日本人は戦争に向かない。
世界中の軍隊で階級制が敷かれています。少尉は大佐の指示に従い、大佐は中将の指示に従うように教育されます。そうしないと、敵が攻めて来た時にはどこまで抵抗するのか判らず、バラバラに撤退して被害が大きくなる。組織の意思統一を図るのが目的です。
しかし、作戦にしろ兵器にしろ、兵隊の生存が第一優先です。米軍はとにかく頑丈な航空機を開発し、重量が重くなって馬力が必要になると、エンジンを大型化しました。「チョコレートが溶けて手が汚れる」と兵隊が文句を言えば、砂糖でコーティングしたチョコ(=M&Ms)を開発しました。上官が無謀な作戦を立案しても、部下は命令拒否します。
ところが、日本人の場合は違います。「上官の命令は絶対だ」と教えられると、自分が違う意見であろうと抑え込みます。それが生死の懸かった場合でも、自分の命よりも「上官の命令は絶対だ」と言うルールを優先します。食べる物が雑草でも、餓死するまで戦い続けます。
「その命令はおかしい」と拒否する者がいると、周りが「命令に従わないなんて非国民だ!」と猛批判する。本来は命令拒否に加わるべき周りが、上官側に付いて攻撃する。それが日本人の特徴です。これは、幼少期から「決まり事に従うように」と学校で叩き込まれるからです。
明治政府の要人達が欧州視察でビスマルクから国際法を学びました。ドイツの名宰相は最後に「まあ、実際には守らないけどね」と言ったそうで。欧米の人達にとってルールは、「自分が正しいと感じる時には守るもの」。
日本人にとっては「どんな時だろうが絶対に守るのが正しい」もの。
零戦や一式陸攻は速度優先で、防御力を犠牲にして開発されました。1発でも弾が当たれば炎上するので、米軍内で一式陸攻に付いたアダ名が「ワンショット・ライター」。結果的に開戦当初の快進撃を支えた猛者達は次々に戦死して行き、新兵の技量が拙いので「体当たりさせるしか無い」となった訳です。
ちなみに山本五十六長官は開戦前から「特攻」を念頭にしていたそうで。意味不明な真珠湾攻撃を強行するし、機密作戦は愛人にベラベラ喋るし、この方は本当に無能だと思います。
歴史上戦争を繰り返して来た欧州と違い、日本が近代戦争をやると、大和民族が滅亡するまで継続してしまいます。幻となった本土上陸作戦では、日本軍の目標は「2千万人くらい日本人が死ねば、米国内で厭戦気分が広がって和平を結べる」でしたからね。
昭和天皇が「戦争を避けよ」と命じても、無視して開戦に踏み切った軍部。海軍は陸軍に黙ってどんどん戦線を拡大。米軍の反転攻勢が始まって、ガダルカナル島が大ピンチとなった所で、陸軍に支援を求めます。そこで初めて「ガダルカナル島っでドコ?」と地図を広げる陸軍。こんな無茶苦茶な戦い方で勝てる方がおかしいです。
その後は絶対防衛圏を設定しますが、防衛圏を突破されても降参をしない。誰も責任を取りたくないとズルズル戦争を続けて、本土決戦と言い出しました。特攻を始めた理由は「陛下に降伏を考えて頂く為のアピール」でした。ところが最初の特攻で空母撃沈の戦果を挙げた事で方針転換。特攻の本格導入が決まりました。
結局陛下の命令を無視して、戦う必要がまったく無い米国との戦争を始めた指導者達。軍部も首相も外務大臣も「自分が決めたく無い」と、降伏の決断を陛下に丸投げ。降伏が決まると「御聖断」と名付けて美談化しました。自分達の判断ミスで国民を巻き込み敗北したのに、「一億総懺悔」と言い出したので、国民が激怒しました。
本来であれば、「上官の命令は絶対だ」と指導するのなら、「上官が間違えた時はどうするのか?」も合わせて徹底議論するべきですが、戦後の日本は「戦争自体が悪」と思考停止してしまったので、考え方が1940年代のままです。
将来日本が戦争に巻き込まれた時には、どうするんでしょうね?