第156回MMS「日本の町工場が考える建築の新たなカタチ『3D Achitectural Lab』」 株式会社ヒラミヤ 代表取締役 平宮健美さん(2017/11/7対談)
●ご挨拶と出演者紹介
宇都宮:本日は株式会社ヒラミヤさんのほうから、第156回MMSをお届け致します。宇都宮が今日はMCをやりますのでよろしくお願いします。
平宮:よろしくお願いします。
宇都宮:三木さんは画面の向こうで声だけの参加ということになります。では本日のゲスト平宮さんよりちょっと一言いただけますか。
平宮:株式会社ヒラミヤの平宮健美と申します。よろしくお願いします。
●enmonoとの出会いについて
宇都宮:平宮さんがzenschoolを卒業されたのは2年前(2015年)になりますけど、実際初めてお会いしたのは結構古くて、2012年の川崎市の第96回デザインフォーラムで三木さんが講演された時に見に来られて、その頃の記憶って何かあります?
平宮:当時はたぶんモノを作る板金屋ですけど、メーカーになりたいという想いがあったり。
宇都宮:板金屋という営みからメーカーになりたいという何かイメージが?
平宮:そうですね。自社商品を作れたらという想いが当時はありました。空気清浄機とかを作ったりして、まだ開発をしている段階ではありましたけども。
宇都宮:その情報収集の一環でデザインフォーラムを見に来られたという感じなんですね。
平宮:そうですね。財団のほうから色々と勉強会の案内はいただいていたので、その中でちょっとおもしろい話かなと思って参加させてもらいました。
三木:ご感想はいかがですか?
平宮:こういう風に考えてやっている人いるんだって。
宇都宮:前向きに受け止めたわけですか?
平宮:もちろんです。1年間日本工業大学というところに行ってまして、その時の小田先生もNCネットワークの次にまた別れた人たちが何かやってるということもお聞きしてましたので。
宇都宮:創業直前ぐらいに小田先生のところで社会人向けにプレゼンさせていただく機会があって、それはもう2009年ですからね。
平宮:その後にこういう動きがあるというのが小田先生が注目をしていたので、授業でも取り上げてたんです。
宇都宮:そうなんですか?
三木:NCネットワークで?
宇都宮:ありがたいことで。enmonoのことも。
平宮:そうですね。NCネットワークもしましたけど、その後に別れて新しく…
三木:独立する前に1回呼んでいただいたんです。
平宮:そう。
●zenschool受講で得られたこと
宇都宮:2012年にフォーラムを見られて、実際zenschoolを受講したのって15年でしたっけ?2年前?
平宮:そうですかね。13期でしたね。もう2年ぐらい経ちますかね。
宇都宮:zenschoolを受講しようというきっかけが何かあったんですか?
平宮:興味はもちろんあったので、日工大に行ったのも経営側になりながら経営のことをよく分かっていないので、それでその勉強の一環とかモノづくりに対しての新しい取り組みだなという印象で受講してみようとは当時思ったんです。
宇都宮:zenschoolを受講されて何か感想はありましたか?
平宮:宇都宮さんとは何度かお話もさせていただきましたけれども、日工大で勉強するよりも基礎のところから勉強できたというか、自分を知ることができたというのが一番おもしろかったなと。
宇都宮:ひどい目に遭いませんでした(笑)?
平宮:初日は自分はちょっと良くなかったというか、自分のちょっと足りない部分が色々露呈しましたけども。
宇都宮:どういう辺りが?足りないことに気づいたというのは…
平宮:元々根暗なもので、結構自分でがっかりしていくとかこんなもんかと思ったりしながらだったんですけど、その中で1つ生まれながらに自分が持ってるものというのを本当に引き出せたり感じたりできたことはありがたいことでした。
宇都宮:何か出てきましたか?
平宮:出てきましたね。
宇都宮:それは受講前に期待していたものが出てきた感じなのか、想像もしていないものが出てきた感じなのか。
平宮:どちらかと言うと想像していないことです。
宇都宮:そうなんですか?でもご自身の中にあったことでは…
平宮:宇都宮さんはいつもそうおっしゃるんですよね。
宇都宮:気づいてなかったことが出てきたっていう感じなんですか?
