現実と子守唄
大学2年生になって1ヶ月以上が経ち、日々の過ごし方や自分の居場所もなんとなくわかってきた。
今のところ大学生活は楽しく、友達と言っていいのかは分からないけど、仲良くお話してくれる人たちも結構増えたので、おかげさまで毎日充実した時間を過ごせている。
ただ、GWを過ぎてから、私は明らかに5月病になり、心身ともに少しだけ悩みを抱えることが増えた。
それが顕著に現れたのは、GWが終わって2日後のすぐのことだった。
朝から引くほど体調が悪く、なんとか授業には出られたものの、そのあとに倒れそうになってしまった。
あまりにやばい!と思った私は、カラオケに行き、3時間という大袈裟な休息時間を確保した。
かなり体調は良くなり、とりあえず普通に歩けるくらいにはなったが、結局3時間で1曲も歌わずに部屋を出ることになった。
そのあと、実はバイトが入っていたのだが、そこまでの元気は無いし、精神的にもどうしても出られるような状況では無かったので、大事をとってその日は休むことにした。
ただ、気がついたら私はプラネタリウムへと足を運んでいた。
あんまり記憶には無いのだが、本能がそこへ行けとでも言うように、私の身体は勝手にプラネタリウムにたどり着き、いつの間にかリクライニングシートに寝そべっていた。
かくいう私はプラネタリウムに通うのが大好きで、月に1回は東京中の施設に出向いて、カップルや家族連れに囲まれて1人で星を見ている変態である。
その時間はまさに至高だ。
穏やかな音楽が流れ、優しい星の光が温かく私を迎え入れる。
それはまるで、ゆりかごの中で子守唄を唄われているかのような、贅沢な包容を受けているのだ。
その時間は現実とはかけ離れ、今を忘れさせてくれる。
とにかく、言葉では表せない空間なのだ。
それから私は、家に帰ってしっかり8時間睡眠をとった。
次の日からはまたいつものように学校へ行き、バイトへ行く日々を過ごしている。
基本的に私は、人と話をする以外の時間は白いヘッドホンを頭につけて生きている。
そこから流れてくるPOPな曲に身体を揺らし、まるでPVでも撮られているかのような風貌で街並みを歩くのが得意技だ。
その時にいつも、曲に身を任せて口ずさんでいるのだ。
これを言うと凄い寂しいやつに思われるかもしれないが、最近はこれだけをする時間がたまらなく楽しい。
私は現在散歩やランニングが趣味であり、休日は7km近く走ったりするし、学校がある時は学校の最寄り駅から1つ離れた駅で降りて30分近く長い距離を歩いている。
まさしく、その時間こそエンペラータイムである。
基本1人で生きているので、話もせずただひたすらヘッドホンの世界へと自分を没入させる。
またしてもここで、私は現実を眠りにつかせていた。
私はあまり、生きるのが器用な方ではない。
悩み事なんて常にあるし、人間関係だってずっと良好な人もほとんどいない。
ただ、その分何かしら、それらを乗り越えてきた成功体験がある。
辛いことがあったとき、逃げていいと私は思っている。
ただ、逃げっぱなしじゃダメなのだ。
逃げた分だけ、他のルートを通ってでもいいから、ちゃんと本来の自分へと繋げていくことが大事だと思うのだ。
私は逃げ道を知っている。
その分、帰り道も知っている。
何かあったらどこか遠くへと逃げ出して、吹っ切れたのなら、またいつでも戻ってくればいい。
それくらいが丁度いい、のかもね。
あなたのサポートのおかげで人生頑張れますっ 宜しく頼んますっ