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映画感想『ラストマイル』

◆あらすじ◆
流通業界最大のイベント“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された荷物が爆発する事件が発生する。その後も同じサイトの荷物が立て続けに爆発し、事態は連続爆破事件へと発展、日本中を恐怖に陥れていく。犯人像もその目的も分からない中、巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔とともに、物流を止めることなく、さらなる被害の拡大を阻止するために、懸命に事態収拾と謎の解明に奔走していくのだったが…。


「What Do You Want?」…

本当に欲しい物かも分からず送料無料のマジックにポチり。
その配送料に何が含まれてるか考えたら絶対必要なんだよ配送料!


映画はとても楽しめたしとても興味深い。
この社会に生きる人間は皆観た方がいいんじゃないか?と思うほどには。

“脚本・野木亜紀子”らしく巧妙に練られたプロットに日本の社会を支える【物流システム】とそこに携わる人達のとても深刻な問題が浮き彫りになる。
物流に関わらない人なんて先ず居ない事を踏まえ、この巨大物流センターを舞台に描かれる社会派エンタメミステリーサスペンスは見応え充分の筈。

そしてこの話が完全な虚構とは言えないのもまた切実だ。

物一つ買うのだってその商品は何処かから誰かがその場所に届けているんだって事!
それも朝早くにね!!

【物】でも【付加価値】でも欲しい物はそれぞれだが【命】や【正常なココロ】だって在って当然では無い。

厳しい労働条件を強いられても物流システムを止めるわけにはいかないこの社会の風潮。
問題点は幾重にも重なり合って収拾がつかない状況にまで追いつめられる。

優先順位が付けられない思考の乏しさも現代の短所だろう。

物語の舞台であるDAILY FASTと言う物流会社
過酷な労働条件と爆破事件の関わり
フェイクとも言える【DAILY FAUST】と言う会社のCM映像
秘められた復讐
記された暗号  

etc …


まぁとにかく『アンナチュラル』と『MIU404』のシェアードユニバース作品としてもファンにとっては嬉しい。
日本映画もこう言うのもっとやればイイ。
しかしこの為に役のキャラ思い出すの大変じゃないかなぁ?とか思ったり思わなかったり⁈ww。
これを機に両タイトル共に新作お願いしたい!

御1人名前変更された方いらっしゃらなかった。


ちなみにタイトルの『ラストマイル』とは物流業界では「配送の最終拠点からお客様へ荷物を届けるまでの区間」を言う。



※ここからネタばれ

印象に残るシーンは幾つかあるがやはり一番は中村倫也演じる山崎佑がベルトコンベアの上に身を投じるシーンだろう。
ディーン・フジオカ演じる山崎の上司・五十嵐がその山崎佑に「死んでもベルトコンベアを止めるな」と電話で語気強く言い放つシーンに重ねる演出・・・お見事としか言いようが無い!

死を以って不当な【時の支配】を止めようとした山崎。

山崎は密かに書き留めた【27m/s→0 70㎏】と言う法則に則って身を投じてまでこの物流倉庫(及び配送など物流そのもの)の理不尽を暴こうとしたがベルトコンベアが止まったのは一瞬だけで結局何事も無かったかの様に再稼働する。
このシーンの虚しさや無力感、そして絶望は特にこの内情を少しでも現実として知る人間にとって悔しさ以外の何者でも無かった。

そこに加味して顧客の在り方が問われる作品でもある事は確かだ。
商業的金銭の遣り取りは“自分が出来ない事”に対価を支払っていると言う事を肝に銘じた方がイイ。

この作品に描かれた社会問題がラストに解決したかどうかと問う人も居るかもしれないがそれは現在進行形だという事だ。
配送業者の賃金は多少上乗せされ労働環境の改善の一歩ではあるがそれは生活が変わるほどのものではないし消費者の意識も恐らく変わらない。
よほどの事が無い限り会社の体制なんて基本同じだ。

その2点、【企業経営陣と消費者一人ひとりの意識改革】が必須条件なのだ。

梨本孔が舟渡エレナからセンター長の座を託され孔がそれをどう受け止めたか?
ホワイトハッカーだった彼が自分の経験を活かして一筋の光を見出せるのか否か?
期待したいところだがね。
まぁ、頭は抱えるわなww

しっかしさぁ、部下の手柄をイケシャアシャアと自分のモノにする上司の図…胸糞悪いわぁ。あぁ言うヤツ一度ギャフンと言わせてやりたくなっちゃう!


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