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映画感想『青くて、痛くて、脆い』

◆あらすじ◆
コミュニケーションが苦手で、他人と距離を置いて生きてきた大学生の田端楓は、人目を気にせず理想を追い求めるあまり周囲から浮きまくっている秋好寿乃と出会い、自分とは対照的な存在と用心していたはずが、思いがけず距離が縮まっていく。やがて2人は世界を良くするという大きな理想を掲げ、"モアイ"という秘密結社サークルを立ち上げる。時が経ち、すでに秋好は楓の前から姿を消し、モアイはチャラいだけの就活サークルに成り下がっていた。楓は秋好の理想からかけ離れてしまったモアイをぶっ壊すと決意するのだったが…。




あぁ、こういうサスペンス要素ありだなって思った。

傷つきたくないし誰も傷つけずに・・・と言うか自分の意識外で誰かを傷つける事になって自分のせいだと言われても困る的な思考から独りを選択してきた楓(吉沢亮)のキャラ設定が先ず怪奇スリラーww。

【世界を変えたい】という物凄い高い理想を持つ一番お近づきになりたくないタイプの秋好寿乃に話しかけられ逃げまくる所まではコメディっぽく見えたんだがその後、楓が心を寄せ秋好の理想に手を貸す事になる。自分にも何か出来るのでは?と考えを新たにするのかと思いきや・・・・。

傷つかずに生きるなんて出来ないんだよね。
だから人生のステージに参加するもしないも自分の心持ち次第。小さな変化無くして大きな変革は有り得ないから自分の周りから少しずつ変えて行く事が理想に繋がる。
理想論上等!でしょ!!

秋好がいつも独りで居る楓に声を掛けたのは世界の変革への第一歩だったに違いない。

その最初の一歩に選ばれ、自分は或る意味【秋好にとって特別な存在】だと自分の中に自分の理想の存在価値を作り上げてしまった楓。

恋愛とは違うむしろ恋愛よりもっとココロの奥底に沈殿していく感情。
誰にも譲りたくない【秋好の隣】と言う居場所を見つけてしまった。

こういう感情の嫉妬は凄く厄介だと思う。
勝手に思い上がるからだ。
もうこじらせたストーカーだよね。

そして心の中でリアルな存在まで抹殺してしまう怨念。
ひえぇぇぇ~~~~!!
ャバイョ━━<(ll゚◇゚ll)>━━ッッ!!!!!

でもさぁ、ここまで結構騙されちゃうのよ。
この、世の中斜めに見ちゃってるアタシでさえ吉沢君の美しさに目が眩んで彼の話す事チョイと信じちゃったわけ・・・天音と同様にね(笑)
「自分の【モアイ】を取り戻す」ってその決意にさ。

天音↑↑↑


あぁぁぁぁああぁぁっぁぁっぁぁっ・・・
あ ん な 展 開 が 待 っ て い よ う と は!!!!!!!!!!!

半世紀以上生きて思うのは若さってそれだけでチカラだし可能性じゃん!
いずれ歳とってちょっと思い返してみるとさ後悔じゃないにしてももっとやれたかもなんて思っちゃうんだよね。
秋好はさ自分の信念を全くぶらさずに【セカイを良くシタイ】って想いを持ち続けたんだよね。それを信じられなくなった自分本位の楓のジェラシーに現代社会に見られるネット文化の弊害が描かれてる。ホントに恐ろしいわ。

今作の一番の見所は吉沢亮の陰キャが激しく良い!と言う所。
あの最高に美しい顔が冷たさを助長してるのは確か。       


ああ言うキャラは元々がコミュ障だから全て相手のせいにする「なんで自分を誘った」とか「自分は断ったのに」とかさ相手の思いや考えは全て排除するんだよ。それでもって相手を自分勝手だと罵倒する。

自分だけの都合で自分だけを守り通してやって来た人格の障害。

ホント、自分の中に自分を客観視出来る眼を持ちたいやね。
視点一つでその対象はどうにでも姿を変える。
そして自分の思い込みは確証が無い限り自分だけに留めないと全てを失うんだと言う事。
取り敢えず個人的には【秘密結社】っつー言葉に心躍りやした。

それとこの映画は教育問題、学校問題にも言及してる。秘密結社モアイがボランティアに行く先のハウスが不登校生受け入れしてるんだけどこのハウスのシーンにはなかなか魅せられるわ。森七菜ちゃんがなかなかの熱演でビックリ。

あと柄本祐が中間的存在を上手く演じてるんだな。彼の存在がキーだしね(>_<)
光石研氏のあの役も最近ではちょっと珍しいかな。善きお父さん的な感じが多かったからね、でも凄くイイ。あんな教師木っ端微塵にしてやりたいわ!!

とにかくただの青春映画では無いしこのタイトルが完璧であっぱれ!


2020/09/09


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