平宮:はい。自分の生活の仕方が悪かった部分もあるんでしょうけど、どうあるべきかという自分の1つの柱というか物事の取り組みに対してのブレないものに気づかせてもらって、それをちょっとずつ伸ばせるなという感じです。
宇都宮:卒業後フォローアップとかしながら色々平宮さんと対話も続けて、今も定期的にお話させていただいてますけど、卒業後何か変化はありました?
平宮:卒業後は一段と自分がどう進むべきかということや、卒業発表、その時に出てはいないんですけど、色んな方をつないでいただいているので、そこら辺は三木さん宇都宮さんが私のことをよく理解していただけてるので、自分の足りないところをうまくサポートしていただけて少しずつ開けてきているような感じですね。
宇都宮:そんなにひどい目には遭ってないという感じなんですね。
平宮:もちろんです。一時恥ずかしいなと思うことを言ったり、やっちゃいけないなと思いながら、でも大変勉強になっています。
●イグアナアイのプロジェクトについて
宇都宮:その中で「3D Architectural Lab」というキーワードも取り出して、今邁進しようとされていてちょうど今作ってるところなんでしょうけど、3次元のモノづくり、しかも建築業界という全く製造業とは畑違いのところに入っていって伸ばそうというきっかけは何かあったんですか?
平宮:やっぱり私ができる仕事は板金だということを改めて感じたことによって、板金を伸ばすためにどうしたらいいのかと考えていた時に、商業施設の話の前にデザイナーと一緒にモノを考えることをし始めたんです。
宇都宮:それはどういうデザイナーさん?誰かの紹介とかですか?
平宮:いえ、元々私立高専だったんですけど、そこの学科がグラフィック工学科という学科で、その学科には写真とデザインと印刷とっていうような内容の勉強をしたんですけど。
宇都宮:平宮さんご自身が?
平宮:そうですね。同級生の中にはデザイン工学科というのもあってデザインは落ちたけど我々のグラフィックに入ってきた人もいて、忘年会か何かがあった時にデザインのほうに進んでる同級生と話をして、ちょうどメイカーズという本が世の中で注目を浴びるような時期だったんですけど。
宇都宮:2012年の秋、冬頃ですね。
平宮:はい。その本でお互いに意気投合して、デザインをするほうは机上のモノとかパソコン上の中でしか表現できないけれども、モノづくり屋はちゃんと形にできるので、自分のデザインの想いを形にしてくれる人がいないかと思ってたと。元々仕事のやり取りはしてたんですけど、久しぶりに会って話をしたらデザイン意匠的にこうしたいというのをどういう風にしたら形にできるかというのを一緒にやろうというところから始まったんです。
宇都宮:その方と色々やってる中でそういうデザインのモノづくりというのに関わって?
平宮:そうですね。もちろん彼には今でも感謝してるんですけど、彼が南青山にあるイグアナアイという靴屋さんの店舗の内装の話を持ってきて、その時にはもうコンセプトしかなくてどうやってそれを作ろうかと建築家の水谷壮一さんが悩んでいらして。
宇都宮:コンセプトというのはラフスケッチみたいなもの?
平宮:靴のコンセプト。
宇都宮:お店の靴屋さんの靴のコンセプトがあって、お店のデザインをどうしようかっていうのもまだ…
平宮:コンセプトに合わせてお店をデザインしたいんだけれどもどうしようかと悩んでいらしたのが水谷壮一さんだったんです。そのコンセプトというのが靴屋さんなので、原始時代に初めて人間が足を保護するために靴をゴムの皮で作ったんですけど、それをコンセプトとして靴をデザインされた靴屋さんなんですけど、その方がパリのほうにいらしてある会社がその辺のサポートをして世界の1号店を南青山に持ってきたんです。その内装を担当していたのが水谷さんで、水谷さんとその友人が出会って本業の話をしてたんですけど、「実は今こういう問題があるんだけども、コンセプトが原始時代とか洞窟にしたいんだけども何か良いデザインないかな?」と言って始まったのがアルゴリズミック、ポリゴンを作るきっかけになったんです。
宇都宮:洞窟みたいなというキーワードが…
平宮:洞窟というのは最終的に出てきたんでしょうけども、水谷さんの頭の中には原始時代というところからどういう所に靴が置いてあったらいいかなというのを考えてらしたんですよね。
三木:ポリゴンにする技術ってコンピュータで設計されていますけど…
平宮:グループのメンバーの中に芸大の院生のトミーがいて、彼がアルゴリズミックデザインのプログラマーでもあったんです。
三木:グループっていうのはどういうグループですか?
