シルバー人材センターへの補助金の事業評価を試作してみよう(その2)
引き続き、概論編です。
1 補助金の予算科目上の位置づけ
一般的な自治体では、”補助金”は歳出予算科目中の「負担金、補助及び交付金」という節に区分されています。
同じ節に含まれる3つの費目の違いは以下のようになります。
(1)負担金
自治体が特別の利益を受ける事業に対して、一定額を負担するもの
→複数の自治体で水道組合をつくっている場合に応分負担する経費
(2)交付金
法令等で団体や組合等に対して自治体の事務を委託している場合に、事務処理報酬として支出するもの
→県民税徴収委託金(県は個人住民税の徴収を市町村に委託している)
(3)補助金
特定の事業・研究等を育成・助長するために、自治体が公益上必要があると認めた場合に対価なくして支出するもの
→○○事業費補助金
この3つの性格の違いを大まかに述べると、負担金・交付金は基本的に自治体同士のお金のやり取りになります。補助金は、個人・私企業に範囲が拡大した金のやり取りになります。
2 委託料との違いは?
補助金と似た響きがある歳出科目中の節に「委託料」があります。これと補助金とはどのような関係にあるのでしょうか。
(1)委託料とは?
自治体の事務事業を他の者に行わせる場合に、その報酬として支払うもの
→委託根拠が法令にある場合、公法上の委託契約
→その他の場合、私法上の委託契約(市役所の警備業務委託等)
(2)交付金との違いは?
1-(2)で取り上げた「交付金」と同じような内容を持つ「委託料」ですが、2つの違いは行政上では次のようになっています。
・委託料=契約に基づいて事務執行がされた”対価”として支払われる
・交付金=契約に基づかず、事務執行をした報酬として一方的に支払われる
とりあえず、契約書の有無で両者は区分されると考えておいてください。
(3)補助金との違いは?
・委託料=自治体の事務事業の代行である。代行の対価として支払われる。
・補助金=自治体の事務事業の代行ではない。何かの対価として支払われるものではない
「補助金」の対象になるのは、自治体が”促進・助長したい”と考える事務事業です。一方、「委託料」の対象になるのは、自治体が”本来は行うべき”と考える事務事業です。
渡瀬氏が、某委託事業が補助金になると都の関与の度合いが下がる、と言ったのはこういう意味合いです。
短くまとめると、委託料と補助金の相違点は、以下の2点です。
・自治体の事務事業の代行性の有無
・対価性の有無
世に星の数ほどある補助金は、様々な基準でいろいろに分類されています。次回は、補助金の分類について書きたいと思います。