今日、誰のために生きる? 4月から育休パパになる話
※この記事は2023年度最後の学級通信「特別号」の内容を少し修正した内容となっています。
今日、誰のために生きる?
1年間、ありがとうございました。大好きな子ども達、そして1年間支えていただいた保護者の皆様に、他の方より一足お先にご報告したいことがあり、学級通信の特別号を出させていただきます。
みなさん、「今日、誰のために生きる?」という本をご存知でしょうか?この本の著者であるショーゲンさんがアフリカにペンキアートを学びに行った際に、ブンジュ村の人々とふれあい、日本人が失いつつある「幸せを感じる心」を取り戻していくお話です。
この本を読んで、考えたことを共有させていただき、私事ではありますが4月からの生活について報告します。思いをそのまま表現したいので、教員っぽくないラフな文章で書かせていただきます。
長いので、ご興味ありましたらお目通しいただけたら幸いという記事になっています。読まなくても、子ども達の学校生活に全く影響ありません。
人生が大きく変わった日
僕は2023年8月、パパになりました。初めてだっこした自分の赤ちゃんを見て、幸せにしたい。そう思ったわけです。
でも、この本を読んで、今の僕だと人を幸せにするなんて簡単に言えることじゃないなと気づかせてもらいました。言うなれば、「その生き方でいいの?」って、何度も何度も問われているような感じ。
本のタイトル「今日、誰のために生きる?」この質問にみなさんならなんと答えますか?
ぼくは、読み始める前になんとなく、家族のためかな?なんてぼんやりと思っていました。しかし、そのぼんやりとした考えが自分を苦しめていたんだなってことがわかりました。
僕は教員なので、当然、学校という子どもたちに囲まれた職場で働いています。赤ちゃんが生まれて、その子どもたちに対する見方がめちゃくちゃ変わりました。
そっか、ここからスタートして、小学生になるとこんなにもいろんなことができるようになるのか。
休み時間の着替え、給食を食べるスピード、字の書き方、友だちとのかかわり、体育で熱くなる子、勉強、忘れ物、朝や帰りのしたく・・・いろんなところで、こうしなさい、ああしなさい!って気軽に言ってきたけれど、ここまでできるようになっているって見方ができれば、もっとちがう言い方ができたんだろうなと反省しています。
改めて、ここまで育てていただいた子ども達を、学校に送り出してくださってありがとうございます。もちろん、子どもたちを目の前にすると、時間がないと思って、あの頃と変わらず言ってしまう自分が今もいるのですが、以前はそんな視点すらありませんでした。
そんな見方が変わったのに、幸せに生活しているのかというと・・・?
もちろん、子ども達と話していて接していて楽しい時間はいっぱいあります。でも、仕事として考えた時に限られた時間の中で、もっとこれもやってみたい、もっとこういうところに時間をかけたいなんて思いを封印していることが増えてきました。
それでは家のことに全力を出せているのかというと、そんなことはなく平日にかんしていうと、やっていることは、夜に暗闇でミルクを一回あげるだけのおじさん。土日にどうも初めましてって顔をされています(笑)
しかも、そのミルクをあげている時でさえ寝るまでの効率的な過ごし方や明日のことを考えていることもあります。今ここを生きていない。
じゃあ、自分の人生を謳歌できているのかというと、これまで楽しんでいたテレビ、読書、テニスなどの時間はかなり減りました。
職場で中途半端に働き、家で1日1回ミルクあげるおじさんとなり、自分を満たす時間はもてていない。そんなの、子どもがいたら当たり前じゃんって思うかもしれません。
いや、逆にもっとうまく時間をつかえばいいじゃんって思う人もいるかもしれません
。昨年、異動で今の学校に来たのですが、通勤に1時間かかるようになり、新しい生活、時間の使い方に慣れていないなとも思います。そこに、もどかしさを感じていた時に読んだこの本にこうやって書いてあったんです。
僕らはお金のために効率を求め、他人の目を気にして「いいね」を求め続けた結果、一番大事な「心のゆとり」(幸せを感じる心)を失ってしまったのです。
ほんと、それ。それなんです。
心のゆとりがなくなっている。
うまくいかなくても心にゆとりをもちたい。この本を読んでちょっとだけ人生が変わりました。
本の中にはめちゃくちゃ素敵だなと思う言葉がたくさんあったのですが、今の自分にすぐに取り入れることができて、具体的に行動として変わったところをお伝えしたい順にベスト3で紹介します。
心のゆとりをつくる 行動の変化 ベスト3
第3位 空を見上げる心の余裕
この本に出てくるアフリカのブンジュ村の人たちは空を見上げる心の余裕を大切にしています。
自分におきかえた時、そんな余裕があるのかなと。ましてや仕事中となれば、空なんか見上げた記憶はない。教員になる前は想像もしなかった事務作業、書類・プリントチェック、授業の準備…。