平宮:友達とデザインをやる人間と同級生と私で実は1つのグループを作ったんです。
三木:元々そういうグループがあったんですね。
平宮:そうですね。そのグループを作って小さな展示会とかに出てたんです。トミーがいたことによってそれは実現できたんですけども、その形を作る前にうちの現場のスタッフがレーザーで切ったものをはめ込んで作っていたオブジェみたいなのがあって。
宇都宮:板金を組み合わせて立体形にするような?
平宮:そうですね。そのオブジェを見てトミーとつないでいただいて、展示会に出たりしてましたけども、もちろん反応はなかったんですが、ただ水谷さんがたまたま我々のところに話を持ってきてくれたので、「ラフスケッチからどういう風に作れるね」というのを「ポリゴンで作ればこうやってできる」というのを作っていったんです。デザインありきで最初始まって、「そのデザインを板金で作れるのか」という話になってそれが実現できたので。
宇都宮:初めての取り組みがそれだったってことですか?
平宮:そうですね。
宇都宮:初めてにしてはすごい出来が…(笑)。
平宮:そうですね。できちゃったんですね。自分たちも本当にそうなるとは思ってなかったですけど。
宇都宮:想像以上にできちゃったということですか?
平宮:そうですね。
三木:かなり早いですよね?何年ぐらいですか?イグアナアイの設計をやってる時って。
平宮:4年前ですね。
三木:その当時はまだたぶんそういうのは全然…
宇都宮:日本ではあまり知られてないですよね。
平宮:そうですね。
宇都宮:海外では割とアルゴリズミックデザインって建築に使われてるらしいんだけど、日本ではあまり知られていない。隈研吾さんの事務所がちょっとやってたぐらいですね。
平宮:はい。建築のほうでは結構やられてたんでしょうけど、唯一店舗の関係ですと原宿の交差点の所に東急ストアのエスカレーターの両側がガラス張りの三角があるんですけど、それが結構先駆者的にあったみたいですね。
宇都宮:それはガラスの組み合わせ?
平宮:そうです。ガラスを接着して作ったみたいなんですけど。
宇都宮:板金としては平宮さんが初めて取り組んだに近い?
平宮:そうかな?
宇都宮:それが出来上がったのが2014年ぐらいですか?イグアナアイのお店自体は。
平宮:13年ですね。13年の9月にオープンですね。実際作ったのは7月の頭に話をもらって、水谷さんたちとここに来て「どういう風に作ろうか」という打ち合わせをして、それで9月8日か10日くらいに引き渡しだったので、実質2ヵ月ですね。
宇都宮:2ヵ月!?すごい短納期ですね。
平宮:内装はもちろん別の会社がやってましたけども、壁とかを作ったりとか。
宇都宮:基本的に板金の構成は平宮さんとかがやったわけですよね?
平宮:そうですね。
宇都宮:いただいた写真見たら施工も結構苦労されてましたよね。仮組して本組してって。
平宮:はい。スペース的にもたまたま近くに空いている工場があったのでそこで仮組をさせていただいて、その時は天井から吊ることができなかったので、中に段ボールを詰め込んでそれで高さを確保して、それで仮組ができるかできないかというのを確認したんです。
宇都宮:確認ができていよいよ現地に持ち込んで?
平宮:その前に塗装をしたんですけど、確か26グループぐらい分けてそのグループごとに組み立てをしていったんです。
宇都宮:施工自体は26グループを持ち込んで現地で組み上げて?
平宮:はい。それぐらいの量を。
宇都宮:それ自体は1日2日で組み上がる?
平宮:そうですね。
宇都宮:パーティーの写真もありましたけど。
平宮:そうなんです。ドットネットのほうはそれを結構メインで載せてますけれども。
宇都宮:どんな反応ですか?水谷さんから何かお言葉をいただけた感じですか?
平宮:本当にありがたいことに実はJCDアワードという日本商業デザインの賞があって、それの準グランプリになったんです。
宇都宮:すごいですね。
平宮:その時に商店建築という雑誌もその翌年のお正月の1月号のトップに載せていただいて。そのJCDアワードを受賞した時に水谷さんから「一緒に来ていいよ」って言われたんです。
宇都宮:アワードの表彰を見に行かれたんですか?
