高い。
物語の締め括りも未来への希望が込められている。
しかし、『スリー ビルボード』のオレンジジュースとか今作のエンジンとか…こう言う演出、粋だよね。
イイ作品だなぁ。