二十歳のころ 第二十二章

翌日、親しくなった日本人のバックパッカー数人とケーブルビーチに行くことになった。町の中心からケーブルビーチ行きのバスに乗る。
ケーブルビーチに到着すると僕はビーチを見回した。プライベートビーチまではいかないがそれほど混んではいない。波も穏やかで泳ぐのには格好のビーチである。ビーチでボディーボードのレンタルをしている。僕は日本でボディーボードの波乗りを楽しんでいた。静岡県の静波海岸、御前崎が僕らの波乗りの遊ぶ場所であった。僕はせっかくケーブルビーチに来たのだからボディーボードを借りてみようと考えた。
「いくらでボディボードレンタルできるの?」
僕は管理人に尋ねてみた。
「一日、三ドル。どうだい?」
「そうかい。じゃあ貸してください。」
僕は三ドルを渡し、ボディーボードを借りた。僕はビーチで休んでいる仲間に手荷物を
預け海に入った。波は穏やかで小さい。かろうじて波に乗れるくらいの波である。僕はしばらくの間ボディーボードの波乗りを楽しんだ。しかし波が小さいせいか少し波乗りをやると飽きてしまった。僕はビーチに戻った。
「それ何?面白そうだね。」
仲間が尋ねてくる。
「ボディーボードだよ。簡単に波に乗れるんだ。面白いよ。やってみる?」
「やってみる。」
「じゃあ、教えてあげる。」
僕らは海に入った。
「波が来るじゃん。乗りたい波に合わせてボディーボードに体を預ける。そして波と一緒にパドリングして前に進むんだ。上手くタイミングが合えば波に乗れる。何よりタイミングが重要なんだ。じゃあ、やってみるからちょっと見ていて。」
僕は手本を見せた。
「やってみた方が早いよ。はい。」
僕はボディーボードを渡した。彼女らは何回か波乗りに挑戦しているうちに波に乗れるようになった。初めて波に乗れるようになってはしゃいでいる。
「僕はもういいよ。浜辺で見ているよ。」
僕はビーチに戻りぼんやりと海を眺めた。西オーストラリアの辺境地ブルームに僕はいる。旅先で偶然出会った日本人の女の子たちと一緒に遊んでいる。日本では僕は人見知りする性格だった。知り合ってすぐに友達になるなんて僕にはありえなかった。異国にいるせいなのか。異国が僕の心を解放させているのか。そんなことを僕は漠然と考えていた。
日が暮れてくる。インド洋に夕陽が沈む。観光客が駱駝に乗り浜辺を歩いている。仲間は駱駝に乗りたいと言い、僕に記念撮影を頼む。僕は駱駝に乗った女の子をぼんやりと眺めながらシャッターを切った。

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