シルバー人材センターへの補助金の事業評価を試作してみよう(その1)
第2回救国シンクタンクの懸賞論文は、横山賢次氏の「補助金等及び補助事業等の事業評価基本条例の試案」が大賞を受賞されました。
詳細は論文を読んでいただくとして、”基本条例”という名が示すように、条例試案は評価の仕組みや在り方の大枠を示したものです。この条例試案を実際の補助事業に落とし込んで、具体的な評価表をつくろうとすると、その補助金の趣旨、対象、性格を勘案したオーダーメイド的な性格が強くなってきそうです。かといって、あまり融通無碍にしてしまうと、評価として意味をなさくなってしまいます。ここをどう調整するかがけっこう難しそうだな、というのが、現在のところの感覚です。
完走できるかどうか、自信はありませんが、やってみることにします。
1 補助金とは?
補助金とは行政学的にどのように定義されているのでしょうか。
補助金を定義するときに最もよく引用されるのは「地方公共団体 歳入歳出科目解説」だと思います。そこでは、以下のように記述されています
「一般的には特定の事業、研究等の育成、助長するために地方公共団体が公益上必要があると認めた場合に対価なくして支出するものである。」
又、法律上の根拠は、自治体では「地方自治法」にあります。
第二百三十二条の二 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。
2 なぜシルバー人材センターへの補助金?
自分が「補助金の交付要綱」をつくったことがあるからです。もう、随分と昔のことで、当時とは状況も大きく変わっていますが、”手の付けやすさ”は感じることができました。以下、懐古モードで、シルバー人材センターの歴史について少し触れます。
3 シルバー人材センターの歴史
読者の方には、草刈りをお願いするところ、駐輪場の管理をしているところ、というイメージが、シルバー人材センターにはあるのと思います。
シルバーシルバー人材センターの誕生には、大河内一男という東大総長を務めた大社会政策学者が関わっています。彼が東京都都知事だった美濃部亮吉に働きかけてできた「江戸川区高齢者事業団」が、その発祥とされています。
大河内はマル経学者でしたから、シルバーにもその影響はあります。『シルバー人材センターは事業ではなく運動である』、『シルバー人材センターの理念は「自主・自立、共働・共助」である』、『シルバー人材センターの運営には「民主性」と「自治性」が欠かせない』。こういった言葉が関係者からは、しばしば、発せられます。(詳細はこちら)
さて、立派なタックスイーターであるシルバー人材センターですが、実は違った道も開かれていました。当時の私は、「大河内理論に忠実なら、こちらの方こそ進むべき道ではなかったのか?」と思ったものです。もし興味を持ちましたら、安保明子氏の「おんな理事長奮戦記 - シルバー人材センターを育てて」を一読ください。都道府県や中核市以上の図書館の蔵書にある可能性が高いです。
次回以降、補助金全般について、もう少し解説してから本論を進めていきたいと思います。