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京都府産の酒米作りでの希望と伝統の継承|新日本酒ブランド【禅利】原料酒米「祝」とは

はじめまして。「株式会社アグリにのうみ」の八木翔吾と申します。弊社は京都、亀岡の地で水稲を中心に農業生産をしている農業法人です。

この度、新発売となるプレミアム新日本酒ブランド【禅利】(ぜんり)の原料となる酒米「祝(いわい)」を生産しております。

ここでは、【禅利】に携わることで私が抱いた米作りへの新たな希望や、“京都で生まれた京都だけの酒米”「祝」について、また【禅利】を通してお客さまに伝えたいことなどをお伝えしたく思います 。

自己紹介(プロフィール)

私たち「株式会社アグリにのうみ」は、従業員5名の小さな農業法人です。

京都市の隣に位置し、「京の奥座敷」とも称される亀岡市において、水稲を中心に約15ha(ヘクタール)で農業生産を行っております。

弊社は、私の祖父が創業した農業資材店の農業生産部門として、2013年に父が立ち上げました。その後、得意先であった地域の農家さんが次々と離農されていくにあたり、弊社がその農地の担い手となっています。

一方、私は幼少期より農業が身近にある環境で育ちましたが、継業は考えず大学では土木工学を専攻し、高速道路会社へ就職。高速道路の建設や管理など、まさに農業とは“畑違い”の仕事をしていました。

そんな中、結婚し子どもが生まれる過程で、家業や故郷への思いを巡らせる機会が増え、約5年前に帰郷。現在は農業資材店と農業法人に携わる、二足のわらじを履いています。

「作って欲しい米がある」から始まった希望

今回、「㈱京伝びと」さんが新しく生み出す新日本酒ブランド【禅利】の原料として、“京都府産の酒米” “品種は「祝(いわい)」” “有機栽培を目指す”という条件があり、ご縁あって弊社でお米を作らせていただくことになりました。

実は弊社は酒米の栽培も有機栽培も経験がなく、「これはかなり難しい挑戦になる」というのが最初の感想でした。

しかし同時に、「必要とされるのなら、求められるものを作ってみたい」という想いが沸き上がりました。

私たちの地域は一つ一つの田んぼが比較的小さく、生産効率を上げにくいうえに米価の低迷が続き、米生産の採算性は厳しい状況が続いています。

私たちの米は求められていないのではないか――そう感じることさえある状況で、難しい条件ではありますが「作って欲しい米がある」と声をかけていただいたことで、これまでの“できた米をいかに売るか”から“求められる米をいかに作るか”への転換のきっかけにしたいという希望を抱きました。

京伝びと立ち上げに際して、京伝びと代表取締役の羽場さん、梅原さんの「最高級の日本酒造りを通じて人の想いを重ね、日本の誇りを取り戻す」という壮大で熱い想いに触れ、ただお米をお渡しするだけではなく、その先まで一緒に取り組ませていただけることが本当に楽しみです。

禅利に使う酒米品種「祝」とは

禅利で使用されている酒米品種「祝(いわい)」は、“京都で生まれた京都だけの酒米”として、京都府内のみで生産・醸造されています。

祝は昭和8年(1933年)に誕生、良質な酒米として府内で多く栽培されましたが、昭和40年代以降は戦後の食糧難や栽培の難しさから栽培が途絶えました。

その後、平成4年(1992年)に復活。京都府奨励品種に指定され、改良が重ねられていますが栽培は簡単ではなく、収量の確保は難しい品種です。

祝を復活させ、今日まで栽培・改良に尽力されてきた関係各位に敬意を表しつつ、私たちは祝を有機栽培によりさらに高品質・安定生産することを目指し、土づくりや栽培技術の確立のため試行錯誤を重ねていきます。

禅利を通して「時を超えた想い」まで届けたい

日本酒造りが時代を超えて受け継がれてきた技術で成り立っているように、原料の米作りもまた、先祖代々、絶えることなく守り継がれてきた農地と自然環境、それを維持してきた地域社会があるからこそ成しえるものです。

工業化・情報化の進んだ現代においてもなお、米作りは人間のコントロールできない要素が大きく、いまだに経験と勘に頼った時代遅れの産業と思われることもあるかもしれません。

しかし、力の及ばない自然と向き合い、時に人々の祈りを集めながら技術と知恵で受け継がれている伝統は、何ものにも代え難いものであると私は感じています。

米作りの現場において、いま途切れてしまいそうな悠久のリレーのバトンを次代につなぐための希望のひとつが、【禅利】であると信じています。   

【禅利】を通して、今このお酒に携わる私たちにとどまらず、先人たちから受け継がれる、時を超えた想いをも価値として、お客さまにお届けできたらと思います。

禅利に宿る米作りへの想い

【禅利】のための米作り初年、試行錯誤を重ねながらなんとか作ったお米を、手間暇をかけて最高のお酒に仕上げていただきました。

ご賞味の際はぜひ、緑の山々に囲まれた青い空の下、さわやかな風に吹かれて金色の稲穂が揺れている――このお米が育ったそんな農村の風景を想像してみて下さい。

季節はすっかり春らしくなり、今年も米作りが始まります。最高級の日本酒に見合う、より品質の良いこだわりのお米を、想いを込めて大切に作っていきたいと思います。


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■この記事を書いた人
農業法人 株式会社アグリにのうみ 八木 翔吾
http://www.kameoka-agrininoumi.com/
京都、亀岡の地で水稲を中心に農業生産をしている農業法人株式会社アグリにのうみ。【禅利】(ぜんり)の原料となる酒米「祝(いわい)」を生産。

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