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運命的な出会い

高校に入ったとき、大いに驚いたことがあった。同級生の中に父親同志も同級生である人が私も含めて四人もいたこと。親子揃って同級生が四組ってことね。父親たちは都立高、私らも都立高。どちらもかつての第三学区(杉並・中野・練馬)。都立高というのは地元の人間が集まる場所なわけで、親が引っ越していなければ子ども同士が同級生になることだってそうそう珍しくはないという考え方もあるかもしれんけれども、四百人のうちの四人が親同士からして同級生って、百人に一人って割合ですよ。これはやはり些か特異な出来事と言っていい部類なんじゃないかなというのが実感です。ちなみに、うちの弟は父と同じ高校に進みましたが親同士が同級生ってのはいなかったようですよ。美術の先生が親父の同級生だったってことはありましたが。
そう言えば、中学の最初の担任の先生も親父の高校の同級生だったな。地元に住み続けるってのは、こういう事態を引き起こしやすいのは確かではありますか。うむ。

世の中、広いようで狭い。狭いようで広い。どちらもリアリティをもって感じられる瞬間があります。本当はどっちなんじゃいってなもんですな。我が杉並には六十万人近くの人間が犇いている。どひゃー、すごいね。でもさ、世界には八十億だかの人がいるそうで、杉並区なんてちっちぇえもんだよな、やっぱり世界は広いぜと思ったり。
日本って小さいのかでかいのかってことで言うと、人口では世界の中で12位、国土面積では63位だそうですよ。面積としては小さいような気もするけれど、ヨーロッパにいけば上位になりますね。あのあたり、ちっちゃい国ばっかだもんな。
ざっくり検索・計算してみたところ、世界の65人に1人が日本人ということになるみたい。これは多いのか少ないのか。ついでに、我が文化区杉並に注目してみると、東京都の24人に1人が杉並区民って割合。全国でみると211人に1人が杉並区民。なかなかの数ですな。あれっ、おまえも杉並区民なの? おれも、おれも……なんて、言うまでもなく、出不精きわまる私の周りは杉並区民だらけなわけですけれども。

高校は一学年四百人ほどでした。中学は二百五十人ぐらいだったかな。小学校は二百人弱。同級生の数はそれぐらい。それ以外にも知り合いはいろいろできていくわけだけれども、全部で何人ぐらいなんでしょうね。ようわからんけれども、そう大した人数ではない。考えてみれば、同級生全員が知り合いとすら言えないもんな。顔は見たことあるけどさ、なんてな距離感だった同級生と五十過ぎてから一緒に呑むようになったりすることもあるわけで。再会がなければ、顔を見たことがあるぐらいのやつ、ってままで終わり二度と会わない同級生もたくさんいるってことだ。
前に書いたっけ? 日本中の人から一円ずつ恵んでもらえば、一億円になる。十円ずつだったら一千万人でいい。これなら億万長者になるのも不可能ではないのではないか、なんてな戯けたことを夢想する、みたいな話。ばかである。
実際問題、お願いお願いお願い、なんてんで、泣きつけば、十円ならば初見でもお恵みいただけるんじゃないかなあ。どうだろう。しかし、知らない人にそんなお願いをするのもどうかと思うよね。とはいえ、知り合いの数ってそんなにいないしなあ、なんてなことを。ばかである。
そもそも一千万人にお願いお願いお願いって言うとなると、三千万回も「お願い」と繰り返さなければんらないわけで、喉が潰れちゃいそう。というか、そもそも一千万人に頼んで回るのに何日かかるんだろうか。交通費だってばかにならないし、やっぱ無理か。完全にばかである。

小学校のとき、二百人にも満たない中で、Aくんが好き、B子とつきあいたい、なんてなことを言い合ったりしていたんだよなあ。その後の人生でも出会う人はおそらくは一万人もいないわけじゃん。そこそこに知り合いって言えるレベルなら千人とか、もっと少ないのが普通じゃないかな。なんだけれども、その中で、XくんとY子、付き合ってるらしいぜ、なんてなことになる。なんだったら結婚したりするわけ。ちょっと待ちたまえ。世界には八十億人もいるんだぞ。きみにはY子さんよりもっと相応しい相手がいるかもしれないじゃないか。少年よ、そこで立ち止まらずに世界に旅立ちなさい、なんてなことを思ったりしなくもない。その一方で、ここで君たちが出会ったのもご縁と言うものじゃよ。天よ、ご照覧あれ。ユー・トゥー、末長く幸せに過ごしなさい、なんて思うこともできなくはない。

なんてな、戯けき夢想にあたら時間を費やしている私です。そんな私の書いたものを読んでいるあなた、これ、貴重な出会いですよ。知り合いって言える人は一千人もいないと思うんで、あなた、控えめに言っても、1001人目。ヴェリー・スペシャルな1001人目の友よ、君との出会いは天から与えられた運命だよ。ねえ、取り敢えず、一万円、貸してくれない?

出会い系詐欺には気をつける方がいい。

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