平宮:お邪魔させていただいたんですけど、通常なかなかデザイナーの人が一緒に作った人を呼ぶということは少ないらしくて、ちょうど壇上でインタビューを受けられた時にも私のほうに振っていただいて本当にありがたい思いをさせていただきまして。
三木:平宮さんとデザインって一見畑違いの製造業で、実はそういう方がやってらっしゃるっていうところがインパクトがある気がします。
宇都宮:川崎の板金屋さんが。
平宮:そうですね。確かに。ちょっと特殊なほうがいいですよね。当たり前よりは「何であなたが」って。
三木:一見スゴイデザイナーの人ってイケイケな社長な感じがするじゃないですか。とても謙虚な感じで、そこが好印象なんじゃないですか。
平宮:でもおかげさまで「金属で作ってるようには見えない」とは皆さんおっしゃっていただいたり、実は当時世界のエルメスの副社長が日本人の方なんですけど、その方が今回のイグアナアイのプロジェクトのリーダーだったんです。エルメスが若手のデザイナーを育てるための一環として今回のイグアナアイを作られたんです。そこに乗らせていただけたというか本当にありがたいお話で。
宇都宮:実際店舗は見に行かれました?
平宮:はい。もう何回もデザイナーの方を連れて。いつもお店の方も本当快く受け入れてくれていつでも見に行くことができるのでぜひ皆さん見に来てください。
宇都宮:実際作られた社員さんも見に行ったり?
平宮:実は去年南青山の界隈で作らせていただいた作品がいくつかたまったので、まずイグアナアイというのが南青山にあって、あとちょうど明治通り沿いの神宮小学校の交差点の角にナリフリさんっていう自転車屋さんがあって、そこの店舗の内装もやらせていただいて。
宇都宮:自転車屋さんは結構カッコいい自転車屋さんなんですか?
平宮:そうなんです。スーツを着ながら自転車に乗れるというようなラフに自転車を乗りこなそうとか自転車を楽しもうというようなコンセプトで、デザインとか洋服とか自転車とかやってらっしゃるお店がありまして、そこの内装を金物で使っていただいて。あとは南青山の中華料理屋さんの内装もやらせていただいて。
宇都宮:中華料理屋さんなんですか?どんなイメージを?
平宮:天井から吊り下げて光の空間をデザインされたような結構凝ってる形で、それもやらせていただいて。あとは伊勢丹のメンズ館のショーケースの中の部材を色々作らせていただいたんですけども、いっぺんにそういうのをやらせていただけたので…
宇都宮:それは2014年ぐらいですか?
平宮:いえ、それは2016年です。
宇都宮:イグアナアイが終わって色々こう…
平宮:そうですね。ただ一挙に作らせていただいて、それでみんなでツアーを組んで、イグアナアイも全員で行きましたし、伊勢丹も行きましたし、最終的に中華料理屋さんでみんなで食事して帰って来たんです。
宇都宮:みんなどんな反応でした?
平宮:あまりどうこうというタイプじゃないですけど、でもカメラマンの人も一緒に行っていただいたんですけど、その方が撮っていただいた写真を見るとみんな笑顔で楽しそうだったので良かったかなとは思います。
宇都宮:最終的な製品として見える所にあるというのはいいですか?
平宮:そうなんです。工業製品ですとどうしても隠れちゃうので。今やらせていただいてるお仕事ですと自分たちの技術とか意向が汲んでいただける部分があるので、作る側も本当に真剣にやらせていただいております。
●建築業と製造業の仕事の違い
三木:今製造業界からの仕事も同時に受けられてるんですか?
平宮:そうです。今のところ7割ぐらいは製造業、工業製品なので。
三木:建築業と製造業での仕事の違いは?
平宮:寸法的におおざっぱでいいのが建築ですね。もう5mm、10mmズレようが意匠的にOKであれば。ただテクスチャーとか意匠的なものというのはこだわられてるので、そこは崩せない部分があるんですけど、特に仕上がりですよね。
宇都宮:そうなると寸法精度とかその辺が機能部品として必要ってことですか?