でも、ずっとせかせかと余裕なく働いていたら、子ども達からしたら話しかけにくいですよね。子どもたちとかかわる仕事なのに。とは言ってもずっと余裕をもって働いていたら時間はあっという間にすぎていく。
だから、どこかで時間をとるようにしました。
具体的には、この1ヶ月給食を食べる前に空を見上げるようにしました。ああ、今日はなんて気持ちのいい青空なんだ。今日は雨がふっているんだ。
今、その瞬間に目をむける時間をとってから給食を食べる。ちょっとでも子ども達としゃべりながら食べて、その時間を作業にせず、豊かな時間にしていく。いつでもいいから、心に余裕ができたときに空を見ようと思うとわすれてしまうので、給食の前の時間に「よし余裕がもてている」と自分で認識するようにしました。
それで1日に余裕ができたのかというと効果は少しといった感じですが、なにより、余裕を感じてから食べる給食って心地よい。
先生じゃない人からしたら、え?って思うかもしれないんですが、牛乳がマジで水。なんの味もしないんですね。これ、あきらかに心に余裕がなかったなって、今は思います。
第2位 感謝の気持ちを伝える
この本の中に「感謝の気持ちを伝えれられたら、みんな嬉しいんだよ。」「感謝の気持ちを伝えたいって思う時は、心に余裕がある時」と書かれています。これも、その通りだなと思います。
僕はできるだけ妻に毎日「結婚してくれてありがとう」って言うようにしています。そう思っているから、言うようにしているのですが、毎日一緒にいるといろんなことが当たり前になってきます。
でも、言うことで改めて幸せだなって感じることができるし、心に余裕をもてるようになるんだなと感じました。そう考えたら、もっともっと今のクラスの子たちに出会えてありがとうって気持ちを伝えられる場面があったなって後悔しています。
そんな思いをもってから、ちょこちょこ「素敵なクラスの担任ができて幸せ、ありがとう。」と伝えるようにしてきました。今日、最後の日。もう一度しっかりありがとうと伝えようと思います。このクラスの担任ができて幸せでした。幸せな1年間をありがとう。
そして、一緒に学年を組んでくれた2人にも感謝。一人ではけしてできないことを、一緒にやっていただきました。隣で一緒に働く人ってとっても大切な存在。
そしてそして、この文章を読んでくださっている方、大切な時間を僕の文章に使ってくれてありがとうございます。保護者の皆様におかれましては、いつもご理解、ご協力ありがとうございました。
第1位 自分のために生きる
ブンジュ村の人たちはあいさつのように
「今日、誰のために生きる?」と聞き「今日、自分のために生きる」と答えるそうです。
「人の心の中には喜びのグラスがある。自分のグラスを満たして、そこからあふれた時、そのあふれた愛情で、人のためにしてあげたらいいのよ。」
という言葉が本の中に出てきます。「一番大事にしないといけないのは自分、自分の魂に失礼なことをしてはいけないよ。愛が注がれたものからしか、愛は与えられないんだよ。」とも。
いろんなことが作業になってきている自分をしっかり満たすために、今、自分ができることはなんだろう?
どちらかというと、僕自身自分を満たすが苦手だと思うので、その答えはこれからゆっくり探していきたいと思います。
ただ、その答えにせまるために一つ大きな決断をしました。4月から育休をとるということです。パパママ育休という制度を使って、妻も休みつつ自分も仕事はお休みします。
仕事をしばらく休むなんて、考えることすらありませんでした。
一生ずっと働き続けるものだと。でも、子どもが生まれてそんな機会があるのならと思うと、
急に子どもと一緒にいる時間を増やしたい、
妻も自分を満たす時間を増やしてほしい、
実家にゆったり子どもを連れていってみたい、
家族で一緒に近くでもいいからいろんな景色をゆっくり見たい、
などなどいろいろな思いがわいてきました。
どれも本心ですが、一番の思いは、日常を作業ではなく、今ここを大切にすることで自分を喜びで満たしていきたい。そして、その喜びを人に与えられる人になりたい。ということ。
それが今の僕の「今日、誰のために生きる?」に対する、「今日、自分のために生きる」という一つの答え。
けして、「イクメン目指しています!」みたいな世のいいお父さんになりたくて取るわけじゃありません。
自分のための育休。
そんなこと言ったら実家のお母さんに怒られそうです。
あまり、例がないことをやるということで、みんながみんな応援してもらえる決断だとは思いません。
でも、それを気にしていたら「他人の目を気にしていいねを求め続ける」ことになってしまうとも思うんです。それだと心のゆとりを失ってしまいそうです。
きっとこの選択が、自分を喜びで満たし、これから僕の周りの人に喜びとして返していけるはずだと信じています。
つらつらと書いてきましたがやめるわけではありませんので、またお会いできる日を楽しみにしています。
みなさん、
「今日、誰のために生きる?」
「僕は、自分のために生きます!」
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