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【社内勉強会】工学的に感情を測る

今回の社内勉強会は、「工学的に感情を測る」をテーマに実施しました。
感情認識って何?生理反応や表出行動とは?
一時間の勉強会をギュッとまとめてみましたので、ぜひご一読ください!

感情認識とは?

感情を測る研究は、工学分野でいうと、「Affective Computing」が一番有名であり、1990年代にPicard教授が提唱した分野だそうです。機械に人の感情を理解させ、機械を感情的に振る舞わせる、機械に感情をもたせることを目標としています。

感情認識が使われるシーンとして、例えば次のようなことが考えられています。
・自動運転車に乗っている人の緊張度合いやリラックス度を見て走行を制御する
・寒さや暑さからくる不快などを感じ取りオフィスの空調を制御する
・学校の授業で困惑している学生などを認識し、先生の補助をする

そもそも感情とは?

感情には4つの側面があります。
例えば、突然目の前に現れた蛇は、「怖い」などの感情を引き起こす「感情喚起刺激」になります。感情喚起刺激を認知した後に、心臓の鼓動が早まったり冷や汗をかいたりする「生理反応」や、顔が引きつる「表出行動」、恐怖を経験する「主観的体験」などが発生します。また、生理反応や表出行動は必ずしも主観的な経験を伴わず、主観的な体験である感情(Emotion)とは区別された情動(Affect)として扱われています。

Affective Computing では、生理反応や表出行動を観測し、認知のパターンや主観的な体験を予測しています。

生理反応

では、どういった生理反応があるのでしょうか。

例えば「恐怖」を覚えたとき、
・心臓→鼓動が早まり、脈が等間隔になる
・血管→固くなり、手が冷たくなる
・血圧→上昇する
・汗腺→手のひらに汗が出てくる

などのように、心拍数や全末梢抵抗、血圧や皮膚コンダクタンス反応などの変化が起こります。これらを計測することで情動や感情を推論することができます。

表出行動

表出行動では、声と表情などを測っています。
音声感情認識は、言語的内容を見ているわけでなく、声色に注目しています。
声は、そのときの状態に応じて、意のままにならない運動をしているようです。AIでその部分を分析し、その人が怒っているのか、緊張しているのか、などを見ているようです。

表情認識では、目や口など、顔のパーツの状態を組み合わせ、表情を定義しています。
ただ、表情が感情を表しているのか、についてはまだ疑問が残るようです。
例えば、「こういった感情だと受け取ってほしい」というコミュニケーション的な側面も持っているため、「表情=感情」とは厳密に言えないと考えるひとも多いようです。
また、表情は感情を表す一つの指標である一方で、感情自体は文化ごとに異なり、「怒り」の表現方法や、骨格や肌色の違いから認識が上手くいかないことがあります。

最後に

Affective Computingの分野は、まさに前回社内勉強会を実施させていただいた鄭先生の「イノベーションと道徳」に通じるようです。

鄭先生は、相手が仲間なのか、仲間でないのかを理解できるアルゴリズムを作ろうとしています。
例えば、他者を目の前にしたときに、ポジティブな感情的反応をしていると、相手を仲間だと感じており、嫌悪的な反応をしていると仲間でないと感じている、そのような評価が成り立つのではないかと仮説を立てています。
まだそれが実現できるかは不明ですが、Affective Computingが糸口になるとのことでした。

私達ZENKIGENが立ち向かう社会課題への対応として、そして私達のAIサービスをより多くの方々に展開するためにも、「道徳」と「Affective Computing」、両者の分野についてより理解を深める必要があるなと、刺激をもらった勉強会でした。

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