平宮:そうですね。
宇都宮:全然気の遣いどころが違う感じですね。
平宮:違います。
宇都宮:それは違和感ないですか?両方やってるということで。
平宮:スタッフに聞いてみてないのでよく分からないですけれども、ただ今のところ私が商業施設とかの仕事は取ってくるので、私が取ってくるとなかなか指示が遅いので納期がなくなって困ると言われてますけど(笑)。
宇都宮:(笑)そうですか。
平宮:実は図面が描ける方を募集したいところでして、図面描ける方はうちみたいな板金屋でもちょっとおもしろそうだからやってみようかなという方は、ぜひお力添えをいただければと思います。
●3D Architectural Labに込めた想い
宇都宮:色々南青山近辺の商業施設を作られたりされている平宮さんですに、「3D Architectural Lab」というキーワードに込めた想いについてお伺いしたいと思います。どういう想いがあってこういう新しいモノづくりや、建築業界に向けてやっていこうという感じなんですか?
平宮:建築業界は今まで自分たちは関わってなかったんですけど、イグアナアイの後にGoogleを翌年やらせていただいて、その時にお付き合いをさせていただいた内装業者さんがとてもいいお客さんで、うちみたいな金物屋でも生かしてもらえるエリアが建築業界でもあるというのをそこの内装業者さんに教えてもらえたということが、もっとやっていこうという気持ちになった一つですね。
宇都宮:それがきっかけになってもっとそれをやっていこうという感じで、平宮さんが業種の比率をそっち方面にちょっとずつ移行するようになっていったという?
平宮:そうですね。
宇都宮:メルセデス和歌山もそうですか?
平宮:建築事務所の社長と実は以前お会いしていて、それで別の所でお会いした時に、「今こういう課題があるんだけど平宮さんだったらできるよね」って言われて、「たぶんできると思います」と言ってお手伝いをさせていただくことになったんです。
宇都宮:メルセデス・ベンツ和歌山 新社屋及びレストラン・küche(キュッヒェ)のキッチンカウンターとかですよね?あれもそういったイメージデザインがあって、それを平宮さんのほうで形にしていったということですか?
平宮:そうですね。元々カウンター周りは16mあるというお話で平面図をいただいて、カウンターの高さも1,050という部分で一応平面図はあったんですけども、そこのテクスチャーはこういう形というのを建築家の方が、プレゼンでお使いになられてたんですけども、実際そこの部分は絵にはなってなかったんです。
宇都宮:こんな感じぐらいの?
平宮:いや、どこかのサイトから持ってきたテクスチャーだけだったんです。
宇都宮:結構ポリゴン形状も平宮さんたちのほうで形を、「これでいい?」みたいな感じですり合わせしながら作っていったんですか?
平宮:そうですね。一応制限が色々とあった…
宇都宮:デザイナーさんと話し合いは結構たくさんされた感じなんですか?
平宮:しました。
宇都宮:たぶんデザイナーさんはデザイナーさんでこだわりがすごい強い感じですよね。それはあんまり嫌じゃなかったんですか?
平宮:元々自分の考えとしては、こうしたいというのをできるだけ実現したいというのは自分の想いでもあるので…
宇都宮:デザイナーさんが強くこだわってこういうのにしたいという想いがあることに対して応えたいという?
平宮:はい。応えたい人であればと言ったら失礼ですけど、でもそこが3D Architectural Labのコンセプトである、“モノづくりに熱い人と知り合いたい”というところがその想いに変わるんですけど、3D Architectural Labの場合はPassion Of Manufacturingでした。
宇都宮:モノづくりに熱い人ともっと知り合って、そういうモノづくりをしていきたいという想いを込めてる。
平宮:そうなんです。
宇都宮:色々出会ってますか?その後も熱い方と。
平宮:まだまだ足りないとは思いますけど、今も色々と作らせていただいてるのは毎回初めてのことなので全て挑戦ですね。
宇都宮:それは辛いことではないんですか?楽しいことなんですか?
平宮:辛い部分はもちろんあるんですけど、スタッフはもっと辛いと思いますけど、ただそれを超えると…
宇都宮:ワクワクする感じなんですか?
