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第51回MMS(2013/02/22対談)「めんどくさがり屋のだめ主婦が主婦発明家に」(株)発明ラボックス 松本奈緒美さん

本記事は2013年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

MMSより

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主婦のマイクロモノづくり ~株式会社発明ラボックス 松本奈緒美 さん

 株式会社発明ラボックスの、松本奈緒美さんは、主婦発明家として有名ですが、その手法はまさに、マイクロモノづくりということで、ご紹介する。

 学生時代に美術を学び、その後10年近く、作家活動を続けていた。しかし、リビングデザインセンターOZONEでの自身の企画展を開催した時に感じた違和感を最後に、アート活動をやめてしまった。その違和感とは、一般客が往来するスペースでの初めての展示会だったため、自身の作品に興味を示すのは、美術業界の人ばかりであり、一般客は一切立ち止まったり話しかけたりすることがないという、そのギャップに大いに違和感を感じたのである。自身のアート活動は人々の生活になんの影響も与えられていないという事実に今後どうして行こうかという考えに陥ってしまった。考えた松本さんは、一切アート活動をやめて、生活に根ざしたモノづくりをしようという活動に転換した。

 そこで、自身を振り返ると、主婦として家事に苦手意識が有り、ダメ主婦であるという事実に思い至る。自身がダメ主婦であるという事を深く認識し、家事を楽にできるようなグッズ(ペン先すーぴぃ)を思いつき、まずはそれを試作してみたところ、とても家事が楽になった。こういう便利なものは、もしかしたらメーカーに提案すれば、何かしら発明品として採用され、お小遣いの足しになるのではという甘い考えではあったけれども、70社近くの会社に提案書を送付してみた。しかし、全社不採用で、約40通不採用の通知も送られてきた。落ち込んではいたが、不採用通知をよく読み返してみると、1社アイデアのまずさを指摘した結果の不採用であったため、松本さんはそれを改善した提案書を再度その会社に送った。すると「検討しましょう」と嬉しい返事はあったものの、商品化は遅々として進まなかった。松本さんはそこで諦めず、社長あてに試作品を送った。すると3日後に社長から電話がかかってきて「良いアイデアなので、私が指揮をとって商品化を進めましょう」という連絡がもらえた。その後社長は問題点を都度、報告してくれたので、それを松本さんが手直し、また送る、ということ何度も続けていた。

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 そんな中、突然の社長の訃報。さすがにこれ以上は無理だと、開発をそこでやめてしまった。しかし、約1年後、展示会を見に行くとその会社のブースが有り、何気なくお話をする中で、商品開発を一時期続けていたという話になり、話し相手がその社の副社長さんで、実はその開発案件についてはよく覚えていたということで、再度開発をしましょうという話になった。また、そのブースでその会社のアイデア商品を見ていた松本さんは、ひらめきを得て、提案してみたところ、すぐに商品提案が採用になったのである。実は、昨年までの松本さんは、自身の経験からと、その社からのフィードバックだけで改善を続けて試作を繰り返していたものの、その社の他の商品などは見ていなかったのである。しかし、展示会場でその会社の商品を見て始めて、その商品に使われている材料を流用できることに気づき、それを盛り込んだ商品提案ということで、すぐに採用ということになったのである。それまでの自分は頑張ってはいたけれど、ひとりよがりだったのだということに気付かされたのである。初めて思いついてから5年が経過していた。しかし、この5年の経験は松本さんにとって発明家としての基礎を身につけさせたということで、とても有意義だったのである。

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 さて、何故5年もの歳月諦めもせず、開発を続けられたのであろうか。図らずも松本さんは意識することなく、マイクロモノづくりの考えが盛り込まれていたのである。

  ・自身の経験や気づきに基づいた開発であること

  ・お金をかけることなく、自身が持っているリソースのみで開発を続けた

  ・そして、試作品を作りフィードバックを受け入れ改善を続けた

  ・提案先にとってのメリットを盛り込んだ

  ・自分自身で販路開拓をした

  ・自分自身で情報発信をしている

 これらのことは、マイクロモノづくり経営革新講座でも受講される方にお伝えし続けていることと同じ事である。「自分で考え自分で作り自分で売る」というマイクロモノづくりスピリットを松本さんは既にお持ちであったのだ。この松本さんの事例を教訓にすると、誰でもマイクロモノづくりを実現できることがお分かりいただけたことと思う。

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 最後に松本さんに伺ったことで心に留めておきたいことをご紹介しておく。

  ・自分自身の生活の中に発明のタネがある

  ・自分がダメであることを認めた上で、それを補うことに思いを馳せる中に発明のタネがある

  ・試作品を自身の手で作る

  ・素直に相手の声や状況を理解把握しようとする気持ちを持つ

  ・ワクワクして楽しむ

 これらのことは、マイクロモノづくりを実現するためには欠かせないことである。是非参考にしてもらいたい。

対談動画

ペン先すーぴぃ

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