平宮:そうですね。終わった後の達成感というのはとてもうれしいですね。
●展示会への出展と自社商品開発について
宇都宮:3D Architectural Labということを伝え始めたのは今年に入って色々話していく中で出来上がってきて、ホームページもFacebookも作ってちょっとずつ情報発信していってるところではありますけども、来週ちょうど展示会に出られるということで、展示会の簡単なPRをしていただければ。
◆エリア:Green&Community
◆ブース番号:G004
◆出展社名:株式会社ヒラミヤ
◆期間:2017年11月15日(水)~17日(金)10:00~17:00
◆会場:東京ビッグサイト東7・8ホール(東京都江東区有明3-11-1)
詳しくは、ホームページを御覧ください。
宇都宮:どういうテーマのエリアでしたっけ?
平宮:主催しているのは中小機構というところで、新価値創造展というものです。
宇都宮:製造業だけではないっていうことですよね?
平宮:はい。国が色々補助金とかで補助している人たちを対象に企画をしているようでして。
宇都宮:色んな業種の人もいらっしゃる感じなんですか?
平宮:はい。そうですね。
宇都宮:製造業以外?
平宮:はい。製造業以外もいらっしゃると思います。
宇都宮:そこの今回ブースを出されるにあたってすごい方の協力も得て(笑)。
三木:すごい方?どういう方ですか?
平宮:zenschoolの時もデザインの勉強をさせていただきました西村さんからお力をいただきまして。
宇都宮:飛ぶ鳥を落とす勢いの西村さんの…
三木:それは平宮さんから「お願いします」という感じで?
平宮:そうなんです。西村さんが「どのぐらいのウエイトの展示会なんですか?」っておっしゃられるので、「ヒラミヤ今後の活動の中では一番大切な展示会です」とお話をしたら「分かりました」と言っていただいて、お手伝いをいただけることになりました。
宇都宮:最初提案書をいただいた時どんな感想でした?
平宮:今言葉にしにくい部分があると言ったら変なんですけど、色んなことが広がっていくだろうなと思えるようなつながりというか関係を持たせていただけるかなと。結局自分がそれに応えられなければそうならないと思うので。
宇都宮:実際もう3Dデータになってたわけですもんね?
平宮:そうですね。
宇都宮:紙の提案書じゃなくて。ライノセラスで作られた3次元の…
三木:VRで体験されたとか…
平宮:はい。そうなんです。実際西村さんの事務所に行って、眼鏡を付けて原寸のものをバーチャルリアルの中で体感させていただいて、自分がそこの前に行って大きさを確認していくということをさせていただきましたが、西村さんとしては今までヒラミヤが作ってきた空間を、できるだけもうちょっと次の形で使っていただけるシチュエーションをプレゼンするという形で、そこをヒラミヤの技術でブースを作っちゃおうと言っていただいたのは宇都宮さんなんですけど、その中で作ったものを利用して、もっとこういう使い方ができるよというのを、改めて西村さんがデザインをしていただきました。
宇都宮:今現在鋭意製作中ということで(笑)。
三木:もしかしたら見れるかもしれないし。
宇都宮:慌ただしい状況の中をちょっと後で見させていただきたいと思います。
平宮:既存のお客様はお仕事をお断りして申し訳ありません。今展示会にみんなで没頭しています。
三木:ある種の自社商品であるということは間違いないんですよね?
平宮:そういうことになりますね。
三木:本当に自社商品に辿り着いたということなんですか?ほんとうの意味で自分の会社のためのもの…
平宮:そうですね。
宇都宮:守秘義務なく見せれるじゃないですか。
平宮:本当にそうですね。マネしていただいても結構ですし、ぜひそこからまた次のイメージを膨らませていただいて、色んな方が使っていただければと思うモノですね。
三木:とても生き生きとされている感じが印象的なんですが、どうですか?自社商品を初めて持たれて。
平宮:本当にありがたいです。先ほどもお話したコンセプト、デザイナーとか建築家の方とか作りたいという熱い想いを持ってらっしゃる方が、「こうしたい」というのを形にさせていただければ、それはありがたいお話なので、それをこれからもモノづくりに熱い人たちと出会いながら続けていきたいと思っています。
宇都宮:モノづくりに熱い人にぜひ展示会に来ていただいて、つながっていただくと。そのブースを見れるんですよね?展示会で。
平宮:はい。
宇都宮:平宮さんがバーチャルリアルで見た空間をリアルに見れるわけですもんね?
平宮:はい。横が4,500で奥行きが1,800、高さが2,450なので、そこのブースで…
宇都宮:結構大きいですね。
平宮:デカいですね。
宇都宮:それは新価値創造展で使ったら終わりなわけじゃないんですよね?
平宮:実はそこは西村さんが次の手を考えていただいておりまして、今企画を持ち上げていただいています。
宇都宮:組み上げてまたバラせるという構造っていうことですよね?ブース自体は。
平宮:そうです。
宇都宮:ということは別に色んな所で見せてもいいわけなんですよね?場所さえあれば。
平宮:ぜひとも他の場所でも活用いただけるモノになると思いますので。
宇都宮:逆にそういうモノを作りたい人は、またオーダーをいただければ作れるわけですよね?デザインをちょっと変えるとか雰囲気が違うことも可能だったりしますか?
平宮:そうなんです。どういう風にしたいということに合わせてモノが作れるので、決してこの形しかないということはなくて、必要に応じてこうしたいという想いを形に作るということができます。
宇都宮:ライノセラスとか3次元CADが使えない方でもOKなんですか?
平宮:全く問題なく。先ほどの水谷さんの件もフリーのスケッチからできましたので大丈夫です。
宇都宮:だそうです。想いがあって予算がある方はぜひ(笑)。
平宮:予算がない方も「作りたい」という…(笑)
三木:殺到しちゃいますよ(笑)。
宇都宮:そこは予算の多いほうが…
平宮:お金がある方はぜひ頂戴できればと思います。
宇都宮:もしくは熱い人かな。
平宮:そうですね。やっぱり熱い人ですね。
宇都宮:来週(11/15-17)の展示会で平宮さんと語り合っていただいて、ぜひ名刺交換していただいて、あと3D Architectural LabのFacebookページがあるので、そちらのほうのコミュニティに参加していただいて、今後つながっていただけたらいいかなと思います。
●平宮さんの考える「日本の○○の未来」に対する想いについて
宇都宮:最後に、今までの対談の時に皆さんに、今後の「日本の○○の未来」ということをお伺いしているんですけど、○○の未来、それは製造業なのか板金業なのか色々キーワードを入れていただければいいんですけど。
平宮:モノづくりに関わる人の未来。ちょっと話がズレていっちゃうかもしれないですし、ぜひその辺は想いが通じる方と、またお話もしていきたいと思うんですけど、デザインって結構広い範囲なんですけど、デザインを考えたりする時の考え方を、幼少期から学ぶべきだろうなと実は思っていて。自分もちょっとずつですがコンセプトでモノを作るとか、今回のzenschoolとかzenmonoもそうなんですけど、どうしたいということを深掘りする中で、自分が気づくことができるんですけど、それは本当はデザインを作る時というのが、調べてこだわってこだわってその形が出来上がってくるので、デザイナーの方が、ちゃんと説明ができるモノになっているんですけど、傍から見ると「いや、そんなのここにもデザインあるじゃない」と言われても、でもデザインを考えた方っていうのは、どうしてそれが存在するのかとか、何でそういう形をしているのかというのは、きっちり分かった上でその形ができているので、機能美というのをきちっと考えているので、その考え方を…
宇都宮:若い頃とか子供の頃から身につける機会があると…
平宮:はい。人間の考え方とか自殺願望があるとかいうようなことを考えなくてもいい世の中になるんじゃないかなという気がちょっとするんです。やっぱりもっと自然の中とか色んな所に、楽しいことはたくさんあると思うので、それを自分で判断できるという能力を幼少期からつけることが、楽しく世の中を過ごすとか、ワクワクするのはどうしたらいいかという風にコンセプトを掲げていれば、何か迷った時にそれだけを考えれば選べるわけなので、そういう物の考え方がぜひ広まっていったらいいなというのが今思っていることです。
宇都宮:ありがとうございます。
平宮:ちょっと硬過ぎましたかね。
宇都宮:そういうデザインを学んでこういうモノを生み出したいという時にもし板金とかに関わることは平宮さんにぜひご相談いただければ何か良いことがあるかもしれません。この後ちょっと実際に工場を見に行かせていただきます。
<工場見学>
対談動画
▶平宮健美さん
▶3D Architectural Lab WEBSITE
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